表の掲示板でも話題になっているが医療保険のリハビリ制限と、その緩和をめぐる問題で混乱が生じている。
(表の掲示板「医療保険と介護保険の給付調整が一部改正されています」を参照されたい。)

この問題の発端は、昨年4月の診療報酬改訂におけるリハビリテーションの給付制限である。つまり診療報酬改定によって、失語症などの一部の特定疾患を除き、90〜180日の日数制限が設けられ、脳卒中後遺症を持つ方などが、以後は医療保険のリハビリの対象から外されてしまったことに由来している。

その理由は「長期にわたって効果が明らかではないリハビリが行われている」という国側の論理によって生まれたルールだ。そして医療機関のリハビリの算定外となった対象者については「維持期」のリハビリテーションとして介護保険の通所リハビリや訪問リハビリを受けることが方針として打ち出されたわけである。

しかしこの制限が開始された当初から、医療機関やリハビリ通院の対象者からは「打ち切り」に対し、大きな不満と悲痛な叫びが沸き起こっていた。

介護保険のリハビリに移行するといっても、そもそも介護保険の対象にならない40歳未満の人を救済できないこと、介護保険のリハビリでは充分な必要な個別リハビリが受けられないことなどから状態が悪化してしまう、という声も出されていた。

これに対し、厚生労働省は昨年12月に「医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について」という通知を出し、あらためて医療保険のリハビリ制限の正当性を主張し、円滑な介護保険のリハビリに移行することで、対応は充分だという見解を示し、医療機関から介護サービス事業所等へ適切な情報提供と、サービス移行を行うように指導している。

この通知に対して医療現場からは、

 峙詆嫺数制限の撤廃」を求める患者、国民の声、マスコミの批判を全く無視し、行政としての責任を回避して、その責任を保険医や現場に押し付けるものである。

維持期リハビリテーションを医療保険から排除する姿勢になんら変わりなく、なんら改善は行われていない。

F数制限によって医療現場でおきている「医療が必要なのに医療保険では給付されない」という医療保険制度の根幹に関わる大問題は、なんら解決しない。

という指摘がされていた。

この問題の本質を考えたとき、40歳未満の介護保険非対象者の問題を別にしても、上記の通知で示された国の「維持期のリハビリは介護保険で充分対応可能」という考え方自体に無理があるのではないかと思える。

少なくとも通所リハビリの現状をみれば、療法士の配置は0.2でも基準違反ではない。つまりリハビリマネージメントや短期集中リハビリ等の「個別リハビリ」対象者以外のリハビリやその他の生活支援行為のみでサービスが完結している利用者も多いという意味である。通所サービスの目的が、引きこもりの防止や心身活性化機能があることは当然で、個別リハビリ以外のサービスにも費用をかけている、という実態がある。

つまり維持期のリハビリで医療保険に変わる介護保険のリハビリは、少なくとも「個別リハビリ」が行なわれている人に限ると見るほうが正しい見方ではないか。

しかし通所リハビリや訪問リハビリも支給限度額内のサービスであることを考えると、居宅で生活している人には、リハビリ以外にも入浴等の生活援助の支援が必要なんだから、この限度額内で行なえるリハビリテーションには限度があり、当然必要な個別リハビリテーションを十分提供するには介護保険の支給限度額に何らかの上乗せ部分があってしかるべきであるのに、こうした議論がないまま単に給付費抑制策として制限された問題が、さまざまひずみを生み出し、新たなる「生活障害要因」になってしまったという実態があるのだろう。

そうした現状からの不満の声の高まり、業界団体の圧力、その他、国会での政治的な動きも含めて、このリハビリ制限ルールの見直しが4月から行われることになり、日数制限を超えてリハビリが可能になる特定疾患に狭心症などを加えたほか、特定疾患以外でも、「医師が必要と認めた場合」にリハビリを延長する特別措置を講じた。さらに、維持期の患者向けに、月2回を上限とする「リハビリテーション医学管理料」を診療報酬に新設し、「介護保険の受け皿は不十分」との批判にこたえた内容に変更した。(参照:疾患別リハビリテーション料対象患者表

しかし医療費の総額を変えられないところから、日数制限を緩和した分、リハビリテーションに関わる診療報酬を同時に引き下げたわけであるが、加えて今回の「診療報酬の算定方法の制定等に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について(保医発第0330001号)の中で「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関する事項等について。」の一部改正について」を示し、
突然のように4月から、「医療保険における疾患別リハビリテーションを実施後、介護保険におけるリハビリテーションに移行した場合は、手術、急性増悪等により医療保険における疾患別リハビリテーション料を算定する患者に該当することとなった場合を除いて医療保険における疾患別リハビリテーション料は算定できない」
「同一の疾患等について、介護保険におけるリハビリテーションを行った月においては、医療保険における心大血管疾患リハビリテーション医学管理料、脳血管疾患等リハビリテーション医学管理料、運動器リハビリテーション医学管理料又は呼吸器リハビリテーション医学管理料は算定できない。」

というルールが示されたわけである。

つまり同一疾患について、介護保険のリハビリ(通所リハビリ、訪問リハビリ)を行いながら、医療保険の外来リハビリを行なうことは介護保険と医療保険の2重給付になるから、これはまかりならん。介護サービスとしてのリハビリテーションを受けているなら外来リハビリは算定対象とはしない、というルールである。

しかしこの通知の発出日が3/30日で、適用が4月からというのは、あまりにも周知期間が無さ過ぎる。ほとんどの関係者がこのことを充分に把握理解できていない。

こうした状況で、どんな問題が起こるかと考えると、医療機関で外来リハビリを受けている方の担当ケアマネが、その医療機関の医師ではない別の医師の情報提供を元に、居宅介護計画に通所リハビリ等を位置づけてしまって、外来診療でリハビリに通っている医療機関に連絡が無いまま、その外来リハビリを続けていると医療保険の算定外で返戻になってしまう。

そうではなくても医療機関への周知度も低いので、このルールを理解していない医師が、通所リハビリへ通うことを認めた利用者の外来通院もそのまま行わせている、というケースだって考えられないことはない。

医療機関は疾患別リハビリテーション料を算定し、通所リハビリ事業所は介護保険の通所リハビリ費を介護給付費として算定しているケースも出てくるだろう。医療保険と介護保険の請求の突合は充分でないだろうから、その時は支払われても、後に疾患別リハビリテーション料は返還指導がされる可能性が高い。

そのとき利用者の自己負担を求められたり、計画した担当ケアマネにクレームが出ることも考えられ、これは大きな問題と思える。そういう問題があること自体、知らない関係者が多いのが現状だ。

この通知を現時点で「知らない、見ていない」という関係者が多いことも問題だが、それはあまりに突然、周知期間もなく出された通知文書であるという証拠で、国の責任は重いと思う。

介護・福祉情報掲示板(表板)