新判定ソフトによる混乱はとどまることを知らず、とうとう見切り発車の新ルールはそのままで、申請者の希望に応じて「新しい認定ソフトと新ルールによる審査・判定された要介護度が従前の要介護度と異なる場合は従前の要介護度とする。」というまったく馬鹿馬鹿しい経過措置が適用されることになった。
要するに、この新ソフトの一次判定ロジックと調査判定ルール、2次判定の審査ルールの検証が不十分だから、新判定が状態像を正しく反映しない結果となっている恐れがあり、その検証の期間が必要で経過措置を作ったということである。そうであるなら、わかりにくい不公平な経過措置を設けるよりも、検証が終わるまでオンボロの新判定ルールを全て凍結して、従前の審査・判定で対応すべきである。(厚生労働省は新判定ソフトを凍結せよ)
実際に新しい調査ルールで1次判定を行うと軽度判定されるケースが多い。
特に影響が大きいのが食事摂取の新判定ルールで、今までは食卓で、魚の骨をとったり、副食を食べやすくきるなどの介助があれば「一部介助」を選択していたものが、それらの行為については介助に含まないとされ「自立」と判定せざるを得ず、この部分の1次判定への影響は大きい。
その状態は特記事項に書いて、2次判定で審査せよ、ということになっているが、その裏では、厚生労働省の内部文書で「介護認定審査会の委員の関与を減らし」ということが書かれており、実際に新認定ルールでは1次判定を変えられる要素が極端に制限されている。国は口では一次判定のコンピューターの判定を二次判定で救いますと説明するが、その本音は、二次判定を形骸化して、判定結果に対する批判への緩衝材の役割しか負わせたくないということである。
今回の経過措置にしても、審査判定結果を反故にして、従前結果を適用するんだから審査判定の意味はない。こんなものにかける時間や費用は無駄である。認定審査委員も随分とコケにされたものである。
その介護認定審査会の委員を務めている。僕は制度当初からの委員ではなく、制度開始前のモデル事業から関わっている委員の方から見れば2世代目の委員ということになるだろう。
それでも2002年からの委員だから、様々な認定審査ルールの変更も経験してきている。現在は合議体の副長を務めているので、審査会に当たっては議長役になる。
新しい認定ソフトと判定ルール問題はあまりに馬鹿馬鹿しいし、別な記事の繰り返しになっても「くどい」と思われるので(参照:「新認定基準も軽度誘導へ前編・中篇・後編」)今日は前段の愚痴でとどめて、別の問題提起を行いたいと思う。
それは介護認定期間の問題である。
現在認定期間は新規の場合は半年間、更新認定の場合は原則1年間が有効期間で、ケースごとに審査会が判断して、認定有効期間を短縮したり、延長したりできることになっている。そして延長できる最高の期間は2年が限度である。これは2004年4月に改正されたルールである。(参照:要介護認定期間2年延長可能に)
それ以来、この期間延長のルールについては見直しが行われていない。
認定期間を延長するか短縮するかは、各合議体の裁量権であり、審議の結果によるもので、特別な基準があるわけではないし、市町村がルールを別に定めているわけでもない。
僕の所属する合議体では、基本的に更新された認定結果が要介護状態区分4以上の場合に延長を検討している。この場合でも病状が不安定であったり、状態変化の可能性がある場合は延長を行わない。要介護状態区分が3以下の場合は基本的には延長は行なっていない。重度変更がいつあるか予測できないからである。
今のところ認定有効期間を2年間に延長をしたことによる不利益が生じて困る、というような不服の声は聞かない。期間延長されていても認定期間内に状態変化があれば区分変更申請はできるのであるから問題はないであろう。
むしろこの延長期間の2年という制限は必要なんだろうかと疑問に思うことがある。
四肢麻痺でほとんど日中もベッドに臥床状態、ADL全介助で、排泄もオムツやカテーテルで対応し、食事もできず経管栄養で対応しているケースで、毎回1次判定から要介護状態区分が5である場合、今後要介護状態区分が軽度変更される可能性はみえない。
よくあるケースで、すべて全介助で食事を経口から摂っている方が、えん下困難になり経管栄養になった場合、1次判定結果が食事の基準時間が減って要介護5から要介護4に下がるケースがある。しかし実際には、そうした方は、えん下不能状態で、日常生活全介助であり、介護の手間が減っているわけではないし、2次判定で元通りの要介護5と判定されるケースが多いだろう。
経管栄養に移行しただけで食事介助がなくなったからといって、日常生活全介助で寝返り援助も必要な状態の人を要介護4以下に軽度認定するなんていうことはほとんどあり得ないからである。
そう考えると、ごく常識的に「この方は今後状態変化、病状変化があったとしても要介護状態区分が軽度変更されることはあり得ない」と判断できる要介護5の人は必ずいると思う。
そのときの認定期間は必要なんだろうか。場合によって「認定有効期間を特に定めず」として区分変更申請がない限り、現行の要介護状態区分を有効にする取り扱いがあって良いのではないだろうか。
認定審査だって1件につき決して安くはない費用がかかっている。これがなくなれば医師意見書の作成料、調査票の作成料、審査に関わる費用が相対的に減るのである。再審査の必要性がないものはポジティブに審査対象から外していってよいのではないだろうか。
保険料の滞納が認定期間を定めないことで増えるという懸念に対しては、滞納の罰則は別に定められているんだから影響は少ないだろう。
それによる国民の不利益は考えられないと思うし、誰も迷惑をこうむらないと思うのである。
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要するに、この新ソフトの一次判定ロジックと調査判定ルール、2次判定の審査ルールの検証が不十分だから、新判定が状態像を正しく反映しない結果となっている恐れがあり、その検証の期間が必要で経過措置を作ったということである。そうであるなら、わかりにくい不公平な経過措置を設けるよりも、検証が終わるまでオンボロの新判定ルールを全て凍結して、従前の審査・判定で対応すべきである。(厚生労働省は新判定ソフトを凍結せよ)
実際に新しい調査ルールで1次判定を行うと軽度判定されるケースが多い。
特に影響が大きいのが食事摂取の新判定ルールで、今までは食卓で、魚の骨をとったり、副食を食べやすくきるなどの介助があれば「一部介助」を選択していたものが、それらの行為については介助に含まないとされ「自立」と判定せざるを得ず、この部分の1次判定への影響は大きい。
その状態は特記事項に書いて、2次判定で審査せよ、ということになっているが、その裏では、厚生労働省の内部文書で「介護認定審査会の委員の関与を減らし」ということが書かれており、実際に新認定ルールでは1次判定を変えられる要素が極端に制限されている。国は口では一次判定のコンピューターの判定を二次判定で救いますと説明するが、その本音は、二次判定を形骸化して、判定結果に対する批判への緩衝材の役割しか負わせたくないということである。
今回の経過措置にしても、審査判定結果を反故にして、従前結果を適用するんだから審査判定の意味はない。こんなものにかける時間や費用は無駄である。認定審査委員も随分とコケにされたものである。
その介護認定審査会の委員を務めている。僕は制度当初からの委員ではなく、制度開始前のモデル事業から関わっている委員の方から見れば2世代目の委員ということになるだろう。
それでも2002年からの委員だから、様々な認定審査ルールの変更も経験してきている。現在は合議体の副長を務めているので、審査会に当たっては議長役になる。
新しい認定ソフトと判定ルール問題はあまりに馬鹿馬鹿しいし、別な記事の繰り返しになっても「くどい」と思われるので(参照:「新認定基準も軽度誘導へ前編・中篇・後編」)今日は前段の愚痴でとどめて、別の問題提起を行いたいと思う。
それは介護認定期間の問題である。
現在認定期間は新規の場合は半年間、更新認定の場合は原則1年間が有効期間で、ケースごとに審査会が判断して、認定有効期間を短縮したり、延長したりできることになっている。そして延長できる最高の期間は2年が限度である。これは2004年4月に改正されたルールである。(参照:要介護認定期間2年延長可能に)
それ以来、この期間延長のルールについては見直しが行われていない。
認定期間を延長するか短縮するかは、各合議体の裁量権であり、審議の結果によるもので、特別な基準があるわけではないし、市町村がルールを別に定めているわけでもない。
僕の所属する合議体では、基本的に更新された認定結果が要介護状態区分4以上の場合に延長を検討している。この場合でも病状が不安定であったり、状態変化の可能性がある場合は延長を行わない。要介護状態区分が3以下の場合は基本的には延長は行なっていない。重度変更がいつあるか予測できないからである。
今のところ認定有効期間を2年間に延長をしたことによる不利益が生じて困る、というような不服の声は聞かない。期間延長されていても認定期間内に状態変化があれば区分変更申請はできるのであるから問題はないであろう。
むしろこの延長期間の2年という制限は必要なんだろうかと疑問に思うことがある。
四肢麻痺でほとんど日中もベッドに臥床状態、ADL全介助で、排泄もオムツやカテーテルで対応し、食事もできず経管栄養で対応しているケースで、毎回1次判定から要介護状態区分が5である場合、今後要介護状態区分が軽度変更される可能性はみえない。
よくあるケースで、すべて全介助で食事を経口から摂っている方が、えん下困難になり経管栄養になった場合、1次判定結果が食事の基準時間が減って要介護5から要介護4に下がるケースがある。しかし実際には、そうした方は、えん下不能状態で、日常生活全介助であり、介護の手間が減っているわけではないし、2次判定で元通りの要介護5と判定されるケースが多いだろう。
経管栄養に移行しただけで食事介助がなくなったからといって、日常生活全介助で寝返り援助も必要な状態の人を要介護4以下に軽度認定するなんていうことはほとんどあり得ないからである。
そう考えると、ごく常識的に「この方は今後状態変化、病状変化があったとしても要介護状態区分が軽度変更されることはあり得ない」と判断できる要介護5の人は必ずいると思う。
そのときの認定期間は必要なんだろうか。場合によって「認定有効期間を特に定めず」として区分変更申請がない限り、現行の要介護状態区分を有効にする取り扱いがあって良いのではないだろうか。
認定審査だって1件につき決して安くはない費用がかかっている。これがなくなれば医師意見書の作成料、調査票の作成料、審査に関わる費用が相対的に減るのである。再審査の必要性がないものはポジティブに審査対象から外していってよいのではないだろうか。
保険料の滞納が認定期間を定めないことで増えるという懸念に対しては、滞納の罰則は別に定められているんだから影響は少ないだろう。
それによる国民の不利益は考えられないと思うし、誰も迷惑をこうむらないと思うのである。
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毎回の審査の中で必ず「要介護5以外にはない」というケースがあります。状態増として悪化することは予測できても改善することはまずないケース。でも認定結果に要介護7や8があないケースでは、認定の更新は不要ではないかと思いますね。