昔の話をしてもしょうがないが、僕がこの業界に勤め始めた当時インターネットなどなく、国からの通知は全て都道府県から市町村を経由して始めて現場に紙の分厚い書類として送られてきた。

当然情報をいち早く知る立場に現場職員はいなかったわけで、行政職員より早く情報を得る手段などほとんどなかったし情報量も限られていた。

同時に何か業務上で疑問が生じた場合も、自分で法律や通知等を調べて、それでもわからない部分は市の担当課に問い合わせるほかなかった。市町村の担当者との情報速度と量の違いはこうした関係にも反映されていたということである。

しかしながら今現在、ネットの普及で市町村と現場の情報は、速度でも量でもほとんど差がなくなっている。介護給付費分科会や介護保険関連の全国部課長会議でもインターネットの国の関連サイトに情報が掲載される以前に、様々なルートで情報が入ってくる。

特に情報源と伝達方法の多様化は「行政と現場」「官と民」と言う隔たりではなく、その方法と技術を手にしているものと、そうでないもので情報獲得量が違うという形に置き換わっている。

また現場で生じた疑問点もネット掲示板で情報交換すれば、かなりの部分の問題は解決することができる。

しかしこれも使い方が問題で、ネット掲示板だけに頼って基本となる法律や解釈通知を読まないで、自分の知りたい点だけをネット掲示板に疑問を投げかけて回答をもらっても、結局、理解できるのはその部分だけで、関連するルール全般に及ぶ理解ができないことは、結果的に次から次へと疑問が湧きあがってくることに繋がる。

幹を見ずして枝葉だけを見る結果となるからである。

ここは便利さだけを求めるのではなく、自身で汗をかいて初めて知識になるという考え方も必要な部分である。

それとネット掲示板で様々に情報交換や議論ができることは非常に有意義であるが、ネット掲示板の質問として馴染まないものもある。

例えば実際に在宅で介護をしている家族の方々が、在宅介護について意見を求めること自体は問題ないし、将来に備えて様々な対応の方法の疑問を投げかけて専門家の参考意見を行く聴くことは有意義であろう。

しかし先日実際にあった質問では「流動食で全介助ですが2日前からまったく食事を摂取してくれなくなりました。どう対応したらよいのでしょう。」という質問が寄せられた。しかしこれは悠長にネット掲示板で「食事摂取をしない理由をまず考えて〜」などのアドバイスをしている暇はない。

流動食をまったくとっていないということは2日間、水分摂取も行われていない可能性が高い。このケースの場合、まず何よりも必要な支援は、食事摂取方法を考えることではなく、すぐ医療機関を受診して脱水症状が起こっていないか確認して対応処置することである。

ネットで回答を待っている間に、食事を取れない高齢者に命の危険さえ考えられる状況である。

ネットのない時代に同じことが起こったら、とりあえずかかりつけの医師や医療機関に電話相談したり、近くの病院に駆けつけたりするのではないだろうか。

ネットで必要な情報を自宅で手軽に得ることができる便利さも時(time)、所(place)、場合(occasion)に応じて考えないと大変なことになってしまうように思った。

本ケースは早急に医師に診てもらうようにアドバイスしたが、あのおばあさんは大丈夫だったろうか。心配である。

介護・福祉情報掲示板(表板)

(↓ランキング登録しています。クリックして投票にご協力をお願いします。)
人気blogランキングへ

にほんブログ村 介護ブログ

FC2 Blog Ranking