新判定ソフトによるモデル事業が行われてきたが、11/25の「要介護認定調査検討会」において、このソフトによる介護認定が平成21年4月1日以降の更新分の判定から実施されることが正式決定された。

もちろんモデル事業などセレモニーに過ぎないので、多くの関係者はこの決定が既定路線であることは承知だったろう。

今後、各市町村にこの新判定ソフトが来年1月中に配布され、2月の審査会から新基準の1次判定結果によるケースが審査対象となってくる。その後、新旧判定が一時的には混在するが新基準において判定を行うケースが随時増えて行くことになる。

今後のタイムスケジュールとしては以下の通りとなる。

1.マニュアルの配布(12月〜1月)
2.新判定ソフト配布(1月中旬)
3.平成21年3月で有効期間が満了する者の更新申請の受付開始(有効満了期間の60日前から)
4.平成21年4月全面施行。

82項目から74項目に変更される「介護認定ソフト2009」は現在の認定ソフトの項目との比較を、ここで再確認してみよう。

(追加項目;6項目)
1.話がまとまらず、会話にならない
2.買い物
3.簡単な食事の調理(献立を含む)
4.人の都合を考えないで自分勝手に行動する
5.意味もなく独り言や独り笑いをする
6.集団への参加ができない

(削減項目;14項目)
1。(1-2)関節の動く範囲の制限(肘関節)
2.(1-2)同上(足関節)
3.(4-1)じょくそうがありますか
4.(4-1)じょくそう以外で処置や手入れが必要な皮膚疾患等はありますか
5.(4-1)飲水
6.(5-5)電話の利用
7.(6-4)介護者の指示への反応
8・(7のウ)実際にないものが見えたり、聞こえること
9.(7のカ)暴言や暴行
10.(7のソ)火の始末や火元の管理ができないこと
11.(7のチ)不潔な行為を行う(排泄物を弄ぶ)こと
12.(7のツ)食べられないものを口に入れること
13.(10-1)日中の生活
14.(10-3)環境等の変化

である。追加項目のうち「話がまとまらず、会話にならない」人や、「人の都合を考えないで自分勝手に行動する」人は我がスタッフにもいるかもしれない?
「意味もなく独り言や独り笑い」を僕の息子は時折している。
「集団への参加ができない」人はたくさん心当たりがある・・・。

それはさておき、モデル事業における現行ソフトとの一次判定の比較は、一致が57.6%、現行ソフトより重度判定が22.6%、同軽度判定が19.8%であるとし、2次判定では、この新ソフトの1次判定との一致率が63.2%、重度変更が16.7%、軽度変更が20.1%であるとして、結果「全国における各要介護(要支援)状態区分の出現割合については一次判定、二次判定ともにほぼ現行の審査判定と同等である」と結論付けている。この結論が意味不明である。

現行ソフトとほぼ同じ結果であるなら、何故変える必要があるのか、それにより精度が上がるなんてことにはならないではないか。

そもそもこのソフトの変更は「精度を上げる」ためではなく、「認定のばらつきを防いで平準化させる」のが目的である。つまり調査員の判断が全国一律で迷わないようにする、という項目変更がされたのであり、同時に影では審査会の変更の裁量権を著しく狭めたルールを押し付けることにより「平準化」の名の元に、要介護度が重く出るケースを減らして、2次判定でそれを変更できない仕組みを作り上げているのである。まったくひどいソフトである。

僕の調査では、状態がまったく変わらない「要介護2」の対象者が、新判定ソフトでは「要支援2」と変更されるケースが抽出されているが、それ以上に大きな問題がある。

11/25の「要介護認定調査検討会」で、鳥羽委員から「新ソフトによる要介護5の出現率が現行より2割少なくなっている」と指摘がされている問題である。現場の関係者は注視すべきである。特に認定審査に関わる関係者は、このことを十分把握しておくべきだ。

結論からいえば、この新ソフトは一番介護が必要な「現行認定における要介護5の利用者」の支給限度額が減らされる可能性が高いソフトになっているのである。姑息な介護給付費抑制手段といってよい。

この検討会や新ソフト作成に関わった当事者が何といおうと、事実として、このソフトは介護度が出にくく、現行ソフトより軽度変更者が増えることに間違いはない。

困惑する高齢者に説明が必要になるケースが増えるだろう。

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