表の掲示板でもお知らせしたが、昨日(11/20)示された厚生労働省の「安心と希望の介護ビジョン」の中で、介護施設等での医行為について、現在、在宅でしか認められてこなかった有資格者ではない者による「痰の吸引」や、介護職員が関わることが大きな問題として取り上げられていた「経管栄養の処置」などの一部の医療行為を、研修を受けた介護職員にも認める方針が示された。

これはこの国の厚生行政の歴史上でも画期的な見直しであるといえる。

これが実現すれば、介護の現場で不安を持ちながら違法性とにらみ合ってグレーゾーンでジレンマとストレスを抱え働いている介護職員の状況を打破できるし、医療器具を装着して生活している人のうち、在宅では家族による行為や、ボランティアによる支援で生活できているのに施設サービスにおいては、それが介護職員にはできないことにより入所を拒まれるという状況にあった人々にも大きな朗報となるだろう。

なにより超高齢社会で、かつ医療技術の発達により医療器具を装着して日常生活が維持されている高齢者が増えている現実において、それらに関わる行為を看護職だけで担うという非現実的な路線の大幅な転換が図られるのだから、これは国民全体の潜在的ニーズに合致した、国民の利益である。

もちろん介護施設を始めとした介護サービスの現場の責任は、今以上に重くなるのは言うまでもないが、それに応えるサービスを実現するのも我々の責務だろう。

このことは11/12に「療養介護士」という新たな資格を作って、その有資格者が一部の医行為を行えるようにする、という方針を事実上、撤回し、それ以上に一歩踏み込んで介護職員ができる行為を拡大することに繋がるものと考えられる。

(※療養介護士創設で問題が解決しないことは、既に11/17の僕のブログ記事「療養介護士資格創設について」で批判的に述べているので参照されたい。)

本当に、このことが早く実現できるように、全国的な規模でシステム構築を急いでいただきたい。

ただし国はこの研修システムを介護サービス現場から金を搾り取るという財源に考えないで、マクロの視点から国民全体の利益として、費用負担が少なくて済むシステムを作り出して、1日も早く介護職員が医行為の一部を介護サービスの現場で可能にしていただきたい。

もしこれが実現すれば、そのときの厚生労働省担当者は歴史に名を刻むといっても言い過ぎではないと思う。是非、高いレベルからの視点で実現を図っていただきたい。

その際に何が介護職員に出来るようになるのかは、現時点では検討課題だろうが、目安としては老施協が要望として挙げている次の行為が検討されていくのではないだろうか。

1.血糖値の測定やインシュリン投与。
2.吸引・吸たん。
3.褥創処置。
4.摘便。
5.心臓・ぜんそく時のテープ貼り付け。
6.点滴が終了した場合の処置。
7.在宅酸素の取扱と施設における酸素吸入。
8.胃婁利用者の栄養注入の開始・終了時の対応。

今日は夕方に、札幌で「看取り介護」の講演を行う予定があるのだが、当然、この医行為の問題は「看取り介護」の場面でも大きく関係してくる。そのため今日の講演でもここに触れないわけにはいかないので、これから昼休み中に講演で使用するパワーポイントファイルを一部訂正する必要が生じている。

そのため今日は、この記事では深い考察まで及ばず、報道の事実関係のみに触れて書くのみにとどめる。この問題については、今後も情報が新たに出されるたびに検証を続けていく必要があるだろう。

どちらにしても朗報と思うし、実現が期待される。

介護・福祉情報掲示板(表板)

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