現在、介護支援専門員の更新研修受講中で研修会場とホテルに缶詰の3日間であるため、ブログの話題も研修内容が中心になるだろうと昨日書いたが、1日目の研修を受けて気付いたことは研修の内容自体で、何か新たな情報や話題を皆さんにお知らせすることは難しいということである。

つまりこの研修は、介護支援専門員が定期的に一定レベルの知識を得る機会を義務付け、スキルアップを図って、ケアマネジメントの質を担保しようとするものであるが、基本的に現場の介護支援専門員の中には知識や技術に欠けているものが数多く存在することを前提にプログラムが作られているので、さほど高度な内容にはなっていないし、新情報もない。

テキストも各都道府県で作成しているものだが、基本的に誰が講師になっても講義ができる基本ファイルが出来上がっているので、講師がいくら頑張っても原則としてその内容から大きく飛躍できないという制約がある。

ある意味言えば、自分で作っていないパワーポイントファイルを使用して講義ができる内容であるから、勉強している人は聞くまでもないし、読めば分かる程度の内容である。だから講師の方々は逆に大変だろうと同情した。

1日目最初の介護保険制度論のファイルを見ると、これは我々が介護支援専門員の資格を取る際に受験者用のテキストで勉強した介護保険制度がなぜできたか、という背景から入り、昨年の制度改正の主たる内容までのファイルである。これをまた聞くのか、とがっかりする内容であった。

しかし今回の講師は、独自のファイルを織り交ぜ、あまりテキストの本旨に偏らないで独自の視点も盛り込んで話をしていたので、新知識を得てためになったというレベルではないが、それなりに評価できる講義であった。

2講目のケアマネジメント論は、テキスト内容を見るとケアマネジメントそのものの考察は非常に浅く、適切なケアマネジメントに基づくサービス提供をしないと利用者の適切な生活支援には結びつかないという、ごく当たり前の内容で、僕のこのブログのアーカイブの中からケアマネジメントに関連したものを読んだほうが、本音の知識が得られるんではないかと(手前味噌過ぎるが)感じていたが、幸い、短い時間ながら講師はあまり、この当たり前のことには深く触れず(テキストの読み上げのような講義でないことは非常によかったし、聞きやすかった)、むしろ更新登録に関する体系とか、登録の消除の該当要件などの説明は、この更新制度の意味を別な角度から理解できる内容で非常に意味があったと思う。

問題は午後から4時間にわたる、「高齢者の疾病と対処及び主治医との連携」の講義である。

講師の方は話もうまいし、別な内容の独自の講演を聴けばきっとすばらしい内容だろうと思う。しかし他人が作った膨大な量のパワーポイント資料を説明しなければならないので、様々な齟齬がでる。

例えば訪問診療についてパワーポイントのファイルに

1.ケアハウスや有料老人ホーム入居者の訪問診療は保険医療機関が在宅療養支援診療所の場合算定可能となる。

2.特別養護老人ホームの入居者は、在宅療養支援診療所の訪問診療および指示による訪問看護が可能となる。

これをそのまま説明していた。しかしこれは間違いではないだろうか?

1については、別に在宅療養支援診療所でなくても訪問診療自体は可能である。ただ「在医総管」を末期がんの患者以外にも算定できるのが在宅療養支援診療所であるということだけだろう。

2についても、この説明では特養に在宅療養支援診療所であれば無制限に訪問診療が行えると誤解してしまう。特養の利用者に在宅療養支援診療所から訪問診療を行ったり、その指示による訪問看護が行えるのは「末期がん」の方に対してのみであり、それ以外は認められていない。

今回の講義では、こうした間違いがそのまま流され、質疑応答の機会も無いので訂正の指摘も行えない。これでは誤った知識を現場に持ち帰る介護支援専門員が出てくるという弊害も生んでしまう。

それから認知症の問題についても、このブログでも指摘しているが、診断という部分の話であれば、医師の講義も役に立つかもしれないが、こと、認知症高齢者のケアとかサービス提供の方法ということになれば、これはまったく現場に役立つ情報や知識には欠けている。少なくとも認知症の高齢者の方々へのケアサービスは、医療の立場ではない人を講師に選定する機会があってよいだろう。

主治医との連携部分は、サービス担当者会議で連携しなさい、というだけの内容で1分ほどさらっと流しただけである。この部分は、講師としては「よくわからない」というのが本音なんだろうが、それは仕方ないかもしれない。現場で実際に介護支援専門員と連携している立場の人しか切実な問題ではないだろうから・・。

どちらにしても更新研修の内容がテキストで縛りがあり、受講対象者のレベルも様々であることで、講師の方々のご苦労も大変なものであることはよく理解できた。

介護・福士情報掲示板(表板)