昨日国から改定介護報酬に関する最初のQ&Aが出され、新加算報酬解釈の問題で現場は届出の時期と重なり今てんやわんやだろう。

しかしその問題とは別に、現行の介護サービスの現場に課せられたルールのなかには非常に矛盾を抱えた問題がいつまでも修正されずに放置されているものもある。改定報酬の話題は表の掲示板で様々に論じているので裏でも書くと疲れちゃうという意味もあるのだが、あえてこの時期だから、今回の改正とは直接関係のない問題を取り上げてみたい。

特別養護老人ホームの利用者の健康管理は、配置されている施設所属医師が主体となって行うことになっている。

しかしその際に必要な治療としての医療材料費等は特養の介護給付費に含まれておらず、施設所属医師が勤務している医療機関から診療報酬を別に算定する。(ここが老健のマルメ報酬:介護給付費に基本医療の費用が含まれており老健の持ち出しになるということと異なっている点である。)

しかし診療報酬算定ルールには制限があり、特養での治療行為においては算定できない費用もある。それを定めているのが厚生労働省・医政局通知「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」である。

この通知は特養に向けて発出されているものではなく、各医療機関に向けて出されているものだ。しかし特養の利用者の診療に関する問題であるから、特養の関係者が知らなくて良いわけが無い。利用者の自己負担問題にも絡んでくるからだ。

ここで定められているルールとして、例の「保険医が、配置医師でない場合については、緊急の場合又は患者の傷病が当該配置医師の専門外にわたるものであるため、特に診療を必要とする場合を除き、それぞれの施設に入所している患者に対してみだりに診療を行ってはならない。」というものがある。これはショートステイ(短期入所生活介護)利用者に対しても同様に適用されるルールで、基本的には特養には配置医師がいるのだから、利用者が病気になった場合の診療も配置医師が行なうべきであり、外部の医療機関の受診は配置医師の専門外の病状か、急病の場合だけであることを定めているものである。

これは原則を守って、利用者の病状等で臨機に対応すればよい問題で、さほど問題視しなくても良いだろう。

しかし問題は「特別養護老人ホーム等の職員(看護師、理学療法士等)が行った医療行為については、診療報酬を算定できない。」というルールが存在することである。

前述したように、特養は保険医療機関ではないので診療報酬は算定できないし、介護老人保健施設のように医療費分が介護報酬に包括されている「マルメ報酬」でもない。このため例えば利用者が特養内で点滴を実施する場合、施設所属医師が勤務している医療機関から点滴材料費を別に医療保険で算定することになる。手技料は算定できないが薬剤料は医療保険から出るのである。つまり点滴の薬液自体は当該医療機関から持ち込んだものを使うという意味である。

これについて「特別養護老人ホーム等の職員(看護師、理学療法士等)が行った医療行為については、診療報酬を算定できない。」というルールが存在することにより、どのような矛盾が生ずるかと言えば、その原則に則れば施設所属医師が指示をして、点滴の針を施設の看護師が利用者にさした場合は、医師の所属する医療機関から医療保険に診療報酬を請求できず、点滴材料費がどこからも出ないことになる。それでは施設の看護職員は何のために配置されているのか意味がわからない。

もちろん、この場合であっても利用者に薬液量を請求することはできない。そんなことを行えば法律で認められていない混合診療(保険医療と保険外医療が混在する状態)となってしまうからである。そうするとこの通知は医療機関に向けられたものであるから、点滴材料費は医療機関の持ち出しということになる。いまどき費用を持ち出して負担をかぶってまで診療を行ってくれる医療機関などあり得ない。よって結果的には必要な診療が行われなくなる可能性がある。

このルールがある限り点滴等の診療報酬算定が必要な行為は、施設所属医師が自身で行うか、施設所属医師の勤務する医療機関の看護職員等を別に連れてきて診療行為を行うということになってしまう。(実際に当施設ではこのような状況になっている。)これでは施設の看護職員は何のためにいるんだろう、という疑問が生じないほうがおかしい。

看取り介護などの現場では、水分摂取が困難となる利用者の安楽のために点滴が必要な場面も多くなる。その際に厳密にこのルールを解釈すれば、施設の看護職員が医師の指示の元に点滴の針を利用者に射すことは、行為としては可能でも、そうすれば点滴材料費はどこにも請求できないということになる。そうであれば看護師が義務配置されている意味が無い。

医療機関に向けて出されている医政局通知だから、特養のルールとは関係ないということにはならないし、このことをもっと老施協として取り上げて改正に向けた声を挙げていく必要があるのではないかと考える。この問題は医療機関の問題というより、施設サービスにおける医師の診療のあり方の問題という側面が強いのであるから、老施協も真剣に考えてほしいと常日頃思っている次第である。

是非、検討課題としてもらいたい。

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