4月の改定介護報酬では、今までターミナルケアの評価が特養の「看取り介護加算」と、介護療養型老健の「ターミナルケア加算」しかなかったものが、前者はグループホームにおいても、後者は既存型老健でも算定できるようになっている。

特養の看取り介護加算の算定方法も死亡日に一番単価が高く、死亡日から遡って単価が変わる体系に変わっている(ただし死亡日より30日の総額は現在までと同じ)。そして今までこの加算算定要件であった「重度化対応加算算定施設であること」という条件が、同加算が廃止削除されたことによりなくなった。替わりに重度化対応加算の要件が看取り介護加算の算定要件に加えられている。

ところでここで一部の関係者に誤解が生じているのが「看取り介護加算」の算定は看護師が配置されていない准看護師のみの施設でも算定できるのではないか、そして定期的な研修も必要がなくなったのではないか、ということである。

確かに老企40号の5(25)1の文言は、旧通知の看護師が看護職員に変更されている。しかしこれは配置基準を示したものではなく「随時、本人または家族に対して行わねばならなかった説明」が看護師から看護職員という表記に変わっただけである。(しかし3月までも、看護師、介護職員等とされていたため准看護師の説明でも不可だったわけではない。わかりやすくしたという意味だろう)

そして看護師配置や看取り介護の定期研修実施要件は、今まで重度化対応加算要件であり、解釈通知老企40号の看取り介護加算の項目にはそれは掲載されていない。しかしこの基準は厳格に残っているのである。

その規定とは厚生労働大臣が定める施設基準(告示第26号)である。この中で「常勤の看護師を1名以上配置すること」と明示されており、定期的な研修の規定も別に示されている。よって看取り介護の算定要件として、看護師の配置や定期的な看取り介護研修の実施義務等は3月までと変わっていないのである。つまり基本的に算定要件自体は3月までの看取り介護加算の要件から緩和されたものはないという理解が必要である。この点を是非間違いのないように取り扱っていただきたい。

特に看取り介護研修は義務要件があるなしに関わらず重要である。これなくして看取り介護の施設内コンセンサス形成は困難である。適切な看取り介護の実践には、年数回以上の「看取り介護研修」が必須であり、新たに算定しようとする施設は、特養でも、老健でも、グループホームでもきちんとその教育に取り組んでいただきたい。

看取り介護の現場では様々な想定外のことが起こる。その時にうろたえることなく最善の対応をすることが専門職に対して求められる役割であり、そのために看取りの介護の現場では、特養の介護チームだけではなく、医師や看護職員の医療職の参加と連携が不可欠であるし、その備えの為にも研修を通じた教育が不可欠なのである。

ところで今回、また新たな課題を看取り介護の実践のなかから得ることになった。

91歳で老衰で亡くなられた方であったが、最期の1日は早朝から点滴の針もさせなくなって、家族がずっと付き添うことになった。その際に、家族から最後は自宅で過ごさせたい、という希望が出された。

施設側としては、その希望の実現に協力したいと考えて、前向きに検討することにした。しかし最終的にネックになったのは、自宅に戻った際の医師の関わりが困難になる点である。自宅は当施設から地域が離れた場所にあるし、施設所属医師がそこに出向いて対応することも不可能である。

実際に最期の場面まで医師が治療行為等で関わりを持つ可能性は少ないと思えたが、死亡確認の為だけに自宅を訪問してくれる医療機関もないということで、結果的にこの方が自宅に戻るということは実現しなかった。その夜8時過ぎ、家族に見守られながら長年住み慣れた自室で静かにご逝去された結果から言えば、決してご当人やご遺族が不満を感じるものではなかったと思うが、想定外の希望に即座に対応できない様々な問題があることをあらためて知ることとなった。

例えば、このような場合、最初から自宅で最期の日を看取りたいと希望されていても、施設所属医師しか担当医がいない状況ではその希望の実現は難しいだろう。可能性として考えられるのは、あらかじめ「最後は自宅で引き取って看取る」という本人や家族の意向が明確な方で「末期がん」の方であれば、施設所属医師以外の外部の医療機関からの訪問診療や、その医療機関の指示による訪問看護が可能なので、あらかじめその方の自宅のある地域の医療機関にそのような形で施設にいる間から協力してもらって、自宅での看取りにつなげるという方法であろう。

しかしながら現実に、在宅療養支援診療所が皆無の当地域で、一般の医療機関がそのような対応をしてくれることも難しいのが現況である。

いくら施設で最期の瞬間を過ごす際に、心を込めて寂しい状況を作らず、家族泊り込んでケアできる状況であっても、息を止める瞬間を自宅で迎えたい、という希望をかなえない理由にはならないので、この点は何か方法がないかと考え続けねばならない問題だろうと思っている。

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