僕の実家は、30数年前に父が親せきから購入した持ち家である。
築50年近く経っていおり、ところどころにガタがきている古い家である。昔の造りだから、一つ一つの部屋が広くて、押し入れも、今で言うウオークインクローゼットといえるほど広く取ってあり、ゆうに一部屋分がある場所もある。
この家に住むようになった頃は、父は単身赴任でいない時期もあったが、両親のほか、父方の祖父母と、高1の僕と、小6の弟の6名家族が住んでいた。
この家から最初に巣立ったのは僕で、昭和58年に就職のため現在住む登別に移って、この家は5人家族になった。
その後、弟も就職のため巣立ち、僕が結婚して間もなく、結婚式のときは元気に招待客の皆さんにお酒をついで回っていた祖父が90歳で亡くなり、それを追いかけるように翌年、祖父が死んだ同じ月に88歳の祖母が亡くなった。
こうして、この家は両親だけが住む二人の世帯になった。そしてこの家で両親は年を重ね、昨年9月、父が急逝せるまでは、いわゆる高齢者夫婦世帯であった。
父が亡くなって以後、この家で一人暮らしを続けていた母が、今月初め、クモ膜下出血で倒れ。その後、血管れん縮から脳梗塞を発症し、今も意識が戻らぬままICUに入ったままである。
実家のある場所は僕の住む街からは車で一般道路を通って2時間半、高速なら1時間半の距離であるが、こうした状況だから、できる限り仕事がない日は実家に戻って病院に通っている。
平日の夜に戻って病室で様子を確認し、次の日の業務に間に合うように早朝に帰ることもある。土日といっても、業務以外の公用があってこられない日もあるからだ。
しかし、このような生活をするようになってわずかの期間ではあるが気がついたことがある。
それは、この広い家で、たった一人で夜を過ごす寂しさである。
自分が実家に戻るときは、必ず父や母がいて、父が亡くなった後も母は必ずいた。考えてみれば、この家で僕が夜ひとりで過ごすということは今までほとんどなかったことなのかもしれない。
だが母は昨年父が亡くなって以後は、ずっとこの家で夜ひとりで寂しい思いを持って過ごしてきたんではないかと、ふと考えた。
日中は、多趣味で友達も多い母であるから、近所の友人たちとの付き合いで寂しさを感じることはなかったと思うが、夜、一人になったとき、寂しく感じることもあったに違いない。
僕や弟の家族が来た時も、帰ったあとは「祭りの後の寂しさ」を感じていたに違いないと思った。
もう少し元気な時に、この寂しさに気づいてあげればよかったと思う。
築50年近く経っていおり、ところどころにガタがきている古い家である。昔の造りだから、一つ一つの部屋が広くて、押し入れも、今で言うウオークインクローゼットといえるほど広く取ってあり、ゆうに一部屋分がある場所もある。
この家に住むようになった頃は、父は単身赴任でいない時期もあったが、両親のほか、父方の祖父母と、高1の僕と、小6の弟の6名家族が住んでいた。
この家から最初に巣立ったのは僕で、昭和58年に就職のため現在住む登別に移って、この家は5人家族になった。
その後、弟も就職のため巣立ち、僕が結婚して間もなく、結婚式のときは元気に招待客の皆さんにお酒をついで回っていた祖父が90歳で亡くなり、それを追いかけるように翌年、祖父が死んだ同じ月に88歳の祖母が亡くなった。
こうして、この家は両親だけが住む二人の世帯になった。そしてこの家で両親は年を重ね、昨年9月、父が急逝せるまでは、いわゆる高齢者夫婦世帯であった。
父が亡くなって以後、この家で一人暮らしを続けていた母が、今月初め、クモ膜下出血で倒れ。その後、血管れん縮から脳梗塞を発症し、今も意識が戻らぬままICUに入ったままである。
実家のある場所は僕の住む街からは車で一般道路を通って2時間半、高速なら1時間半の距離であるが、こうした状況だから、できる限り仕事がない日は実家に戻って病院に通っている。
平日の夜に戻って病室で様子を確認し、次の日の業務に間に合うように早朝に帰ることもある。土日といっても、業務以外の公用があってこられない日もあるからだ。
しかし、このような生活をするようになってわずかの期間ではあるが気がついたことがある。
それは、この広い家で、たった一人で夜を過ごす寂しさである。
自分が実家に戻るときは、必ず父や母がいて、父が亡くなった後も母は必ずいた。考えてみれば、この家で僕が夜ひとりで過ごすということは今までほとんどなかったことなのかもしれない。
だが母は昨年父が亡くなって以後は、ずっとこの家で夜ひとりで寂しい思いを持って過ごしてきたんではないかと、ふと考えた。
日中は、多趣味で友達も多い母であるから、近所の友人たちとの付き合いで寂しさを感じることはなかったと思うが、夜、一人になったとき、寂しく感じることもあったに違いない。
僕や弟の家族が来た時も、帰ったあとは「祭りの後の寂しさ」を感じていたに違いないと思った。
もう少し元気な時に、この寂しさに気づいてあげればよかったと思う。