少子化が進んで小中学校の空き教室が目立つようになったのは、もうだいぶ前からのことである。

当然、その影響は大学に進学する学生数にも影響があるんだろうと思って調べてみた。しかし実際に統計を見ると、大学・短大の志願者数は第2次ベビーブームの影響から1986年度以降上昇を続け、1992年度に120万人を超えてピークを迎えた後、短大の進学者数は大きく減っているが、大学への進学者数は増え続けており、定員数も増えている。

これは4年制大学への志向が強く進学率がアップしたことが原因だろうと思う。また外国人留学生の受け入れ人数が増えていることが大学の定員増に多少影響しているんだろう。

さらにいえば受け入れる側の大学の数が増え続けていることも進学率上昇の大きな要因といえる。2008年4月における大学数(大学院大学、通信課程のみの大学を除く)は726校と20年前に比べて230校も増加している。特にここ数年、新設されている大学には福祉や看護・薬・医療といった学部の設置が目立っている。

つまり、こと大学に限って言えば、少子化が進行する社会情勢とは逆に、その数は増え続けているというわけである。

なるほど、そういえば最近は僕らが学生時代にはなかった大学名を聞くことが多い。こんな大学あったの、と思っていると設立年度がかなり新しかったりする。しかも上述したように我々の業界とは非常に関連が深い福祉系学部等の専門大学が増えているのである。

そうした大学は規模が比較的小さなものが多く、学部の数も専門領域に限られているので数が多くない。我々が学生時代にイメージしていた「大学」という規模から言えば非常に少ない学生数の大学もある。

多くの学生に進学機会が増えているのは良いことだろうし、一極集中化しないで地方にも小さなキャンバスが点在することも悪いことではないだろう。

しかしそこで教える教授陣の質はどうなんだろう。僕らが学生時代、大学教授というのは「偉い先生」というイメージがあったが、現在そのようなイメージとはほど遠い人も多いように思える。それは自分が年をとったせいでもあるのかもしれないが、そのこととは関係のない要素も多いように感じている。大学の教授や准教授や講師といっても箸にも棒にもかからないようなくだらない研究論文を書いている者もいるし、それ以外にも大学の役割とはなんぞや、という疑問を持たざるを得ないような考え方をしている人々も見られるからだ。

ある小さな福祉系大学の学長が、盛んに自校の社会福祉士の国家試験合格率を自慢している。確かに国家試験合格率が高いということは大学のステータスに繋がるし、学生集めに有効なのかもしれない。

特に社会福祉士は現役学生より社会人のほうが合格率が高いということもあり、現役学生の合格率を高めることに大学側が躍起になることは理解できないわけではない。

しかし国家試験の合格率を高めるために大学があるわけではないだろう。試験の合格率が大事と思うんなら専門学校でも設立した方が良い。そもそも社会福祉士の国家試験など、それに絞って集中的に勉強すれば合格率などすぐアップできる程度のものだ。そんなものは手柄にはならんだろうに・・・。

むしろ大学とは、そういう俗物的(このいい方は語弊があるか?)な結果を求めるだけではなく、もっと専門的な研究ができる人材を育てる機関だろうと思う。一般教養や専門知識はそれなりに大切だろうが、極端な話そういうものにわずらわされないもっと大きなスペシャリストを養成する視点が必要だろう。

少なくとも社会福祉士の国家試験の合格率を自慢げに語るような教授陣に教えられる学生は不幸である。もっとグローバルな専門家を作るような研究ができることのほうが大事だ。国家試験の合格なんてそのあとに自然とついてくるもので、その気になった時に合格すればよい程度のものだ。

大学の進学動機が国家試験合格であるわけがないんだから。

もっと個性ある、大きな人材をこの業界に輩出してほしいものである。

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