当施設では特養部分について、専任の機能訓練指導員を配置していないので個別機能訓練加算は算定していない。
看護師は基準配置より2名多い5名で、このうちの1名を機能訓練指導員と兼務発令しているのであるが、とても訓練業務に専従できる状態ではなく、看護師業務が主となってしまうからである。
しかし、機能訓練を行っていないというものではなく、個別に歩行訓練や作業療法的な訓練を行うなどの取り組みは行っている。そうした訓練室で行う機能訓練以外にも、日常介護の中では、機能活用と維持の視点を持って行っている。
ところで日常介護の中に個別機能訓練を位置づけていた「とある施設(道外)」が、実地指導で個別機能訓練加算の算定ルールはあくまで訓練であるから、それは介護と別個で算定できない、という指導を受けたという話がある。
その施設では当然、機能訓練指導員は別個に専従配置しているし、個別機能訓練計画も全員分が立案され、同意を得て実施されていた。その中の、日常の離床援助を訓練目的の具体的方法にしているケースなどが指導対象になったという話である。
しかし、これはおかしい。以前書いた「個別機能訓練に対するおかしな理解」でも指摘しているが、それは訓練室で行う医学的リハビリテーションに特化されたものではないし、「機能訓練指導員が行う機能訓練」などにも限定されていないことは、改正された解釈通知でも明らかだ。
だからこの施設の担当者には、指導担当者に直接クレームを挙げるように助言した。でも実地指導で言われたんだから、どうクレームをつければ良いのだろうと言う。
そもそも実地指導は、一方的に言われるがままのことを受け入れるのではなく、分からない点、疑問点はその場で聞くべきだし、施設の主張もきちんと述べるべきだろうと思い、まずそこのとを指摘した上で、解釈通知「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」(老企43号)の機能訓練とその指導内容は整合性がないという点から、あらためて日常介護の中で行う訓練が、なぜ加算対象ではないとされるのかという根拠を確認するようにアドバイスした。
老企43号では機能訓練について
「基準省令第17条に定める機能訓練は、機能訓練室における機能訓練に限るものではなく、日常生活の中での機能訓練やレクリエーション、行事の実施等を通じた機能訓練も含むものであり、これらについても十分に配慮しなければならない。」として「機能訓練に限るものではない」ことを明確にした上で「日常生活の中での機能訓練」が挙げられているところであり、そうであれば当然、離床介護を機能維持、活用の為の心身活性化、日課活動参加目的で行うことは、個別機能訓練になり得るものであると解釈されて良いということだろうと思う。
後日、この施設からは、個別機能訓練算定に関する指導担当者の誤解があり、指導を行った際の総括評価の一部訂正があって、報酬加算の返還指導は行わない旨、連絡があった、ということである。
こうした指導担当者の誤解とは本来あり得ないことだろうし、レアケースと思うが、大手介護サービス事業所の指定取り消し問題などでナーバスになっている時期には、こうしたこともあるのかと思った。しかし、そのとき現場の担当者は、自らの所属する事業に関する基準省令や解釈通知から、現在行っているサービスの意味や加算算定の根拠を説明できねばならず、指導担当者の「思い込み」による一方的指導に対して反論できないのでは、専門家としての見識が問われる。
指導担当者は、それなりに勉強した専門家ではあるが、それは行政という立場から、現場のケアの品質をチェックする専門家であって、我々介護サービス事業の専門家とは質が違うという理解が必要で、介護サービスやケアの専門家は我々自身であって、そこで行う介護サービスの意味や目的をきちんと指導担当者にも分かるように説明する場面が必要な場合もあるという理解がないといけない。
それも介護現場の専門家の責任と見識である。
(個別機能訓練加算の考えかた、目標の設定や具体的行為については現在発刊されている日総研出版「通所介護&リハ2007 9・10月号」に「通所介護における個別機能訓練に求められる要件」という小論文を書いておりますので興味がある方は参照してください。)
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看護師は基準配置より2名多い5名で、このうちの1名を機能訓練指導員と兼務発令しているのであるが、とても訓練業務に専従できる状態ではなく、看護師業務が主となってしまうからである。
しかし、機能訓練を行っていないというものではなく、個別に歩行訓練や作業療法的な訓練を行うなどの取り組みは行っている。そうした訓練室で行う機能訓練以外にも、日常介護の中では、機能活用と維持の視点を持って行っている。
ところで日常介護の中に個別機能訓練を位置づけていた「とある施設(道外)」が、実地指導で個別機能訓練加算の算定ルールはあくまで訓練であるから、それは介護と別個で算定できない、という指導を受けたという話がある。
その施設では当然、機能訓練指導員は別個に専従配置しているし、個別機能訓練計画も全員分が立案され、同意を得て実施されていた。その中の、日常の離床援助を訓練目的の具体的方法にしているケースなどが指導対象になったという話である。
しかし、これはおかしい。以前書いた「個別機能訓練に対するおかしな理解」でも指摘しているが、それは訓練室で行う医学的リハビリテーションに特化されたものではないし、「機能訓練指導員が行う機能訓練」などにも限定されていないことは、改正された解釈通知でも明らかだ。
だからこの施設の担当者には、指導担当者に直接クレームを挙げるように助言した。でも実地指導で言われたんだから、どうクレームをつければ良いのだろうと言う。
そもそも実地指導は、一方的に言われるがままのことを受け入れるのではなく、分からない点、疑問点はその場で聞くべきだし、施設の主張もきちんと述べるべきだろうと思い、まずそこのとを指摘した上で、解釈通知「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」(老企43号)の機能訓練とその指導内容は整合性がないという点から、あらためて日常介護の中で行う訓練が、なぜ加算対象ではないとされるのかという根拠を確認するようにアドバイスした。
老企43号では機能訓練について
「基準省令第17条に定める機能訓練は、機能訓練室における機能訓練に限るものではなく、日常生活の中での機能訓練やレクリエーション、行事の実施等を通じた機能訓練も含むものであり、これらについても十分に配慮しなければならない。」として「機能訓練に限るものではない」ことを明確にした上で「日常生活の中での機能訓練」が挙げられているところであり、そうであれば当然、離床介護を機能維持、活用の為の心身活性化、日課活動参加目的で行うことは、個別機能訓練になり得るものであると解釈されて良いということだろうと思う。
後日、この施設からは、個別機能訓練算定に関する指導担当者の誤解があり、指導を行った際の総括評価の一部訂正があって、報酬加算の返還指導は行わない旨、連絡があった、ということである。
こうした指導担当者の誤解とは本来あり得ないことだろうし、レアケースと思うが、大手介護サービス事業所の指定取り消し問題などでナーバスになっている時期には、こうしたこともあるのかと思った。しかし、そのとき現場の担当者は、自らの所属する事業に関する基準省令や解釈通知から、現在行っているサービスの意味や加算算定の根拠を説明できねばならず、指導担当者の「思い込み」による一方的指導に対して反論できないのでは、専門家としての見識が問われる。
指導担当者は、それなりに勉強した専門家ではあるが、それは行政という立場から、現場のケアの品質をチェックする専門家であって、我々介護サービス事業の専門家とは質が違うという理解が必要で、介護サービスやケアの専門家は我々自身であって、そこで行う介護サービスの意味や目的をきちんと指導担当者にも分かるように説明する場面が必要な場合もあるという理解がないといけない。
それも介護現場の専門家の責任と見識である。
(個別機能訓練加算の考えかた、目標の設定や具体的行為については現在発刊されている日総研出版「通所介護&リハ2007 9・10月号」に「通所介護における個別機能訓練に求められる要件」という小論文を書いておりますので興味がある方は参照してください。)
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