いろいろ偉そうなことを毎日ブログに書いてはいるが、だからといって僕の施設が質の高い最高のサービスを提供しているかと言えば、決してそうではなく、むしろ毎日数限りない失敗を繰り返しているのが本当のところである。

在所者の平均在所日数が1.800日を超えている現在、平均要介護度は3の後半となり、平均年齢は86歳を超えている。高齢化と重度化は転倒事故など様々なリスクを日々高めている。ここに毎日気を配っていても足りない部分が出てくるからやっかいである。

さらに介護サービスというのは、常に検証していないと「よどみ」が生じやすい。人に対するサービスであるだけに、慣れは熟練を生む前に、惰性と馴れ合いの関係を生じやすいという特性がある。

また目に見えないサービスだけに個人の感性が関係してくる。そうであるがゆえに介護サービスチームの全員が理解していると思っていたところが、意外なところでこぼれ落ちている部分があったり、理解に欠けてサービスを提供しているメンバーがいたりする。チームの規模が大きくなればなおさらである。ここが難しいところである。

よって失敗は隠すことなく、きちんと家族など関連する人々にも公表して、改善の手を打つ、ということは常に心がけていることである。

しかし、本来はごく当たり前にできていなければならないことが、実際は行われていないことがある。本当に残念に思うが、あきめずに職員に伝えていかねばならないものがある。

先日も朝の引継ぎで「ひやりはっと」の報告があった。内容は自力歩行にふらつきのある認知症の方で独歩が難しい方が、朝早くに(4時頃)起き自力で廊下まで歩いてきてあわてて支えて対応した、というケースである。しかもよく話を聞くと早朝に起きる状態が最近増えているとのことである。

ここでの問題は転ぶ危険という以前に、なぜ早朝に何日も続けて起きてしまうのか、それは昼夜逆転にもつながりかねず、そこが問題であろうと思った。

そこで日中の活動性はどうなっているのか、傾眠していることはないのかを担当者に問いかけた。すると担当者曰く「日中は傾眠もみられず、日課活動やレクなども参加して特に問題はありません」ということである。・・・では何が原因か・・・。

「ところで○○さん、何時頃寝ているの?」
「夕食後7時過ぎです」
「はあ!!」

7時過ぎに寝てしまえば早朝4時や5時に起きてしまうのは当たり前ではないか。寝るのだって体力がいるんだ。自分に置き換えて考えても、そんなに長い時間寝ていられるわけないではないか。ましてや高齢になればなるほど睡眠は浅く、その時間は短縮される傾向にある。

夕食を終えるのは通常午後7時前頃であるから、その方は夕食後、歯磨きなどのイブニングケアを終えた後、即「寝かせられている」ということだ。それが不自然で、利用者のニーズに応えたものではないことをなぜ考えられないのか・・・?

夕食後の夜間の過ごし方というのは、それぞれの個人にあった方法で支援されるべきだし、されなければならない。夕食後から人出は確かに少なく、足りなくはなるが、施設の都合で本来の生活習慣を乱すような対応であっては問題である。

しかしこのとき僕が何かを言う前に、主任ケアワーカーとケアマネジャーが怒った。何故そんなことに気付かないのかと担当者に説教をしている。僕が口出しするまでもないので後は任せた。大いに反省して改善してもらわねば困るのである。

それからこんなこともあった。僕の施設はユニット型の施設ではないので非常に使い勝手が悪いところがあるし、生活場所として殺風景であったりする。そこでデイルームや廊下の一部分に仕切りをつけたり、生活場所として相応しくなるような空間を作っている。

認知症の方が、生活リハビリ(タオルをたたんだり、生活の場で行う行為で機能維持や心身活性化を図る行為)を行うとき、本人のペースが乱されずに他の方と別に一人で行いたい人がいる。その方が落ち着いて作業できる場所が共用スペースの中で欲しいということで、デイルームの片隅にカーテンで仕切りを作って、床に座れるスペースを作った。

ところがある日、朝食時間に、そこを通りかかると、食事を終えた一人の人が、その場所に布団まで敷いて寝かされている。そのすぐ傍らで他の人が食事をしている。何故こんな場所で食後すぐ寝なければならないのか。そもそもその場所はそういう目的で作られたものではない。

ご丁寧に布団まで敷かれているということは、たまたまそういう状況になったのではなく、習慣的にそこに布団を敷いて寝るということが行われていたということだ。これはおかしいと思い。理由を尋ねた。詳しく書く内容でもないし意味がない理由で、納得できるものではない。そもそも食後すぐに寝ないように支援することが先決で、何らかの理由で寝なければならない場合は、きとんと居室に誘導してベッドで寝ていただけばよいだけの話しである。

要するに、いつの間にか利用者の為の空間を、業務の都合で不適切な対応に使っていたということである。そしてこの問題は、そういう状況があるにも関わらず、誰一人そのことを指摘して修正するという内部からの改善が行われていないということである。これは大問題だから、その不適切さとは何かをも含めて、改めて説明し、プリントで状況を全ての職員にアナウンスして意識改革を求めた。

こういう恥ずかしいことも、ちょっと油断をすると起こってしまうのである。介護に携わる一人一人が惰性的に関わらずに、毎日の自分達の行為を検証して、日々、人に対するケアとして胸を張れる対応が出来たのかという検証の心を持ち続けねばならない、と思う。

介護・福祉情報掲示板(表板)
(↓ランキング登録しています。クリックして投票にご協力をお願いします。)
人気blogランキングへ

にほんブログ村 介護ブログ

FC2 Blog Ranking