第2次世界大戦後、特に高度経済成長期以後、わが国では貧困問題が大幅に改善・緩和され、もはや主要な社会問題・生活問題ではなくなったという論調が見られた。

しかしながら高度成長期でも、農業・林業・漁業・鉱業などの1次産業では、それのみで生活できないという貧困問題が出現していたし、都市でも不安定就業層は農漁村からの流入で膨張こそしたが解消したり減少したりしたことはなかった。

戦後の歴史の中では勤労労働者階層の中の一定の層に、ある時期には大幅な経済状況の改善がみられ、すべてを平均値化してみた場合の平均値的改善があったことは事実である。しかしその場合でも、その間に勤労諸階層の中に下層が作られ貧困問題がここに集中して現われるということはなくならなかったし、一向に改まりもしなかった。

さらに高度経済成長期後の経済危機では農漁村では出稼ぎ先や兼業先を失うことによる半失業状態が見られた。その時期は都市部、農魚村部ともに被保護世帯が増え続けた。

被保護世帯数推移でいえば1980年代から1990年代初頭までは減少したが、バブル経済の崩壊以後は現在まで増え続けている。

つまり歴史にみれば、この国において貧困問題は解決したことがないし、さして改善も見られないということが、高度経済成長期〜バブル経済〜その崩壊〜格差社会を生み出したいびつな経済構造を基盤とする現在、までを含めて証明され続けてきたといってよい。

しかも現在社会の貧困とは「低所得・低消費」とは必ずしもいえない世帯でも見られている。

物があふれる社会で「消費の強制」が社会的、日常的に行われているため一定の消費水準は保たれているが、そのために一家総労働、夫婦共働き、長期・短期の借金、そして時間外労働やアルバイト収入に頼る2重労働によって成り立っている世帯も増えている。

さらに情報社会の必需品として、パソコンや携帯電話はぜいたく品ではなく生活必需品となりつつあり、ネットカフェ難民と呼ばれる人々も携帯電話がないと日雇い派遣労働の機会さえ失ってしまう。結果的にPCや携帯電話は個人単位で持っており通信料はそれなりにかけているにも係らず食生活や住環境は至って貧しくしているなど消費構造を歪めて、つじつまをあわせている世帯も若者層を中心に増えていることにも目を向けねばならない。

そういう意味では「ワーキングプア」とは現代社会の貧困を象徴する新たな階層と定義づけることができるかもしれない。

このような世帯は、消費水準も低い世帯とは区別して考えられなければならないものの「豊な生活」とか「ゆとりある生活」とは到底いえないものであるし、現代版貧困としてみなければならない。よって今日の生活問題において「貧困問題は、格差問題とは別にしても、なお大きな問題である」といわざるを得ない。

しかしそれにもまして問題なのは心の豊かさが奪われる「内面的貧困」である。

人々の欲求水準は「より人間らしい暮らし」を求めること際限ないし、それがすべて充足される社会はあり得ない。ただし「社会的財」は一定富裕層の私物ではないので、そのバランス調整が貧困問題の解決には必要な視点であり、一極集中を避けなければならず「財の再分配」が政策として不可欠である。様々な問題を起因とする社会的弱者に対しては社会的財の公平な再分配の思想がないと人間社会の人格性を含んだ貧困問題は解決しえず、やがてそれは荒んだ社会を生み出し、すべての社会的財を奪う原因にもなる。ここを手当するのが本来の社会福祉である。

ところが現代の貧困問題は、経済的・物質的な問題から派生するという経路とともに、社会の上部構造といわれる部分に腐敗や退廃が広がることから、一般市民層が腐敗・退廃した政治、官僚機構などから否定的な影響を受けて人格性に関わる問題を生み出すという現象も現われている。

無差別大量殺人のなどの考えられない犯罪の増加、うつ病や様々な依存症の増加、自殺者の増加の問題は、政治経済問題とまったく別個な問題ではないのである。

政治家や高級官僚の堕落や腐敗ばかりを目にして、国民がその国家運営に期待できないと感じたとしたら、その絶望感はマイナスエネルギーとして社会生活上の様々な歪(ひずみ)として現われる。その状況がどのような国の将来を生み出すだろう。

国民のセーフティネットであるはずの社会福祉制度が社会的弱者を救えなくなりつつあるこの国の状況に国民は絶望感を感じつつある。高齢者をいじめる医療制度改革、財源論の視点からしか制度構築されない社会保障システムはほころびだらけである。しかもその財政論も自らの行動を律しない人々の論理に過ぎない。

国民の社会福祉に対する財布の紐を固く締める財務省の役人の「公費を預かる財布の紐」が緩いどころか、財布そのものに大穴が開いて国民の血税を湯水のように使う状況は際限がない。国民は何をどこまで我慢すればよいのだろうか。

財政破綻が国を滅ぼす前に、亡国の治政が国を滅ぼすだろう。

介護・福祉情報掲示板(表板)
(↓ランキング登録しています。クリックして投票にご協力をお願いします。)
人気blogランキングへ

にほんブログ村 介護ブログ

FC2 Blog Ranking