出羽桜・純米吟醸生酒

昨年の世相を現す漢字は「偽」であったが、日本酒の世界も「偽」がはびこっている。そのために本物の日本酒の味を知らない日本人が多いという現状になっていることが嘆かわしい。

どういうことかといえば、毎年生産される「純米酒」の総量は、日本酒造りのために生産されている「酒造好適米」の生産量よりはるかに多いのである。


つまり「純米酒」と称する、醸造用アルコール添加の「偽純米酒」がはびこっているというのが日本酒業界の一面の真実でもある。これは日本酒にとって大変不幸なことで、逆に日本酒の本当の品質を誤解し価値を下げていることになっている。偽の純米酒を製造している業者は実は長い目で見れば自らの首を絞めているようなものだ。

ところで日本酒の中で「吟醸酒」と呼ばれる種類のものがある。この定義は主に3つで

1.精米歩合が60%以下(米の外側を40%以上削る)   

2.醸造アルコールの添加量が白米重量の10%以下(醸造アルコールとはサトウキビや米などの穀類を発酵させた後に蒸留したエチルアルコール)

3.吟醸造り(吟醸造りとは醪:もろみ:の段階において低温で約25日以上の経過をとる造り方)により独特の香りと味を醸すもの。
  
であり、このうちアルコール添加していない吟醸酒を純米吟醸と呼び、さらに精米歩合が50%以下となると大吟醸と呼ぶ。

ところでこの吟醸酒にも偽物がある。吟醸作りをしていないため独特の香りが出ていない酒に着香(ちゃっこう)して売っている酒である。(つけ香(つけが)ともいう:吟醸酒の香りだけを抽出して酒に混ぜること)

本物の吟醸酒は酒が残っている限り独特の香りを醸すが、着香した香りは栓を抜いたら1週間程度で酒が残っていても消えてなくなる人工的な香りである。最近は大手メーカーでも巧妙にこれを行っているので注意したほうが良い。何万円もする大吟醸酒を値段で誇らしげに自慢する人がいるが、それが「つけ香偽大吟醸酒」だとしたらお笑い種である。

値段ではなく、舌で選ぶべきである。

さてそういう偽物が横行しているが、masaの日本酒道で紹介する酒は全て本物なので安心してもらいたい。

今日紹介するのは山形県を代表する酒、出羽桜酒造「出羽桜・吟醸生酒・桜花(おうか)」である。実はこの酒は、僕が日本酒・本物の吟醸酒の味に目覚めるきっかけになった酒である。

さほど日本酒が好きではなかった当時(就職した22歳のときであったと思う)友達の家でこの酒を出され飲んだとき、日本酒とはこうもうまいものだったのかと衝撃を受けた。えもいわれぬ香りと味。以来、様々な純米吟醸を飲んでいるが、僕の舌の味の原点がこの酒なのか、なかなかこれを超える評価ができる純米吟醸酒とはお目にかかれない。

蔵の目指すところも「本物の吟醸酒とはこういう味だ」ということを示すために造った酒であるということで、本当にまじめにうまい酒に仕上げられている。まさにこれぞ純米吟醸生酒という手本であろう。唯一つの不満はラベルが重厚感がなくイマイチ、センスに欠けるということか・・。

味と香りの特徴は、果実を思わせる華やかで爽快な吟醸香を持ち、滑らかな口当たりである。「この酒でなければ駄目」というファンも多い。

しかもこの品質の酒が、驚きの値段で手に入る。

1.8リットル なんと2.833円。原料米は「美山錦」。これを50%精米しているのにも関わらず、大吟醸の冠をつけず、この値段で売っているところに、この蔵の心意気を感じる。

まだ飲んだことがない人は是非一度お験しあれ。決して「失敗した」という結果にならないこと請け合いである。

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