最近、近隣市の総合病院において外来診療科の待合室で、高齢者の方々が外来患者さんのお手伝いをしている姿をよく見かける。

最初は、同じ外来患者さん同志で助け合っているんだろうと思っていたが、どうやらそれは間違った認識であることに気付いた。

それらの方々は医療機関に登録した「ボランティア」の方々であり、高齢者の方等に外来受診時の待ち時間に必要な声かけや支援を行うという目的で活動されている方々であるそうだ。

ご存知の方も多いだろうが、医療機関に外来受診した場合、障害のある方の介助行為について、どこに責任主体があるかという論議に関連しては、訪問介護の身体介護の適用に関するQ&Aでも

Q.院内の移動等の介助は「場合により算定対象」となっているが具体的にはどんな場合か。

A.院内の移動等の介助は医療法において「しなければならない」取り決めはない、診察室に入ったら医師の管理下、看護師の管理下になる。待合室における対応(例えば要介護度によって待っている間トイレへの介助が必要になる等)は院内介助として算定してよい。院内の介助が行われていない病院において算定できる。


このように待合室での対応は、医療機関で必ずしも対応しなければならないというものではなく、個々の状況に応じて、訪問介護での対応が必要なケースなども生じてくるもので、場合によっては家族などインフォーマルな支援がない方で、保険給付の対象にならないような支援行為が必要な方は保険外で訪問介護等を利用するなど、経済的にも精神的にも負担が生ずる場合がある。

それに対して待合室での支援ボランティアを医療機関が中心的役割を担って組織化することは非常に意義深いことであろうと思う。

隣市の医療機関のこの取り組みは、総合病院が複数協力連携して、ボランティアを全体として登録管理して各医療機関に配置しているということであるが、詳しい状況は未確認である。ただ80名近い高齢者の方々が登録して実際の支援に携わっているとのことであり、今後、状況を詳しく調べて皆さんにも情報提供したいと思っている。

今年から団塊の世代と呼ばれる方々が退職の年齢に達するといわれている。わが国の人口自体は減少傾向にあるが、団塊の世代の方々が高齢期に達することで高齢者人口は増え続ける。


このことが2015年問題にも繋がっているわけであるが、しかし高齢者がすべて介護や医療の支援を必要としているわけではなく、むしろマジョリティーは医療や介護の支援が必要ではない「元気な高齢者」である。

これらの「元気な高齢者」の方々が、生きがいに繋がる社会活動に参加して、社会資源の一つとして要介護者の方々等への支援に関わることができるかが、今後のわが国の社会システムのひとつの重要な要素となるのではないだろうか。

平成18年の高齢者白書によれば、65歳以上の高齢者は2560万人で、そうのち要支援以上の介護保険認定者は394.3万人であるから、高齢者に占める割合は15%強である。しかし残りの85%の方々全てが「元気な高齢者」というわけではなく、医療を必要として要介護認定を受けていない方もいる。さらに社会活動の参加ということで考えれば、自分の身の回りのことには不自由はないけれど、他者への支援活動は困難である、という人もいるであろうから、高齢者のマジョリティーを占める、要支援・要介護認定を受けていない人全てが、支援活動に参加できるわけではない。

しかし高齢者の多くが支援を必要としているという理解は一面では間違いで、他者に支援できる高齢者が数多くいるし、高齢者の数が増えるもう一つの意味は、そうした社会活動に参加できる高齢者の数自体は増え続ける、ということである。

そうした方々に、社会参加に繋がる「動機付け」となる「実際にできる支援行為」の情報をいかに提供するかが重要な要素となる。

内閣府の高齢者の社会参加意識に関する調査でも、ボランティア活動に関心がある高齢者が全体の47%以上を占めるのに、実際に活動参加している高齢者は3.6%に過ぎない。希望や関心が実際の活動に結びついていないのである。その原因は様々であろうが、ひとつに実際に何をどのようにできるかという情報がないこと、本当に必要とされている行為自体の実施システムが地域にないことも大きな原因であろう。

そこに手当して、この数字の差をいかに埋めるのかが、地域の社会資源の充実にも繋がるのではないだろうか。

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