文部科学省は、虐待や育児放棄、経済的な困窮など深刻な問題を抱える家庭の保護者や子どもに対し、専門的な見地で対応をするため、2008年度から公立小中学校で活動する「スクールソーシャルワーカー」を全都道府県計141地域に配置することを決めた。

すでにスクールソーシャルワーカーを導入している地域としては香川、兵庫、大阪などがあるが、この実績を踏まえて全国に導入を広げようということだろう。

報道記事によれば「スクールソーシャルワーカーの主な役割は学校と関係機関との仲介。深刻な問題を抱えた保護者や子どもの実態を把握した上で、個々の状況に応じ福祉施設や警察、ボランティア団体などに協力を要請する。生活保護や就学援助の申請手続きを助言することなども想定している」とのことである。

その背景には不登校やいじめ、暴力行為など子どもの問題行動には家庭環境が影響しているケースも多く、教員だけでは十分対応できない状況も増えている、という問題がある。

スクールソーシャルワーカーが公立小中学校で活動することによって学校を起点にした恒常的な専門家の協力を得られる仕組みを整えることができ、それぞれの家庭状況に合った対応を可能にすると同時に、教員の負担を軽減する狙いもあるとされている。

これは教員の能力が衰えてきたというより、より専門的な対応が必要な様々な社会的要因が複雑化して教育の専門家だけでは対応しきれない問題が生じているということであろう。それだけ社会が病んでいるともいえなくもないし、格差社会をはじめとした現代社会の「新たな貧困」の闇の部分が子供達を巡る状況にも影響してきているということであろう。

スクールソーシャルワーカーが行う援助とは当然のことながら学校社会福祉援助技術で、社会福祉学を基盤に精神医学の知識や心理学等の幅広い知識をあわせ持った人材が必要とされるし、そこではカウンセリング、ティーチング、コーチング、アドバイス、コンサルティング、ファシリテーション等の援助技術が展開されることになる。
その資格はまだ明確にはされておらず臨床心理士や社会福祉士などで必要な知識、技術を取得した専門家がその任に就くことになっているが、援助内容を考えるとまさにこれはソーシャルケースワークの援助技術であり、社会福祉士がこの任を担う必要があるように思う。

個人的にはもっと社会全体に社会福祉士に期待する声が挙がってほしいと思うのである。

逆に言えば、この領域で活動して成果を上げられないようなら社会福祉士って何ぞや、ということになりかねない。資格は仕事をしてくれないが、この有資格者がスクールソーシャルワーカーとして活動して成果を挙げて、社会福祉士の社会的な認知を高める結果に結びついてほしいものである。

学生時代は児童福祉を専攻していた僕個人としても是非、勉強してみたいと思うのである。

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