4月21日に書いたブログ「働かない理由〜潜在的有資格者は掘り起こせない。」の中で、インドネシアとの経済連携協定(EPT)に基づく看護・介護職員の受け入れに関して今年の受け入れ見込みについて僕は「インドネシアには現在、介護福祉士の研修システムがないため第1陣は看護師資格を持った人に限られる見通しである」という報道記事を紹介した。

その後の情報として、今年の7月にもインドネシアから看護・介護人材受け入れの候補者が来日する予定ということである。しかし上記のようにその第1陣には介護士が含まれないのだろうと思う。

改めて受け入れ条件を確認してみた。すると対象となる受け入れの条件はインドネシアの場合

インドネシアの大学又は高等教育機関の修了証書掘聞眦学校卒業後3年間の教育課程を修了した者)以上の取得者で、6ケ月程度の介護の研修を修了し介護士としてインドネシア政府から認定された者(注)、又は
インドネシアの看護学校の修了証書啓萋声塰瑤和膤悗隆埜邀愽卒業者
(注)インドネシアにおける介護の研修については、介護に必要な技能を有する介護士として必要な技能を取得するためのカリキュラムを、インドネシア政府が日本政府と協議しながら検討することとなっている。

つまり「6ケ月程度の介護の研修を修了し介護士としてインドネシア政府から認定された者」が7月に来日予定の第1陣ではクリアできないと思われるからである。

ところでこのことを確認している最中に、今まで気付かなかった厳しい条件が、養成過程で課せられているということがわかった。資格を取る本人ではなく、受け入れ側の日本の介護施設に課せられた条件である。

それは介護福祉士の資格を取得する為に、介護施設等で3年間就労しながら研修を受ける期間の取扱の問題である。

実務経験コースの介護福祉士候補者は、入国後6ケ月間の日本語の研修及び介護に関する研修(介護導入研修)を受けることとしている。その後、介護施設において介護福祉士の資格を取得するために必要な知識及び技術を修得することとしている。

入国に当たっては、受入れ調整機関となる予定である社団法人国際厚生事業団(JICWELS)が紹介した受入れ先との雇用契約があることが要件であり、その際日本人と同等以上の報酬とすることとされている。滞在期間は1年間とし、3回まで更新できることとしているところである。
受入れ施設の要件、研修の要件、雇用契約の要件については、日フィリピン経済連携協定に基づく受入れの実施に関する指針案では、以下の通りとしているところである。
(インドネシアの方々も基本的にはこれと同じ取扱である。)

○ 就労する施設は、定員30名以上の特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等の介護施設であって、以下の要件を満たすものであることとしている。
介護福祉士養成施設における実習施設に準ずる体制が整備されていること。
介護職員の員数(就労する介護福祉士候補者を除く)が配置基準を満たすこと。すなわち、フィリピン人介護福祉士候補者は、介護保険法等に基づく配置基準には算定されず、介護報酬の請求においても人員要件には含まれない。
常勤の介護職員の4割以上が介護福祉士の資格を有すること。
過去3年間に、フィリピン人介護福祉士候補者等の受入れに関して、虚偽の求人申請、二重契約その他の不正の行為をしたことがない医療法人、社会福祉法人等の受入れ機関が設立していること。

○ 各介護施設において実施する研修の要件は、以下のとおりである。
介護福祉士国家試験の受験に配慮した介護研修計画が作成されていること。
研修責任者及び研修支援者の配置等必要な体制が整備されていること。
日本語の継続的な学習、日本の生活習慣習得等の機会を設けること。

○ 受入れの仕組みにおいては、社団法人国際厚生事業団が、定期的に受入れ施設から報告を徴収するとともに、年に1回、受入れ施設に対し巡回指導を行い、施設要件及び研修の要件を満たしていることを確認することとしている。

つまり来日後、半年の介護導入研修を受けた後、介護福祉士資格取得まで3年間施設で就労するのは研修であるが報酬はきちんと日本人労働者並に支払うのが前提で(前述した入国条件に「紹介した受入れ先との雇用契約があることが要件であり、その際日本人と同等以上の報酬とすること」とされているため)、かつ社団法人国際厚生事業団(JICWELS)に対しては「あっせん手数料」も支払う。しかしながら、これらの外国人労働者が研修就労中の3年間は介護保険制度上の「配置職員」とはみなさず、これらの研修就労者以外の職員で人員配置を満たさねばならない。

しかも研修カリュキラムなどの厳しい縛りもある。その3年間で資格が取れなければ帰国するのだから、施設は大きな負担と労力をかけて養成に努めても、その労が報われるとは限らない。

この条件は資格を取る外国人の方々にとって厳しい条件というだけではなく、研修就労を受け入れる施設側にとっても3年間も配置職員とみなされない職員の給与を支払わねばならないということは非常に大きな負担であると思えてならない。現行の介護報酬でこれは不可能な条件と思う。

このことから考えても日本政府は本気で介護労働分野に外国人労働者を受け入れマンパワーを充足させようという気持ちはなく、国際社会の外国人労働者受け入れの範囲を広げよという規制緩和要求に対するポーズとして経済連携協定(EPT)を締結しているようにしか思えない。

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