日本酒は必ずしも「旨い酒」と思われていない節がある。

その理由として考えられることは、本物の日本酒が飲まれていない、あるいは本物の日本酒でも管理が悪く品質が劣化して味が落ちてしまっているのを「日本酒の味」と勘違いされながら飲まれている、ということがあると思う。

しかし本物の日本酒。米と米麹だけで丁寧に造られた酒は、高級なワインをもしのぐ香りと芳醇な味わいのあるものである。

日本酒が嫌いだという人がよく口にするのは「妙に甘ったるくてべたべたしてピリピリする。」という言葉である。

しかしそれは日本酒本来の味ではなく、化学調味料等の味なのだ。

日本酒は本来、米と米麹だけで作るものだが、戦中の米不足からアルコールを添加して酒を造るという製法が生まれた。

このとき添加されるアルコールは「醸造用アルコール」といわれるものだが、これは発酵してできたアルコールではなく廃糖蜜というサトウキビのカスを蒸留させて作った無味無臭のエチルアルコールである。

本醸造と呼ばれる酒は、この量を1tにつき120ℓに制限したもので、それは味をまろやかにするためと理由付けしているが、日本酒の本来のうまさを引き出すものではない。普通酒、三造酒よりはましというだけだろう。

さらに問題なのは多くの日本酒は本醸造でさえない1瓶の酒に対し25%以上のアルコールを加えた「普通酒」であったり、アルコールを本来の酒より2倍も3倍も添加する「三倍醸造酒」であるということだ。

純米酒を3倍にするため大量のアルコールを混ぜる様な製法では当然のことながら酒の味はしない。そのため水飴や化学調味料で味付けをする。表示ラベルに「糖類添加」と書かれているのはそういう意味である。こんな酒に「旨み」があるはずがない。

また日本酒とは本来品質が劣化しやすいデリケートな飲み物である。だから本物の日本酒であればあるほど温度管理が欠かせないのに、デパートの銘酒売り場でもワインは冷蔵室で管理されていても日本酒はただの棚にならんでいたり、ひどい例になると1万円を超える高級酒の大吟醸酒などが逆にライトアップされ展示されていることもある。

これではどんなに良い酒でも、消費者の口に入るまでに劣化して味も落ちてしまう。だから良い日本酒は日陰の暗い店か、きちんと冷蔵保存している店でしか手に入らないという難しさがある。
セラー(冷蔵室)
僕の家から車で5分も走った場所に(室蘭市寿町:ちなみに僕は登別と室蘭の境界の地域に住んでいる)その店はある。酒を扱うにふさわしい名前であるが「酒本(さけもと)商店」。店主の本名である。市内に2店舗構えているが、古くからの店はコンビニの冷蔵庫に酒を並べているようなスタイルであったが、2店舗目のこの店にはウオークインセラー(冷蔵室)を作ってしまった。しかも温度別に2室造られているという念の入れようである。

店に入ると店舗の棚にはワインがびっしり並び、焼酎やウイスキーは申し訳程度に片隅に置かれている。しかしここには1本の日本酒もない。日本酒は冷蔵室に全国各地の銘酒が置かれている。冷蔵室の主役はあくまで日本酒でワインはこの中では片隅である(画像はセラー内部

この店があるから、僕はいつでも好きなときに本物の酒を手に入れることができる。そこで日本酒道第1回目は、この店に敬意を称して、この店のオリジナルで室蘭の地酒復活を目指して店主がプロデュースして造り、この店でしか手に入らない銘酒「蘭の舞」を紹介する。画像はこの季節でしか飲めない純米しぼりたてである。

蘭の舞室蘭に酒蔵があるわけではなく、これは純粋な意味での地酒ではない。あの銘酒「日置桜」の蔵本である山陰の雄、鳥取の山根酒造に専用タンクを借り、店主の酒本久弥氏が自ら蔵本と米や造りを共に話し合い、昭和63年に誕生したこの店オリジナルのここだけでしか飲めない酒である。

今回は今時期しか飲めない「純米しぼりたて」を買ってみた。いつもながら甘・辛のバランスがよく、口当たりもスムーズであるが、しぼりたて特有の「力強さ」というか「濃厚さ」を感じられる良い仕上がりである。1.8ℓ3.150円というのは超お勧め価格だろう。通常の純米酒は1.8ℓ2.835円。

ちなみに「蘭の舞・吟醸酒」も吟醸味が豊かでフルーティーな味わい。米の爽やかな甘みとふくよかな旨みのバランスのとれた大吟醸の風格をもった酒であるにも関わらず1.8ℓ4.084円というお手ごろ価格なのがうれしい。

うまい酒であることは間違いない。

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