10月末にまとめられた政府与党の「追加経済対策」によって来年4月改定の介護報酬は総枠で3%アップされることが見込まれている。
しかし同時に国は「介護事業者が一律に収入増となるわけではない」として事業者の規模や地域性などを考慮しメリハリを付けて配分する考えを示している。
そうなると都市加算率のアップや、山間地域の加算報酬が決まっている現状では、地方の山間地域に該当しない事業者の報酬アップ率は3%に満たないことになり、事業種類によっては報酬アップがないということも考えられ、来年4月以降の経営戦略は、介護報酬単価が明示されるまで立てられないというのが現状で、非常に不透明な状況下で介護事業の経営者は職員の待遇改善を始めとした諸問題に頭を悩ませ続けなければならない。
そんな折、厚生労働省は11/28、介護人材確保のため来年度に予定している介護報酬引き上げの具体的な方法として、事業所で雇用する有資格者の割合・勤続年数・常勤職員の割合に応じて報酬を上げる方針を固めたと報道されている。この意味を考えてほしい。
もともと国は今回の報酬改定で常勤介護職員の賃金は平均月2万円増え、現在約120万人の介護職員が10万人程度増えるとしているが、今回の具体案では国が決めた加算基準に満たない事業者に報酬は渡されないということなのだから、介護職員の一律の待遇改善などあり得ないという結論となる。
しかしよく考えると2万円給与アップと10万人の介護職員増加については、もともとの国の考えが空論である。
例えば私の施設の現行報酬から計算すると、3%報酬が引き上げられれば年間約1.200万円の収入増となる。しかし常勤介護職員45名で計算すれば、単純に月額賃金を20.000円引き上げた場合、1.080万円の財源が必要になり、しかもこれは保険料負担や賞与などを含まない数字である。
しかも施設サービス収入は定員規模に応じた定額報酬で医療機関のように出来高に応じた増収が期待できる外来部門等を持たないのであるから、その後3年間は改定された報酬の範囲内で運営していかねばならない。
すると人件費以外の運営経費をまったく無視して考えるという限られた条件下では単年度で考えれば何とかその水準に近い給与を引き上げることが可能でも、それ以後の定期昇給は難しいということになってしまう。実際には介護施設の経営の現状は燃料費や食材料費の高騰などで運営コストが年々増加している現状から、報酬アップ分を全額人件費に手当できる現状ではない。
こう考えると国がアドバルーンを揚げている一人2万円の給与アップというのは少なくとも定期昇給まで考慮されたものではないし、それとて机上の空論に過ぎないといえる。
特に施設サービスにおける職員不足の現状は深刻で、既に報酬アップが行われていない状況でも、職員確保のために賃金を上げているという現況があって、平成20年度の介護事業経営実態調査では「定員50床の特養」の8%が単年度赤字経営であるのだから、介護報酬のアップはそれを補填するという意味でしかない事業者も多く、来年4月から全職員の給与が一律月額2万円引き上げられる現状にはない。実際にはこの報酬レベルではせいぜい数千円程度の月額給与アップしかできないだろう。
この状況で「介護職員が10万人程度増える」という国の見込みは甘すぎる。特に介護職員の不安は一時的な昇給で解決する問題ではなく、年齢に応じたライフサイクル、結婚・子育てができる経験年数に応じた報酬が保障されないという不安から離職者が減らないという問題なのだから、右肩上がりの賃金を得られる介護報酬のシステムが不可欠なはずである。今賃金を一時的に引き上げても、3年先の介護報酬の動向によっては給与が上がらない、あるいは下がるかもしれないという不透明な状況で10万人介護従事者が増えるわけがない。
介護報酬を一律アップさせるのではなく各種加算で評価しようという国の方針は、過去においてアウトカム評価は実際には機能しておらず、それは単に制度の複雑化を招いている結果に終わっている。それを今回の報酬改定でも繰り返すということだ。
求められているのはそういう小手先の操作ではないはずだ。
国が示した、雇用する有資格者の割合・勤続年数・常勤職員の割合に応じて報酬を上げるとした考え方について、経験に比例した供与が得られる仕組みとして人件費支出を担保するための体制加算としてみる考え方は一定の理解はできるが、ベースとなる報酬が低いのであれば、それは絵に描いた餅である。加算を得て始めて事業経営が成り立つというレベルでは、国が先に示したレベルでの職員の待遇アップは不可能だ。
その実現を図るのであれば、まず本体報酬のベースを引き上げて介護報酬全体を底上げした上で、経験年数が高い職員が多い事業者や有資格者が多い事業者には、その雇用継続に必要な経験給等を支払える報酬加算をする、という考え方でなければ無意味である。
その上での給与水準をきちんと公開させることはやぶさかではない。現在だって社会福祉法人は利害関係者の求めに応じ、貸借対照表および事業活動収支計算書並びにそれらの付属書類を開示しなければならないのだから(社会福祉法第44条)、この規程を介護保険法にも反映させ、給与水準を含めた公開義務を規定競れば良いと思う。
しかしその前段は、きちんと給与水準が確保でき、年齢と経験に応じた給与を支払うことができる報酬ベースが必要とされることが絶対条件である。
加算報酬で体裁を整えるのでは、有資格者や職員をいくら募集しても応募がない施設や事業者は、いつまでも待遇が改善できない。今現実に介護の現場で生じている問題はそこが一番の原因なのだ。そのことに気付かないのだろうか。
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しかし同時に国は「介護事業者が一律に収入増となるわけではない」として事業者の規模や地域性などを考慮しメリハリを付けて配分する考えを示している。
そうなると都市加算率のアップや、山間地域の加算報酬が決まっている現状では、地方の山間地域に該当しない事業者の報酬アップ率は3%に満たないことになり、事業種類によっては報酬アップがないということも考えられ、来年4月以降の経営戦略は、介護報酬単価が明示されるまで立てられないというのが現状で、非常に不透明な状況下で介護事業の経営者は職員の待遇改善を始めとした諸問題に頭を悩ませ続けなければならない。
そんな折、厚生労働省は11/28、介護人材確保のため来年度に予定している介護報酬引き上げの具体的な方法として、事業所で雇用する有資格者の割合・勤続年数・常勤職員の割合に応じて報酬を上げる方針を固めたと報道されている。この意味を考えてほしい。
もともと国は今回の報酬改定で常勤介護職員の賃金は平均月2万円増え、現在約120万人の介護職員が10万人程度増えるとしているが、今回の具体案では国が決めた加算基準に満たない事業者に報酬は渡されないということなのだから、介護職員の一律の待遇改善などあり得ないという結論となる。
しかしよく考えると2万円給与アップと10万人の介護職員増加については、もともとの国の考えが空論である。
例えば私の施設の現行報酬から計算すると、3%報酬が引き上げられれば年間約1.200万円の収入増となる。しかし常勤介護職員45名で計算すれば、単純に月額賃金を20.000円引き上げた場合、1.080万円の財源が必要になり、しかもこれは保険料負担や賞与などを含まない数字である。
しかも施設サービス収入は定員規模に応じた定額報酬で医療機関のように出来高に応じた増収が期待できる外来部門等を持たないのであるから、その後3年間は改定された報酬の範囲内で運営していかねばならない。
すると人件費以外の運営経費をまったく無視して考えるという限られた条件下では単年度で考えれば何とかその水準に近い給与を引き上げることが可能でも、それ以後の定期昇給は難しいということになってしまう。実際には介護施設の経営の現状は燃料費や食材料費の高騰などで運営コストが年々増加している現状から、報酬アップ分を全額人件費に手当できる現状ではない。
こう考えると国がアドバルーンを揚げている一人2万円の給与アップというのは少なくとも定期昇給まで考慮されたものではないし、それとて机上の空論に過ぎないといえる。
特に施設サービスにおける職員不足の現状は深刻で、既に報酬アップが行われていない状況でも、職員確保のために賃金を上げているという現況があって、平成20年度の介護事業経営実態調査では「定員50床の特養」の8%が単年度赤字経営であるのだから、介護報酬のアップはそれを補填するという意味でしかない事業者も多く、来年4月から全職員の給与が一律月額2万円引き上げられる現状にはない。実際にはこの報酬レベルではせいぜい数千円程度の月額給与アップしかできないだろう。
この状況で「介護職員が10万人程度増える」という国の見込みは甘すぎる。特に介護職員の不安は一時的な昇給で解決する問題ではなく、年齢に応じたライフサイクル、結婚・子育てができる経験年数に応じた報酬が保障されないという不安から離職者が減らないという問題なのだから、右肩上がりの賃金を得られる介護報酬のシステムが不可欠なはずである。今賃金を一時的に引き上げても、3年先の介護報酬の動向によっては給与が上がらない、あるいは下がるかもしれないという不透明な状況で10万人介護従事者が増えるわけがない。
介護報酬を一律アップさせるのではなく各種加算で評価しようという国の方針は、過去においてアウトカム評価は実際には機能しておらず、それは単に制度の複雑化を招いている結果に終わっている。それを今回の報酬改定でも繰り返すということだ。
求められているのはそういう小手先の操作ではないはずだ。
国が示した、雇用する有資格者の割合・勤続年数・常勤職員の割合に応じて報酬を上げるとした考え方について、経験に比例した供与が得られる仕組みとして人件費支出を担保するための体制加算としてみる考え方は一定の理解はできるが、ベースとなる報酬が低いのであれば、それは絵に描いた餅である。加算を得て始めて事業経営が成り立つというレベルでは、国が先に示したレベルでの職員の待遇アップは不可能だ。
その実現を図るのであれば、まず本体報酬のベースを引き上げて介護報酬全体を底上げした上で、経験年数が高い職員が多い事業者や有資格者が多い事業者には、その雇用継続に必要な経験給等を支払える報酬加算をする、という考え方でなければ無意味である。
その上での給与水準をきちんと公開させることはやぶさかではない。現在だって社会福祉法人は利害関係者の求めに応じ、貸借対照表および事業活動収支計算書並びにそれらの付属書類を開示しなければならないのだから(社会福祉法第44条)、この規程を介護保険法にも反映させ、給与水準を含めた公開義務を規定競れば良いと思う。
しかしその前段は、きちんと給与水準が確保でき、年齢と経験に応じた給与を支払うことができる報酬ベースが必要とされることが絶対条件である。
加算報酬で体裁を整えるのでは、有資格者や職員をいくら募集しても応募がない施設や事業者は、いつまでも待遇が改善できない。今現実に介護の現場で生じている問題はそこが一番の原因なのだ。そのことに気付かないのだろうか。
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感動の完結編。

正直、登録ミスした会社側も問題ありますが介護職員としても勤務しているのに不公平に思います。だから実際、兼務職員は辞めたり、兼務を拒否したりする方が増えているそうです。
出来れば世の中、兼務で頑張ってる人が沢山いると思うので、もう少し兼務職員の立場も考えてほしいと思いました。
政府にはもう少しホントの現実を知ってもらいたいと思いました。