特養や通所介護の個別機能訓練加算算定に必要な機能訓練について「個別機能訓練」であると考えている関係者がいるが、それは大きな誤りである。
この誤解は平成18年の制度改正時「機能訓練加算」が「個別機能訓練加算」に変更されたことに端を発している。
機能訓練指導員は特養や通所介護事業所に必ず配置されていなければならない職員であるが、個別機能訓練加算を算定していない場合については、特養では機能訓練指導員を常勤換算職員(他職種との兼務や非常勤職員等)として構わないし、通所介護事業所においても毎日配置する義務はない。
しかし個別機能訓練加算を算定する場合は、特養では機能訓練指導員としての常勤専従配置(看護職員等との兼務は不可)が必要だし、通所介護事業所では1単位ごとに120分以上配置が必要である。
このルールについて18年の制度改正以前は、特養では常勤専従の機能訓練指導員が配置されておればそのほかの要件はなかったし、通所介護では120分以上の機能訓練指導員配置がある事業所はその体制だけで機能訓練加算は算定可能であった。つまり18年以前の「機能訓練加算」は、特養・通所介護事業所、どちらも単純な「体制加算」であったのである。
これが18年改正で「個別機能訓練加算」に変更になった。
その理由は加算を算定して利用者負担も増える以上、実際に加算に見合ったサービスを行うべきであるという観点から「当該個別機能訓練加算は、従来機能訓練指導員を配置することを評価していた体制加算を、機能訓練指導員の配置とともに、個別に計画を立て、機能訓練を行うことを評価することとしたもの」(平成18年4月改定関係Q&A・VOL3)という算定ルールに変更された。
これを読んでも明らかなように「個別」という意味は個別機能訓練・個別リハビリテーションを意味せず、あくまで「個別計画」を表す文言なのである。よって機能訓練も個別リハビリテーションを中心にした医学的リハビリテーションエクササイズを意味するものではない。
このことはこのブログ記事でも何度も書いてきており、あらためて確認しておいてほしい。
(参照:通所介護の個別訓練加算に関する記事一覧)
本年4月の介護報酬改定では、特養の個別機能訓練加算の変更はなかったが、通所介護には新たな加算項目が増えた。このことを中心にあらためて個別機能訓練加算算定要件である機能訓練のあり方を考えて見たい。
通所介護の3月までの個別機能加算は、4月からは「個別機能訓練加算1」と名称が変更されたが算定ルールの変更はない。それ以外に「個別機能訓練加算2」が新設された。これは常勤専従の機能訓練指導員が配置されている事業所において当該職員が勤務する日に算定できる報酬である。
その算定に当たっては実施する機能訓練の項目を複数準備して、利用者が選択でき、その項目ごとにグループを分けて活動することが定められているが、機能訓練の提供方法そのものの考え方がこれまでと変わったわけではなく、医学的リハビリテーションエクササイズを中心に、個別リハビリテーションを複数項目に分けて提供するという考え方ではない。選択項目は生活リハビリテーションを複数グループに分けて実施する方法も十分認められるものである。
そもそも機能訓練の方法を医学的リハビリテーションエクササイズとした場合、そういう方法を通所介護で行うことは法的に問題となるのではないだろうか。
医学的リハビリテーションエクササイズと考えるのなら仮に機能訓練指導員としてセラピストが配置されていたとしても、その判断により実施できることにはならず、医師の指示が不可欠であろう。
しかし通所介護をサービス計画に組み込む場合、それは福祉系サービスであるため、担当介護支援専門員はかかりつけ医師の意見を求める必要はないし、ましてやかかりつけ医師だからといって通所介護事業所にリハビリの指示・処方を出すことはできない。
老人保健施設や通所リハビリテーションの場合は、医師が配置されており医師の指示の元で、医学的リハビリテーションエクササイズとしての個別リハビリテーション実施が可能であるが、通所介護の場合はこれが不可能である。個別機能訓練加算の算定要件である計画の作成要件(老企36号7の(7)5)においても、その計画担当者に医師は入っていないことを鑑みても、この訓練計画と実施内容は医師の指示の必要がない生活リハビリテーションが中心と考えざるを得ない。
なお医師が計画に参画していなくてもよい規定は、特定施設と特養の個別機能訓練加算も同様であり(老企40号4の(2)3)これらの施設の機能訓練も医学的リハビリエクササイズ以外のサービスを対象にしていることは明白である。
医療保険の外来リハビリテーションの制限が厳しくなったことで、介護保険サービスに求められるリハビリテーションの役割はより大きくなったといえるであろう。しかし医師が配置され指示を行うことができる医療系サービスと、そうではない福祉系サービスの機能は同じではない。
その目的は同じであるとしても自ずと方法論は異なってくる。
通所介護に求められる機能訓練の方法も「治療よりも援助」の視点が中心となり、生活行為と連動させる視点を持った具体的方法が個別機能訓練として計画される必要があるだろう。
そしてそれは通って利用するというサービスの特徴である「社会参加」と「他者との交流機会を持つことによる心身活性化効果」を含め、人と環境の交互作用へも着目した機能改善と介護予防の方法論とすべきであろう。
機能訓練という言葉から医学的リハビリテーションエクササイズしか想像できないこと自体が一番の廃用リスクである。
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この誤解は平成18年の制度改正時「機能訓練加算」が「個別機能訓練加算」に変更されたことに端を発している。
機能訓練指導員は特養や通所介護事業所に必ず配置されていなければならない職員であるが、個別機能訓練加算を算定していない場合については、特養では機能訓練指導員を常勤換算職員(他職種との兼務や非常勤職員等)として構わないし、通所介護事業所においても毎日配置する義務はない。
しかし個別機能訓練加算を算定する場合は、特養では機能訓練指導員としての常勤専従配置(看護職員等との兼務は不可)が必要だし、通所介護事業所では1単位ごとに120分以上配置が必要である。
このルールについて18年の制度改正以前は、特養では常勤専従の機能訓練指導員が配置されておればそのほかの要件はなかったし、通所介護では120分以上の機能訓練指導員配置がある事業所はその体制だけで機能訓練加算は算定可能であった。つまり18年以前の「機能訓練加算」は、特養・通所介護事業所、どちらも単純な「体制加算」であったのである。
これが18年改正で「個別機能訓練加算」に変更になった。
その理由は加算を算定して利用者負担も増える以上、実際に加算に見合ったサービスを行うべきであるという観点から「当該個別機能訓練加算は、従来機能訓練指導員を配置することを評価していた体制加算を、機能訓練指導員の配置とともに、個別に計画を立て、機能訓練を行うことを評価することとしたもの」(平成18年4月改定関係Q&A・VOL3)という算定ルールに変更された。
これを読んでも明らかなように「個別」という意味は個別機能訓練・個別リハビリテーションを意味せず、あくまで「個別計画」を表す文言なのである。よって機能訓練も個別リハビリテーションを中心にした医学的リハビリテーションエクササイズを意味するものではない。
このことはこのブログ記事でも何度も書いてきており、あらためて確認しておいてほしい。
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本年4月の介護報酬改定では、特養の個別機能訓練加算の変更はなかったが、通所介護には新たな加算項目が増えた。このことを中心にあらためて個別機能訓練加算算定要件である機能訓練のあり方を考えて見たい。
通所介護の3月までの個別機能加算は、4月からは「個別機能訓練加算1」と名称が変更されたが算定ルールの変更はない。それ以外に「個別機能訓練加算2」が新設された。これは常勤専従の機能訓練指導員が配置されている事業所において当該職員が勤務する日に算定できる報酬である。
その算定に当たっては実施する機能訓練の項目を複数準備して、利用者が選択でき、その項目ごとにグループを分けて活動することが定められているが、機能訓練の提供方法そのものの考え方がこれまでと変わったわけではなく、医学的リハビリテーションエクササイズを中心に、個別リハビリテーションを複数項目に分けて提供するという考え方ではない。選択項目は生活リハビリテーションを複数グループに分けて実施する方法も十分認められるものである。
そもそも機能訓練の方法を医学的リハビリテーションエクササイズとした場合、そういう方法を通所介護で行うことは法的に問題となるのではないだろうか。
医学的リハビリテーションエクササイズと考えるのなら仮に機能訓練指導員としてセラピストが配置されていたとしても、その判断により実施できることにはならず、医師の指示が不可欠であろう。
しかし通所介護をサービス計画に組み込む場合、それは福祉系サービスであるため、担当介護支援専門員はかかりつけ医師の意見を求める必要はないし、ましてやかかりつけ医師だからといって通所介護事業所にリハビリの指示・処方を出すことはできない。
老人保健施設や通所リハビリテーションの場合は、医師が配置されており医師の指示の元で、医学的リハビリテーションエクササイズとしての個別リハビリテーション実施が可能であるが、通所介護の場合はこれが不可能である。個別機能訓練加算の算定要件である計画の作成要件(老企36号7の(7)5)においても、その計画担当者に医師は入っていないことを鑑みても、この訓練計画と実施内容は医師の指示の必要がない生活リハビリテーションが中心と考えざるを得ない。
なお医師が計画に参画していなくてもよい規定は、特定施設と特養の個別機能訓練加算も同様であり(老企40号4の(2)3)これらの施設の機能訓練も医学的リハビリエクササイズ以外のサービスを対象にしていることは明白である。
医療保険の外来リハビリテーションの制限が厳しくなったことで、介護保険サービスに求められるリハビリテーションの役割はより大きくなったといえるであろう。しかし医師が配置され指示を行うことができる医療系サービスと、そうではない福祉系サービスの機能は同じではない。
その目的は同じであるとしても自ずと方法論は異なってくる。
通所介護に求められる機能訓練の方法も「治療よりも援助」の視点が中心となり、生活行為と連動させる視点を持った具体的方法が個別機能訓練として計画される必要があるだろう。
そしてそれは通って利用するというサービスの特徴である「社会参加」と「他者との交流機会を持つことによる心身活性化効果」を含め、人と環境の交互作用へも着目した機能改善と介護予防の方法論とすべきであろう。
機能訓練という言葉から医学的リハビリテーションエクササイズしか想像できないこと自体が一番の廃用リスクである。
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私は特養に努めております、介護福祉士でございます。
昨年までリハビリ担当をしていました。(担当時の機能訓練指導員は、あん摩マッサージ師で現在は作業療法士です)
個別機能訓練の3ヶ月の見直しについて先日東京都の実施検査で指摘があり疑問に思っているので質問させて下さい。
*個別機能訓練を行う場合は、開始時及びその3か月後に1階以上利用者に対して個別機能訓練計画の内容を説明し、記録する。*
と、ありますが・・・
入所時に作成しております訓練計画にはご利用者様及びご家族様の同意を得ておるのですが、3か月の見直しには(変更があった場合)同意は必要なのでしょうか?
説明・記録は実施してますが、3か月の見直しの同意は過去から1度も受けていません。
2年半前の監査時には指摘はなかったのですが、今回指摘があり減算等はありませんでしたが、実施した方が良いという事なのでしょうか?