12/5に行われた老施協主催の「施設ケアマネジャー研修会」のシンポジウムでは、シンポジストの方々から様々な角度から内容の濃い発表があった。外交辞令ではなく心からそう思った。
僕はコーディネーターという立場ではあったが、発表を聞きながら個人的にも非常に勉強になった。頑張っている仲間達がたくさん全国にいることもあらためて感じさせられた。
看取り介護の実践では、看取り介護期の統一的な関わりを行うための職員の意識向上の方法として、まず各自の死生観を全員にアンケートで確認してBC法によって「こんな死に方は嫌だ」というテーマで研修を行い、施設の看取り介護の方法に対する職員の意識改革を進めサービス方法を変えていった事例が報告された。
また他職種との兼務を行っている複数のケアマネジャーが配置されている施設では、兼務業務をまったく行わない日を作ったり(これは看護・介護業務との兼務だからできることで相談員との業務区分は施設システムとして業務分掌をしっかりしていないと難しい)、施設内でケアマネの連絡会を作って連携と情報共有を図っているというユニークな報告もなされた。
またケアプランの評価について、アウトカムの評価をするためにはゴールの設定が不可欠なのだから、必然的にその目標はきちんと評価しうる具体的なゴールがわかるものでなければならない。それはADLの改善に限るものではなく、QOLの向上というゴールであっても良いが、きちんと評価しうるゴールの設定がなされているかということが多職種がチームとして連携する要点のひとつとなるという発表もあり、QOLの評価の具体例なども示され大変興味深く聞かせていただいた。
まったくその通りである。
ただその中で、ポジティブプランの定義が不明瞭であり、本来具体的な定義に基づいて理由をアセスメントするんだから、ポジティブプランの定義自体があいあまいなままでは、逆にそういう概念(ポジティブプランという概念)を持ち出すことにより、チームがプランの意味を理解する上で障害となる場合があり適切なアセスメントに結びつかないケースがあるという指摘があった。
アセスメントについては、その通りだろうとは思うが、ここにはある誤解も含まれていると思ったので、僕は「落としどころ」と表現して、ひとつの意見を述べた。ただその際に時間もなかったので表現上の誤解があるといけないのでポジティブプランとは何かと言うことについて、ここであらためてまとめておきたいと思う。
発表者から、ポジティブプランの定義を調べたが明瞭なものはなかったという発言はあったが、これはある意味当然で、社会通念として、あるいは世界の福祉関連業界で共通した概念として存在する「ポジティブプラン」という概念はない。
なぜなら、これは和製造語で、それも現在の介護サービスに限っていえば、それはこの国の介護保険におけるケアプラン作成という狭い領域に特定された概念であり、それは平成15年の介護支援専門員実務研修カリキュラムとテキスト及びケアプラン記入の手引きの変更の中で示された考え方であるに過ぎないもので、全世界、全業界に共通する定義や概念ではないからである。
しかしだからといってポジティブプランは、定義が曖昧で実体のないものだということではない。
介護保険制度における介護サービス計画(ケアプラン)に限った中でいえば、その定義は明確なのだ。
それは支援目標を設定する生活課題を、利用者の障害という個人の問題としてマイナス面から考え、単にできないことを支援者が替わって行うという目標と方法論ではなく、個人の問題だけではない環境因子も含めた生活課題という側面を重視して、様々な障害があっても実現できる暮らしを能動的に実現する目標とそのための具体的支援方法を考える、という意味である。
これは先に示した「介護支援専門員のテキストとケアプラン記入の手引き」に明記されている。
まあ逆に言えば、今現場で求められているポジティブプランの定義とは、その程度の単純な理解で良いということだ。何度かこのブログで繰り返し書いているが我々の仕事はポジティブプランを作ることではなく、利用者の当たり前の生活を守ることであって、そのためにポジティブプランとは使いこなす道具としてのケアプラン作成のひとつの考え方に過ぎないんだから。
ところでここで考えてほしいことは、ポジティブプランに限らず、現行の介護サービスの計画作成において重視されているのは、利用者本人や家族の意向の確認ということである。
この際に注意しなければならないことは「デマンドとニーズは異なる」として利用者の希望や意向が歪められることである。確かに真のニーズ把握は必要だが、利用者の意向や希望を単にデマンドと解釈するだけではいけない。
なぜなら個人の生活とはもっとも個別的、非専門的な領域であるからだ。
介護支援専門員であっても理解が及ばない個別性が含まれているのが個人の生活である。本人が一番よくわかっている、ということは時に真実ではないときもあるが、時には正しい場合もあるのだ。少なくとも生活の意向に含まれる真のニーズに介護支援専門員という専門家がすべて気付くということは不可能である。
つまり、ここで必要なのはデマンドとニーズとう区分ではなく、主観的ニーズと客観的ニーズの違いという理解であるし、それはある意味、顕在的ニーズと潜在的ニーズと捉える必要性もあるだろう。
そういう意味では、生活の個別性というものの理解の方が、ポジティブプランの定義より大切なことだろうと思う。
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僕はコーディネーターという立場ではあったが、発表を聞きながら個人的にも非常に勉強になった。頑張っている仲間達がたくさん全国にいることもあらためて感じさせられた。
看取り介護の実践では、看取り介護期の統一的な関わりを行うための職員の意識向上の方法として、まず各自の死生観を全員にアンケートで確認してBC法によって「こんな死に方は嫌だ」というテーマで研修を行い、施設の看取り介護の方法に対する職員の意識改革を進めサービス方法を変えていった事例が報告された。
また他職種との兼務を行っている複数のケアマネジャーが配置されている施設では、兼務業務をまったく行わない日を作ったり(これは看護・介護業務との兼務だからできることで相談員との業務区分は施設システムとして業務分掌をしっかりしていないと難しい)、施設内でケアマネの連絡会を作って連携と情報共有を図っているというユニークな報告もなされた。
またケアプランの評価について、アウトカムの評価をするためにはゴールの設定が不可欠なのだから、必然的にその目標はきちんと評価しうる具体的なゴールがわかるものでなければならない。それはADLの改善に限るものではなく、QOLの向上というゴールであっても良いが、きちんと評価しうるゴールの設定がなされているかということが多職種がチームとして連携する要点のひとつとなるという発表もあり、QOLの評価の具体例なども示され大変興味深く聞かせていただいた。
まったくその通りである。
ただその中で、ポジティブプランの定義が不明瞭であり、本来具体的な定義に基づいて理由をアセスメントするんだから、ポジティブプランの定義自体があいあまいなままでは、逆にそういう概念(ポジティブプランという概念)を持ち出すことにより、チームがプランの意味を理解する上で障害となる場合があり適切なアセスメントに結びつかないケースがあるという指摘があった。
アセスメントについては、その通りだろうとは思うが、ここにはある誤解も含まれていると思ったので、僕は「落としどころ」と表現して、ひとつの意見を述べた。ただその際に時間もなかったので表現上の誤解があるといけないのでポジティブプランとは何かと言うことについて、ここであらためてまとめておきたいと思う。
発表者から、ポジティブプランの定義を調べたが明瞭なものはなかったという発言はあったが、これはある意味当然で、社会通念として、あるいは世界の福祉関連業界で共通した概念として存在する「ポジティブプラン」という概念はない。
なぜなら、これは和製造語で、それも現在の介護サービスに限っていえば、それはこの国の介護保険におけるケアプラン作成という狭い領域に特定された概念であり、それは平成15年の介護支援専門員実務研修カリキュラムとテキスト及びケアプラン記入の手引きの変更の中で示された考え方であるに過ぎないもので、全世界、全業界に共通する定義や概念ではないからである。
しかしだからといってポジティブプランは、定義が曖昧で実体のないものだということではない。
介護保険制度における介護サービス計画(ケアプラン)に限った中でいえば、その定義は明確なのだ。
それは支援目標を設定する生活課題を、利用者の障害という個人の問題としてマイナス面から考え、単にできないことを支援者が替わって行うという目標と方法論ではなく、個人の問題だけではない環境因子も含めた生活課題という側面を重視して、様々な障害があっても実現できる暮らしを能動的に実現する目標とそのための具体的支援方法を考える、という意味である。
これは先に示した「介護支援専門員のテキストとケアプラン記入の手引き」に明記されている。
まあ逆に言えば、今現場で求められているポジティブプランの定義とは、その程度の単純な理解で良いということだ。何度かこのブログで繰り返し書いているが我々の仕事はポジティブプランを作ることではなく、利用者の当たり前の生活を守ることであって、そのためにポジティブプランとは使いこなす道具としてのケアプラン作成のひとつの考え方に過ぎないんだから。
ところでここで考えてほしいことは、ポジティブプランに限らず、現行の介護サービスの計画作成において重視されているのは、利用者本人や家族の意向の確認ということである。
この際に注意しなければならないことは「デマンドとニーズは異なる」として利用者の希望や意向が歪められることである。確かに真のニーズ把握は必要だが、利用者の意向や希望を単にデマンドと解釈するだけではいけない。
なぜなら個人の生活とはもっとも個別的、非専門的な領域であるからだ。
介護支援専門員であっても理解が及ばない個別性が含まれているのが個人の生活である。本人が一番よくわかっている、ということは時に真実ではないときもあるが、時には正しい場合もあるのだ。少なくとも生活の意向に含まれる真のニーズに介護支援専門員という専門家がすべて気付くということは不可能である。
つまり、ここで必要なのはデマンドとニーズとう区分ではなく、主観的ニーズと客観的ニーズの違いという理解であるし、それはある意味、顕在的ニーズと潜在的ニーズと捉える必要性もあるだろう。
そういう意味では、生活の個別性というものの理解の方が、ポジティブプランの定義より大切なことだろうと思う。
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