現在、特別養護老人ホーム入所者に対する訪問診療や、医療保険の訪問看護については「末期がん」の方に限ってのみ、在宅療養支援診療所からの訪問診療と、在宅療養支援診療所の医師の指示による訪問看護が限定的に認められているに過ぎない。
そのことについて一昨年の11月「特養と在宅療養支援診療所の連携で生まれる新たな医療支援体制 」というブログを書いたが、その中で僕は『対象疾病が「末期がん」に限定されず、「看取り介護の対象者全て」になれば、施設における「看取り介護」における医療支援体制の問題は一挙に解決する可能性が高いし、利用者や家族にとっても、より安心できる施設の「看取り体制」になると思える。』という意見を書き『対象疾患・対象範囲の拡大というテーマは是非、今後に向けて建設的に議論してもらいたい。』と結んでいる。
ところでこのことが4月の診療報酬改訂で新たな展開をみせ、特養への訪問診療や訪問看護の対象が広がり、末期がんに限定されていた縛りはなくなり、さらに訪問診療は在宅療養支援診療所に限らず他の医療機関からも可能になるし、訪問看護も在宅療養支援診療所からの指示でなくとも一般の医療機関の指示でも可能となる。
この訪問診療の適用範囲拡大はある意味、利用者の選択肢が広がり、医療ニーズに柔軟に対応できるという意味では歓迎こそされ、否定されるべきではないように思う。
これは今回の診療報酬改訂で「様々な居住系施設における患者の居住の状況や疾病の管理等の医療サービスの提供体制等を踏まえて、これらの施設の後期高齢者を含めた入居者等に対して提供される医療サービスについて、適切な評価を行う。」こと及び「後期高齢者等が多く生活する施設等に居住する患者に対して、医療関連職種が訪問診療等を行った場合についての評価を新設する。」というルールに基づくものである。
具体的には高齢者専用賃貸住宅、有料老人ホーム、認知症対応型共同生活介護事業所、特定施設(外部サービス利用型を含む)、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の入居者等である患者であって通院が困難なものに対して、計画的な医学管理の下に定期的に訪問して診療を行った場合に医療保険算定が認められることになる。
そして栄養指導や薬剤管理指導、訪問リハビリ等も点数評価されることになっている。しかしここが大きな謎と疑問が生ずる部分なのである。訪問診療の算定範囲が広がる意味はわかるが、医療の訪問リハビリがなぜ特養で実施できるのであろう?
今回の改訂は、あくまで診療報酬の改訂上の報酬新設であり、医療保険と介護保険の適用関係が変わらない限り、要介護者は介護保険を優先適用させるので、例えば訪問看護も末期がん・特別指示書が出された2週間・厚生労働大臣が定める疾病、以上の条件に合致して医療保険の訪問看護が対象となる利用者のみが使える医療サービスといえる。
さらに訪問リハビリは、そのような適用ルールがないので、要介護者しかいない特養では医療保険の訪問リハビリは今後も使えないと思われる。そうであれば、なぜこのルールの中で特養の訪問リハビリが報酬算定されることになっているのかが現時点で謎である。
要介護認定者が医療保険の訪問リハビリを利用できるようになるわけではないのだから・・。この意味をお分かりの方は是非、ご教示いただきたい。
さて、そのことを除いてこの結果をあらためて考えてみると、今回の診療報酬改訂では介護保険との適用関係の存在しない医療保険の訪問診療については特養でも行うことが可能になる対象範囲が大きく拡充することになるが、介護保険との適用関係のある訪問看護が特養で利用できる幅についてはわずかに広がった、というのが実態だろうか。
ただそれは紹介した以前のブログに書いたように、看取り介護のケースなどでは活用の仕方によって、様々な可能性が広がるものであり、決して否定されるべき問題ではないことは前述したとおりである。
しかしこの背景には、今回の診療報酬改訂で有料ホームや高齢者専用賃貸住宅などへの在宅医療・訪問看護の報酬が引き下げられという問題があって、単価の引下げを対象範囲の拡大という方向でカバーしたという一面があるように思えてならない。
医療機関や訪問看護ステーション等にとっては痛し痒しの改訂だろう。
ただ問題は、在宅療養支援診療所以外の医療機関が共通して、特養での訪問診療が算定できるようになったからといって、施設所属医師の通常の健康管理業務まで、すべて訪問診療で算定されては困るということである。
そうした問題が表面化すると、新たな規制が必要となり、やがてそれは必要な医療提供まで限定される可能性があるし、なにより特養自体の存在の否定論・解体論につながりかねない。
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そのことについて一昨年の11月「特養と在宅療養支援診療所の連携で生まれる新たな医療支援体制 」というブログを書いたが、その中で僕は『対象疾病が「末期がん」に限定されず、「看取り介護の対象者全て」になれば、施設における「看取り介護」における医療支援体制の問題は一挙に解決する可能性が高いし、利用者や家族にとっても、より安心できる施設の「看取り体制」になると思える。』という意見を書き『対象疾患・対象範囲の拡大というテーマは是非、今後に向けて建設的に議論してもらいたい。』と結んでいる。
ところでこのことが4月の診療報酬改訂で新たな展開をみせ、特養への訪問診療や訪問看護の対象が広がり、末期がんに限定されていた縛りはなくなり、さらに訪問診療は在宅療養支援診療所に限らず他の医療機関からも可能になるし、訪問看護も在宅療養支援診療所からの指示でなくとも一般の医療機関の指示でも可能となる。
この訪問診療の適用範囲拡大はある意味、利用者の選択肢が広がり、医療ニーズに柔軟に対応できるという意味では歓迎こそされ、否定されるべきではないように思う。
これは今回の診療報酬改訂で「様々な居住系施設における患者の居住の状況や疾病の管理等の医療サービスの提供体制等を踏まえて、これらの施設の後期高齢者を含めた入居者等に対して提供される医療サービスについて、適切な評価を行う。」こと及び「後期高齢者等が多く生活する施設等に居住する患者に対して、医療関連職種が訪問診療等を行った場合についての評価を新設する。」というルールに基づくものである。
具体的には高齢者専用賃貸住宅、有料老人ホーム、認知症対応型共同生活介護事業所、特定施設(外部サービス利用型を含む)、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の入居者等である患者であって通院が困難なものに対して、計画的な医学管理の下に定期的に訪問して診療を行った場合に医療保険算定が認められることになる。
そして栄養指導や薬剤管理指導、訪問リハビリ等も点数評価されることになっている。しかしここが大きな謎と疑問が生ずる部分なのである。訪問診療の算定範囲が広がる意味はわかるが、医療の訪問リハビリがなぜ特養で実施できるのであろう?
今回の改訂は、あくまで診療報酬の改訂上の報酬新設であり、医療保険と介護保険の適用関係が変わらない限り、要介護者は介護保険を優先適用させるので、例えば訪問看護も末期がん・特別指示書が出された2週間・厚生労働大臣が定める疾病、以上の条件に合致して医療保険の訪問看護が対象となる利用者のみが使える医療サービスといえる。
さらに訪問リハビリは、そのような適用ルールがないので、要介護者しかいない特養では医療保険の訪問リハビリは今後も使えないと思われる。そうであれば、なぜこのルールの中で特養の訪問リハビリが報酬算定されることになっているのかが現時点で謎である。
要介護認定者が医療保険の訪問リハビリを利用できるようになるわけではないのだから・・。この意味をお分かりの方は是非、ご教示いただきたい。
さて、そのことを除いてこの結果をあらためて考えてみると、今回の診療報酬改訂では介護保険との適用関係の存在しない医療保険の訪問診療については特養でも行うことが可能になる対象範囲が大きく拡充することになるが、介護保険との適用関係のある訪問看護が特養で利用できる幅についてはわずかに広がった、というのが実態だろうか。
ただそれは紹介した以前のブログに書いたように、看取り介護のケースなどでは活用の仕方によって、様々な可能性が広がるものであり、決して否定されるべき問題ではないことは前述したとおりである。
しかしこの背景には、今回の診療報酬改訂で有料ホームや高齢者専用賃貸住宅などへの在宅医療・訪問看護の報酬が引き下げられという問題があって、単価の引下げを対象範囲の拡大という方向でカバーしたという一面があるように思えてならない。
医療機関や訪問看護ステーション等にとっては痛し痒しの改訂だろう。
ただ問題は、在宅療養支援診療所以外の医療機関が共通して、特養での訪問診療が算定できるようになったからといって、施設所属医師の通常の健康管理業務まで、すべて訪問診療で算定されては困るということである。
そうした問題が表面化すると、新たな規制が必要となり、やがてそれは必要な医療提供まで限定される可能性があるし、なにより特養自体の存在の否定論・解体論につながりかねない。
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あれから、実家の事情があり退職し、会計事務所勤務を経て、現在、急性期病院で働いています。
今回の診療報酬改定は、診療所の再診料が大きく問題視されている間に、他の部分が下げられたような気がします。
masaさんが取り上げられた”有料老人ホーム等への往診”も単価が切り下げられ、貴重な黒字が吹き飛ぶ医療法人も多いことだと思います。
国は、医療や介護の担い手をどのように考えているのでしょうか。医師の問題ばかりクローズアップされますが、団塊世代の多数の方々が要介護状態になったときの日本は?
道路も大切だけど、医療と介護はどうするのですか?と、政治家の方々に直接聞いてみたいです。
長々とすみません。これからも応援しています。