昨晩「看取り介護研修」を午後7時30分より行った。そこに参加できなかった職員向けに今日午後からも同じ研修を実施する。この研修は「重度化対応加算」算定施設にとっては、定期的に行なっていなければ加算算定ができなくなるという必要不可欠な研修でもある。

ところでこの重度化対応加算について、加算要件に必要な「看護師の配置」が行われているにも関わらず加算算定していない施設が全国で24.8%もある。

では何故加算算定していないのであろうか?

その最大の理由は、看護師の配置ができていても夜間のオンコール体制をとるなど24時間を通して看護職員に連絡して対応できる体制を整備できないということらしい。夜勤や宿直ではなくオンコールでも可であるのに、この体制が敷けないというのは看護職員の法定規準配置数だけではこれに対応できないという側面もあるからだろう。

実際にこの加算を算定して看護職員の24時間の連絡体制を敷こうとすれば規準配置ぎりぎりの看護師配置では不可能である。しかしその体制を敷くだけの看護職員を雇用しようとしても様々な地域事情でその確保が難しいという問題が背景にある。これは一面では加算算定できない「やむを得ない事情」といえるだろう。

しかし一方では、そうした問題ではなく「看取り介護に関する定期的な研修」ができないから加算算定を行っていないという施設もある。それは少し情けないことだろうと思う。

「看取り研修」を行うにも内容がわからないとか、講師など指導してくれる人材がない、と言う理由は専門サービスを提供する施設の理屈とは思えない。何よりも自分達の施設でどのような理念をもって終生施設として介護に携わるのか、という介護サービス全般に関する過程を検証することから始めれば、その内容は自ずと見えてくるのではないだろうか。

そもそも「介護施設での看取り」に医療の現場で行われていたターミナルケアは参考になる部分と、ならない部分があり、医師や看護師が講師に適しているなんて考えるのは間違いである。自分達の施設の職員自身が講師役を務めたって良いのであり、むしろその方が適切な「看取り介護研修」になるだろうと思う。介護現場での看取り介護で「できること、できないこと」をきちんと話せる人材こそが求められているのではないだろうか。

僕の施設の場合は、この定期研修では「看取り介護指針」に掲げられている理念についてしっかり理解してもらえるように、そのことを中心に内容を考えている。新人職員だけではなく、過去に説明を受けた職員にも様々な角度から求められているサービスのあり方を繰り返し説明することで、その理念に基づく方法が出来ていたかも含めて確認してもらう。自分達が今まで施設で行ってきた取り組みに間違いがなかったのか、欠けているものはなかったのかをそれぞれが問い直すきっかけにしてほしいと思うからである。

施設で亡くなられる=看取り介護、ではないということをしっかり理解してほしいと思う。

その中で指針に盛り込まれた内容が現場のサービスとマッチしていなかったり、サービスの足かせになっていたりすれば指針も発展的に変えればよいのであり、そのことも話している。

また実際のボディケア等の具体的サービスに関して言えば、それは通常の介護サービスの延長線上にあるもので特別なものではないという理解ではあるが、終末期の特徴にマッチしてより重視しなければならない事柄がある。

特に介護施設での看取り介護の場合は、経口摂取をぎりぎりまで続けて、それが不可能になっても経管栄養を行わず抹消点滴だけで対応するケースが多いのだから、経口摂取をできるだけ続ける取り組み、食事を取れなくなっても水分又はそれに変わるものは経口から摂取する努力、それも不可能になっても、飲めなくても唇周辺を潤すケアなど必要なサービスは具体的に示さねばならないし、終末期の免疫力低下に注目すると、衛生環境の必要性は重要になり、清潔支援や褥創予防対策はより重要な支援行為になることなどを確認せねばならない。

そのことを最低限できていて、さらに利用者及び家族へのメンタルケア、医療・看護の支援体制のあり方、家族にとっての看取りの場の意味を考えながら終末期の介護への家族参加の重要性とその支援のあり方。これらを理解してもらえるような講義内容としている。

さらに今回の研修に際しては、4月1日付で指針の見直しを行い、看取り介護終了後カンファレンス実施を義務化して、それぞれのケースの検証評価のシステムを作っているので、そのことの意味をきちんと説明して共通理解を求めた。当然、講師は僕が務めた。パワーポイントのファイルもこの研修用に専用のものを作った。

つまり僕の施設では「看取り介護研修」は加算算定要件として必要な研修ということではなく、看取り介護を行うために欠かすことのできない定期的な職員の共通理解を醸成する為の場であるという意味になる。

だから「定期研修を行なわねばならないんだけど、どのような内容にしたら良いのか。」と悩むことは一切ない。職員に伝えなければならないことは山ほどあるからだ。他の施設でどのような内容の「看取り研修」が行われているかもあまり興味がない。(他の施設でこの研修の講師役を務めて、看取り介護研修のあり方の考えを示すことはあるが。)わが施設で行う「看取り介護」に必要な内容を定期的に確認するのがこの目的だと思うからである。

外部で「看取り介護」の講演を行うこともあるが、基本的に看取り介護の現場で求められる内容については同じ話になるが、実際のわが施設における具体的サービス内容にも言及するのが施設内研修であるので、外で話している内容と共通する部分とそうでない分は当然でてくる。

どちらにしても「看取り介護研修」の定期実施は年1回で済まず、何度か行われることになる。

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