コムスン事件で大きく取り上げられた介護保険制度における「連座制」が見直されることになった。

連座制とは介護サービスを提供している事業所で1ケ所でも不正があると、同一法人のほかの事業所もすべて介護保険法の指定を打ち切られたり、指定更新を認められなかったりして、この制度から撤退せざるを得ない、というルールである。

コムスンはこの連座制により、全ての事業所の指定更新ができなくなったことから事業譲渡を余儀なくされたことは記憶に新しい。

しかし厚生労働省は、今日まとめる同省の有識者会議の報告書に、この見直しを明記することにしている。

見直しの内容は、「連座制」について、不正が組織的か単独かといった悪質性に応じて、自治体の裁量で適用範囲を判断する仕組みに改めるものであり、具体的には連座制を適用しなくてはならない現行法の規定を「指定や更新を拒否することができる」という表現に変えて自治体に裁量の余地を与えるというものである。

この方針に対し、一部マスコミからは早くも「組織的な関与がなくても、公費で成り立っている介護保険制度のもとでは、どんな不正も許されることではない。」など連座制の緩和により不正の抑止力が低下することへの懸念が示されている。

事業経営主体のコンプライアンスの意識を高めることは今後も益々求められる国民のニーズであるし、法規制による不正の抑止力はそれと表裏一体のものであり、決して罰則を緩めることを闇雲に奨励すべきとは思わないが、今回の連座性見直しはある意味「必要な見直し」であると考えている。

それは一連のコムスン事件の対応が「厳しすぎる」という意味ではない。連座制が適用されるべき事案も確かにあるだろうが、一律にこの連座制を適用することに首を傾げるケース、そのことで地域住民のニーズに反するケースがあるのではないかという疑問を常々持っていたからだ。

例えば、東京都の特養が夜勤職員の配置を欠いたまま、外国人のボランティアを夜勤職員と偽って報酬請求していたケースで、指定取り消しとされた問題がある。

しかしこの特養は指定管理者制度で、経営管理は区が行っており、実際に現場で不正請求を行っていた社会福祉法人は同施設を指定管理者として運営していたに過ぎない。よって連座制が及ぶ範囲は、当該社会福祉法人の事業ではなく、区の事業全般であるということになった。

結果的に、本ケースで連座制の適用により区が設置して他の社会福祉法人に委託運営させている特養やデイサービスなどの事業がすべて連座制の適用となって継続運営ができなくなるという事態が生じた。

つまり指定管理者として直接的に不正請求していた社会福祉法人ではなく区の管理責任が問われ、区が他の社会福祉法人に委託運営していた全ての事業経営ができなくなった、というものであり、そのため区の指定管理としての継続経営でなく、民間社会福祉法人などに事業譲渡を迫られた問題である。

委託運営していた不正とはまったく関わりのない社会福祉法人も、区の指定管理者としての施設運営が継続できなくなるのだから、これは(事業譲渡で継続運営できるとしても)納得いかないだろう。

運営を委託したからと言って『丸投げ』は許されない、という意味であっても連座制の一律適用がベストの対応とはいえないのではないか?

連座制にはコムスン問題以外にも、こうした問題があり、そこに裁量の及ぶ範囲が皆無だったことが現行の最大の問題であると考える。

今回の見直しは連座制そのものを緩めるというのではなく、事案に応じて自治体の裁量権でその適用を判断するという意味だから、決して不正防止の抑止力低下ではないと思う。むしろ自治体の責任は増すであろうが、裁量権が認められ個々の事案で適切に処理できれば、制度運用上、有益ではないだろうか。

特に今回の見直しでは連座制の適用の見直しとセットで、全国展開する企業の本社への立ち入り調査権限を国や自治体に認める、という国や自治体の監督権限の強化もされているんだから、不正の抑止力は決して低下していないと思う。

それだけ一律の連座制適用というのはあまりにも各事案によってはそぐわない硬直的、機械的運用であるといえるのである。

ところで、現行の連座制ルールを国の各省そのものに適用したらどうなるだろう。そうすると、ほとんどの省があっという間に廃止の対象にならないか?と余計なことを考えてしまう・・・。

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