コムスン問題で、全ての事業の譲渡先が決まったというニュースが流れたのは、つい最近のことである。

しかしどうしても理解できないのは、この事業譲渡という結果である。

譲渡とは、事業や財産を他者に譲り渡すことを意味した言葉である。しかし今回の問題の帰結としての事業譲渡とは、介護サービス事業と従業員をひっくるめて売却する、という意味である。

実際に譲渡費用としてコムスン側に莫大な金額の金が流れている。しかもその金額たるやジャパンケアサービスとセントケア・ホールディングに引き継ぐ25都道県分だけで合計37億5400万円である。

これを譲渡と呼ぶのは何故だろうか。売却そのものではないか。

コムスンはこのまま何もしなければ来年3月末で、介護事業ができなくなり自然消滅する。法人内譲渡は法律では禁じられていないが世論の動向から国の圧力がかけられ不可能となった。そうなると手元に入る現金はなくなるわけである。そうなる前に事業譲渡という形での売却を行って、最後まで商売として利益をあげたということだろう。

もちろん事業譲渡という意味は、ひとつには実際にサービスを利用している要介護者等のサービスが継続できるように、現行の介護サービス事業を維持して介護難民を出さないということは百も承知である。

しかしそれとこれとは別問題であり、事業譲渡に伴って莫大な金の動きがあり、悪いことをして、介護事業に対しこれだけ社会の信用を失わせた会社そのものが大きな譲渡収入を得る、ということに対し憤りを感じる国民は多いだろう。しかしそのことを多くの国民が認識していない現実があるのではないか?

譲渡という言葉に惑わされ、あたかもコムスンは無償で別の企業等に事業を譲っていると勘違いしている国民も多いのだろう。それも譲渡という言葉を使う一つの意図なのだろうか。

しかもこうした大きな社会問題を引き起こしても、最高責任者の刑事責任はまったく問われず、現時点まで不正請求分を国に返還したという話も聞かない。もしかして返還費用を譲渡費用の中から捻出する為に、国もこうした取り扱いを認めたのであろうか?ということはこの問題は不正請求として監査で明るみに出た分を国庫に返しさえすれば、コムスンというひとつの会社をなくして問題はジ・エンドということか。

しかもこの一連の譲渡という問題解決過程で、最高責任者である会長はほとんど汗をかいていない。実質、責任を何もとろうとしない姿勢が許されて良いのだろうか?

返還金など個人専用のジェット機をはじめ、介護事業で作った個人資産ですべて返還できるだろうに。結果的に最高責任者が何も責任をとらず、報酬返還だけで済み、介護事業で残した莫大な個人資産は手付かずであれば、逃げ得を許した結果に他ならないのではないだろうか。

悪質な経営者はこの結果では決してなくならないし、歴史は繰り返されるであろう。

介護・福祉情報掲示板(表板)

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