(昨日からの続き)
制度改正議論の中で、ケアマネジャーが立てるプランの中に、特に軽介護者に対するプランにおいて不適切で過剰なサービスが多いため、要介護状態の悪化が進行した、という議論の延長線上に新予防給付が創設され、予防サービスは一定の制限が設けられ、しかもケアマネの担当ではなく地域包括支援センターが担当することになったのは衆知の事実である。
その中で、軽介護者の介護サービス利用の不適切さを証明する資料として、国側が当初示した資料は、日医総研・島根県の合同調査における2000年12月と2002年10月比較データであり、その結果は「軽介護者の介護度が短期間に悪化」したと結論付けていた。その結論を対象者は、わずか7.800人で、1地域の定点観測データが国の平均値であるかのように給付費分科会に示した。
ところがそれは後に、平成16年度介護給付費実態調査において国全体としては、軽度者と中・重介護者の重度化率は同じと否定された。
さすがにこの資料は正式には根拠とされなかったが、唯一正式に国側が新予防給付創設が必要な根拠として示したデータは、鹿児島県保健福祉部の「居宅介護支援事業所の実態調査」であったと記憶している。
この調査の結果について、結論付けられている点は「要支援、要介護1でサービス利用が増えるほど要介護度が悪化」という内容で、これが新予防給付創設の国の依拠データとなっている。
しかし原資料をつぶさにみると、要介護2・3も「総数」も要介護状態の推移は同様としか読めない。さらにこの調査では「要支援者中、ほぼ毎日(週29回)サービス利用した群における要介護度悪化が高割合」と結論付けているが、ところが総サンプル数310人のうち、毎日サービス利用はわずか2人しかいない。これでこの結論はおかしいだろう。
社会調査のデータとしてのサンプル数ではない。あまりに国の論理と結論だけが先行したもので、それに合致するデータを何とか探して持ってきた、という意味にしか思えないのである。
それらの資料に比べると、東京都で行われた「軽度者の重度化要因調査研究報告書(05・NPO法人地域保健研究会)」という調査報告のほうが説得力がある。
この調査は要介護度が2年間で悪化した100人の状態悪化原因を、担当ケアマネに聞きとり調査した結果であるが、その結果、要介護状態が悪化した原因は
1.疾病 44件
2.認知症 39件
3.加齢による脆弱化 23件
4.家族関係 15件
5.転倒 14件
となっている。そして「ヘルパーによる家事代行など過剰介護は0」としている。
この国のどこの調査研究をみても、過剰な家事援助が要介護状態を悪化させるなんて言う根拠はないし、そんエビデンスもどこにもない。
むしろ人の機能は家事能力から衰えやすく、一人暮らしや高齢者世帯の方が在宅生活を維持しようとする普段階では、家事援助を適切に組み込むことが必要なケースは数多い。
むしろそれらの適切なサービスを組み込まないことが、認知症の悪化や脆弱化、家族関係の悪化を助長する可能性が高い。まさに「軽度者の重度化要因調査研究報告書」の状況悪化要因に合致する原因を作り出す可能性があるのであり、過少サービスに対する注意も、専門家が持つべき視点である。
医療高齢者医療研究所所長の岡本 祐三氏は介護予防について「介護の世界では障害のナチュラルヒストリー(自然史;つまり障害がどのように始まり、どういう経過をたどるかということの把握)が明らかでないため、どこをどう押さえれば良いかという方法論が確立されていない」
「認知症も含め介護保険の諸問題は方法論の未成熟にある」といっている。
こうした未成熟の方法論の中の、国の主張である状態悪化要因を鵜呑みにしてはいけない。介護サービスの適正利用は、必要のないサービスは給付対象ではないというきちんとしたルールにおいて説明すべきだし、過剰サービスは身体機能悪化になるなんていう強迫で利用を抑制させるのではなく、自分の懐に跳ね返ってくる問題として語らねばならないだろう。
その上で本当に必要なサービスまで抑制していないか、きちんとマネジメントの中で考証が必要である。真のケアマネジメントが問われている。
介護・福祉情報掲示板(表板)
制度改正議論の中で、ケアマネジャーが立てるプランの中に、特に軽介護者に対するプランにおいて不適切で過剰なサービスが多いため、要介護状態の悪化が進行した、という議論の延長線上に新予防給付が創設され、予防サービスは一定の制限が設けられ、しかもケアマネの担当ではなく地域包括支援センターが担当することになったのは衆知の事実である。
その中で、軽介護者の介護サービス利用の不適切さを証明する資料として、国側が当初示した資料は、日医総研・島根県の合同調査における2000年12月と2002年10月比較データであり、その結果は「軽介護者の介護度が短期間に悪化」したと結論付けていた。その結論を対象者は、わずか7.800人で、1地域の定点観測データが国の平均値であるかのように給付費分科会に示した。
ところがそれは後に、平成16年度介護給付費実態調査において国全体としては、軽度者と中・重介護者の重度化率は同じと否定された。
さすがにこの資料は正式には根拠とされなかったが、唯一正式に国側が新予防給付創設が必要な根拠として示したデータは、鹿児島県保健福祉部の「居宅介護支援事業所の実態調査」であったと記憶している。
この調査の結果について、結論付けられている点は「要支援、要介護1でサービス利用が増えるほど要介護度が悪化」という内容で、これが新予防給付創設の国の依拠データとなっている。
しかし原資料をつぶさにみると、要介護2・3も「総数」も要介護状態の推移は同様としか読めない。さらにこの調査では「要支援者中、ほぼ毎日(週29回)サービス利用した群における要介護度悪化が高割合」と結論付けているが、ところが総サンプル数310人のうち、毎日サービス利用はわずか2人しかいない。これでこの結論はおかしいだろう。
社会調査のデータとしてのサンプル数ではない。あまりに国の論理と結論だけが先行したもので、それに合致するデータを何とか探して持ってきた、という意味にしか思えないのである。
それらの資料に比べると、東京都で行われた「軽度者の重度化要因調査研究報告書(05・NPO法人地域保健研究会)」という調査報告のほうが説得力がある。
この調査は要介護度が2年間で悪化した100人の状態悪化原因を、担当ケアマネに聞きとり調査した結果であるが、その結果、要介護状態が悪化した原因は
1.疾病 44件
2.認知症 39件
3.加齢による脆弱化 23件
4.家族関係 15件
5.転倒 14件
となっている。そして「ヘルパーによる家事代行など過剰介護は0」としている。
この国のどこの調査研究をみても、過剰な家事援助が要介護状態を悪化させるなんて言う根拠はないし、そんエビデンスもどこにもない。
むしろ人の機能は家事能力から衰えやすく、一人暮らしや高齢者世帯の方が在宅生活を維持しようとする普段階では、家事援助を適切に組み込むことが必要なケースは数多い。
むしろそれらの適切なサービスを組み込まないことが、認知症の悪化や脆弱化、家族関係の悪化を助長する可能性が高い。まさに「軽度者の重度化要因調査研究報告書」の状況悪化要因に合致する原因を作り出す可能性があるのであり、過少サービスに対する注意も、専門家が持つべき視点である。
医療高齢者医療研究所所長の岡本 祐三氏は介護予防について「介護の世界では障害のナチュラルヒストリー(自然史;つまり障害がどのように始まり、どういう経過をたどるかということの把握)が明らかでないため、どこをどう押さえれば良いかという方法論が確立されていない」
「認知症も含め介護保険の諸問題は方法論の未成熟にある」といっている。
こうした未成熟の方法論の中の、国の主張である状態悪化要因を鵜呑みにしてはいけない。介護サービスの適正利用は、必要のないサービスは給付対象ではないというきちんとしたルールにおいて説明すべきだし、過剰サービスは身体機能悪化になるなんていう強迫で利用を抑制させるのではなく、自分の懐に跳ね返ってくる問題として語らねばならないだろう。
その上で本当に必要なサービスまで抑制していないか、きちんとマネジメントの中で考証が必要である。真のケアマネジメントが問われている。
介護・福祉情報掲示板(表板)


感動の完結編。
