昨日の報道された介護保険制度関連のニュースで非常に重要な情報があるが、イマイチ巷間では話題になっていないようである。しかしこれは大きなニュースと思う。

そのニュースとは療養病床の再編(介護療養病床の廃止と、医療療養病床の削減、新基準の療養病床への転換)に伴うニュースである。

廃止される介護療養病床や転換が迫られる医療療養病床のうち、新基準の医療療養病床に移行できないものについては、居宅サービスを含めた様々な施設への転換が促進されるが、国が推進しているのは老健施設への転換である。

しかし現在、老健に転換する希望を持つ経営者は1割に満たない状況である。その理由は様々で、まず何より医療の療養病床として「医療機関」としての存続を希望する経営者が現時点で多いということが理由のようだし、タイムリミットは5年後であり方針はここ1〜2年の状況を見て決めようとしている経営者も多いからだろう。

それに対して、厚生労働省は、老健への転換の支援策として『医療機関から老人保健施設に転換した場合は、施設内の診察室を入所者に限定せず、外来の診療所として活用することを認めるのが柱。医療法人がケア付き住宅などの高齢者住宅の経営もできるようにする。いずれも5月から実施する。』

としている。

つまり老健で外来診療が可能になる、ということであり、老健利用者の介護保険収入だけで運営する現行の老健とは異なり、それらの施設では医療保険から外来受診の収入も見込めるということになるのだろう。

診療機関としての他職員の配置基準は別だろうが、少なくとも医師については基本的に老健の所属医師の配置のみで、外来診療ができる、ということであろうと思える(このあたりの確定判断は現時点ではできない部分もあるが)。そうすると老健の転換に二の足を踏んでいた経営者の中には、方針を転換して積極的に老健転換を模索するような動きが出てくるのではないだろうか。

この問題については今後、注目していかねばならないと思う。しかも5月から実施できる、というものであるから、細かな内容も早晩示されるのだろう。

そうすると、医療機関の経営者という立場からだけでなく、介護保険施設の関係者については、介護保険施設のあり方として、一元化問題が論議されている最中に、実質的に一時的ではあるが、介護保険施設は、療養型医療施設、経過型介護療養型医療施設、老健、転換型老健、特養という5つの形態になるという状況把握も必要であろうし、5年後の療養型再編のタイムリミット時には、全国津々浦々に、外来診療もできる転換型老健と既存型の老健が混在し、特養と機能別サービス展開が図られる、ということになるやも知れないということを経営戦略の1判断要素の中に組み込んでおくべきだろう。

地域へ及ぼす影響も見逃せない。外来診療ができる老健ができたとき、高齢者の医療サービスの地域展開に今と違った変化が起きるかもしれない。

メリットやデメリットを検証するような段階でもないし、その判断要素となる情報も著しく少ない現況であるが、大きな変革に結びつく可能性がある問題だということは間違いないと思う。

介護・福祉情報掲示板(表板)