(昨日からの続き)
介護保険施設の一元化と1本化の違いは特養と老健を同じ施設にするという意味ではない。

「実態、機能面の特性を十分踏まえ、多様性を幅広く認める」という前提条件が示されているのだから、特養は、重度の要介護者を対象にした終生介護施設としてターミナルケア(看取り介護)の機能も併せ持った生活支援施設として存続していくであろうし、老健は「在宅復帰機能」を中心にした居宅と施設を繋ぐ「中間施設」としての機能が重視されることには変わりは無い。

しかし「一元化」が目指す方向は検討会で示されている基本的な考え方の中の「利用手続や利用料における不合理な格差の解消を図るべきである。」という文言の中に全ての意味が含まれている。

もちろん老健が医療費も介護報酬に包括された「マルメ報酬」であり、特養は医療費がべつっわくであるという違いなども検討課題とされているが、実は「不合理な格差の解消」とは在宅者との費用負担感(つまり在宅より施設サービスのほうが費用が安いのではないかという国民意識)をも含めた格差の解消という意味であり、つまるところ施設サービスの介護報酬の再見直しである。

つまり居住費と食費が自己負担された形だけでは施設利用者負担の体系は不十分である、という意味で、将来的に国が目指すものは、施設利用者の介護給付費はあくまで「介護サービスに関わる部分だけ」に限定的に給付しようと言う意味であり、その体系とは現行の「特定施設モデル」
である。

こうした給付体系に特養も老健も統一しようというのが「1元化」である。さらに重要な点は「介護施設等の在り方に関する委員会」が示している「施設のあり方」では、はっきりと「今後の施設ケアは、高齢者の生活の質の維持・向上を図ることを基本目標に高齢者の個別性に配慮し、全人的なニーズを踏まえたケアプランに基づき、質の高いケアを提供することが求められる。また、高齢者の生活の継続性の尊重という観点からは、施設における生活は、その意味においても、施設ケアにおける快適性(アメニティ)の向上を図っていく必要がある。」と謳っている。

この意味は、施設サービスのスタンダードを個室ユニットケアに置くという意味だ。

多床室はいらない、という意味にもとれるし、残しても給付費は減じた額で対応しようという意味である。個室料金を支払えない人々や、原則個室料金を給付しない生活保護費の問題はまったく無視された方向性であると言わざるを得ない。

現実には今、老健と特養、グループホーム等で行なわれている新しい介護認定の判定ソフトのデータ収集における「1分間タイムスタディ」では、日中の介護量と夜間の介護量の差、個室と多床室の介護量の差、について両者とも後者が「大幅に少ない」という結論を導き出している。

認知症高齢者の見守り行為についても「問題行動の見守り」には時間をつけているが「夜間の見守り」は0分としている。しかし夜間の見守り行為というのは、日中のように人の配置が複数で対応できない分、五感を働かせなければならないし、人が少ない分見守りも、日中の実際の手で触れる介護と同様の手かがかかるという実態に即していないのである。

これは間違いなく介護報酬の時期改正の減額理由にしようとするものだろう。なぜならこのロジックは障害者自立支援法で施設の報酬を引き下げた論理とまったく同一のものであるからだ。

次期報酬改正で国は、多床室の単価を再度大幅に引き下げるだけではなく、日中と夜間の報酬を完全に区分して、全体として報酬の引下げを図るという意味である。

つまり「介護施設等の在り方に関する委員会」を利用して国が導き出そうとしている結論は「特定施設モデル」という形での給付費の抑制に他ならない、ということであろうと考えられ、特養と老健は現行の機能をそれぞれ持ちつつ、介護給付費の支給体系と、利用者自己負担部分に統一的なルールが設けられ、それをもって一元化とする、という方向が模索されているということである。

介護給付費分科会「介護施設等の在り方に関する委員会」の委員の議論はきちんとこの部分にも触れて行われるのだろうか。議事録を見る限り、実に心もとないと感じてしまうのは僕だけだろうか・・・。

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