昨年9/18に行われた介護給付費の改定に関する国のヒヤリングにおいて、高知県が「中山間地域はサービス利用者宅の訪問に多くの時間がかかり事業の採算が合わない。」として僻地や離島の事業者に対する運営費補助制度の創設を要望した。

その報道を耳にしたとき、なるほどそうした地域における移動時間は大変だろうなと思った。そしてこうした問題に関しては介護給付費の中である程度面倒を見ないと、移動時間がかかり採算がとれない地域の福祉ニーズを守ることができなくなる恐れがあると感じた。同時にそのことは、高知とか四国だけの問題はなく全国の同じような地域を含めて考える必要があるのではないかと考え、その提言としての記事「小さな福祉ニーズは守ることができるのか」を書いた。

しかしこの時点で、僕が想定していたのは北海道全域ではなかったし、ましてや僕の住む地域は田舎とはいえ人口5万人を越える市であるし、冬の降雪も多い地域ではなく雪で移動が困難になることも少ないので、まったく対象となることは想定していなかった。

しかし改定報酬概要を見たときに、北海道の全市町村がこの対象地域であることがわかってびっくりした。それはこの加算の地域条件に「豪雪地帯対策特別措置法」の指定地域が入っているためで、北海道の全市町村はこの法律の指定地域だからである。

よって「中山間地域」という名称のイメージから遠い政令指定都市の札幌市も、要件さえ合えば当然この加算を算定できることになる。

中山間地の加算については2種類あり

1.「中山間地等に所在する小規模事業所」がサービス提供する場合に所定単位数の10%加算できる。
2.「中山間地等に居住する者」にサービス事業所が通常事業実施地域を越えてサービス提供した場合に所定単位数の5%加算できる。

である。1については訪問介護(予防含む)、訪問入浴介護(予防含む)、訪問看護(予防含む)、福祉用具貸与(予防含む)、居宅介護支援の5つのサービスで、利用者数やサービス提供数等が一定基準以下の事業所が提供するサービスすべてにおいて算定できる加算で、これについては届出が必要になる。

2については1に挙げた5種類のサービスに加え、通所リハビリテーション(予防含む)、通所介護(予防含む)の7種類が対象となり、これらの事業所が「通常事業実施地域」を越えてサービス提供した利用者に対する所定単位数のみ5%加算できる。これは加算の届出は必要ない。

そして1の事業者は条件が揃えば2も算定できる。

当施設併設事業所の場合、居宅介護支援事業所のプラン作成数が1の基準である「計画件数20人以下/月」に該当するため4月以降の全ての居宅介護支援費に10%加算できる。さらに「通常事業実施地域」は登別市になっている為、お隣の白老町などの利用者のプランを立てればさらに5%加算が算定できる。実際には登別の室蘭寄りの地域より、白老の登別寄りの地域の方がずっと近いのであるが、こういうルールである。ただし居宅介護支援費は利用者自己負担がないのでトラブルはないだろうが、訪問介護等のサービスでは、これに伴い利用者自己負担もアップするので、説明同意には注意が必要だろう。

1の10%加算に対する利用者負担については、他地域との均衡を図るために利用者負担が通常の1割(10%)負担から9%負担に軽減されているが、2の加算に対しては軽減がないのでなおさらである。

ただしこうした加算はルールに沿ったもので、決して高い単価になっていない現状の介護報酬では、加算算定により経営がやっと安定する事業者もあるだろうから、基準の範囲である限り、こうした加算を算定できる旨は、利用者に対して真摯に、かつ堂々と説明してよいと思う。しかし札幌や旭川などの大きな都市でなくとも「中山間地域」という加算名称に違和感を持つ利用者は多いと思え、懇切丁寧な説明は欠かせないし、説明しても首を傾げる人は多いだろう。

しかしそのことも社会福祉援助者として、コミュニケーション能力を高める訓練と考えて工夫することが必要だろう。

ただし2の5%加算を算定する為という理由だけで「通常の事業実施区域」を縮小して届け出るという事業者の対応があることについては、いくら経営状態が苦しく、介護報酬が十分ではないといっても、事業者の矜持の問題として、あるいは3月までの事業実施における考え方の整合性という面において、諸手を挙げて賛同はできない。

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