特養、老健等、施設の種別に関係なく、介護職員の皆さんの悩みの種のひとつに「記録」の書き方があろうと思う。特に担当者の支援記録をどのような書くことが適切な記録なのか、悩みを持っている方は多い。

しかしそれに対して適切な指導をするのもなかなか難しい。それだけ記録とは難しいものだし、自分自身がきちんと記録できているかといえば、そうではない部分もかなり思い当たるのである。

ただし明らかに記録の意味をわかっていない記録者もあり、そこから考え直すことで「何を書くべきか」ということが少しは見えてくるだろうと考えている。

介護職員等が自ら担当する利用者の支援記録を書く場合、その目的をどのように捉えているのだろうか。確かにケアサービスの品質向上や維持の為の資料としての記録という意味もあるとは思うが、第1義的には、支援記録は何を行なったかという「証拠」としての意味があることを忘れてはならない。

特に現在の介護保険制度下における介護保険施設や介護サービス事業所においては、ケアプランに沿ったサービス提供が求められており、その内容については費用算定の根拠となっている部分もある。それらは事前に同意をもらって実施しており、ケアプランに記載されているサービスが適切に行われているか、ということが支援記録を見て判断できなければならない。

ケアプランの内容に基づいた記録、というのはある意味当然なのであり、その実施状況が書かれていない支援記録などあり得ない、と考えたほうがよいだろう。

かつて入院中に褥創ができた患者の家族が、当該医療機関を訴えた「褥創(じょくそう)裁判」というものがあった。このとき裁判所は医療機関側が褥創を防ぐ為に適切な対応をしていたのかについて、看護記録を証拠として「書かれていない」ことをもって医療機関側の責任を「過失;結果回避義務」を認めた判例もある(過失による損害賠償として慰謝料支払いが認められた)。

僕が自らの施設職員に指導している記録の書き方は、かつて施設の介護支援専門員の役割を書いた小論文の中で示しているが、それは次の通りである。

まず何のために記録が必要かという点であるが、その意味として次の4点を挙げてみたい。

1.目標や計画に沿ったケアが行われているかというサービス実践の適正さを証拠立てるため。
2.ケアの継続性や統一性を確保するため
3.脱集団処遇の観点から個人のニーズにあった個別ケアの実践方法を見出すため
4.高品質のケアサービスを確立するための資料となるため

これらの意味に沿って記録するのであれば、その記録には「観察」「判断」「目標」「実施」「評価」が含まれる。介護保険施設においてはケアプラン作成の過程で課題や目標、その実施方法は決定されており、これに沿った内容の記載を行うことが結果的に適切な記録の方法となりうるのである。

また対人援助たるケアサービスは「利用者を見て感じることに始まり、利用者を見て感じることで終わる」といっても過言ではなく、個人のさまざまな表情や動きを観察することなしでは、利用者の変化に気づくのが遅れるばかりでなく、ケアがマンネリ・画一的・習慣的になってしまう恐れが常にある。小さな変化も見逃さず、また先入観や偏見にとらわれないで、利用者に常に関心を持ってケアにあたらねばならず、そういう視点を持った記録は、記録をとることで自らのケアの実践を自らが自然と振り返り、評価し、ケアの品質向上につながるという相乗効果も期待できる。

適切なケアとは、適切な判断基づいたケアを意味し、記録の中にはケアの内容や利用者の状態のみに留まらず、必ずそのときの判断を記入することが重要である。具体的には、目標が定まっているのであるから、それを意識しながら、

1.どのような状態に対して
2.どのように働きかけ(具体的に何をして)
3.それに対する結果は、利用者の反応も含めて(特に嫌だというような感情表現は重要である)どうだったのか。

この3点を書くことを原則としなければならない。そして結果として問題解決や行動変化につながったのかという評価も含めて「なぜそうなったのか」を分析して書くことができればベストであろう。

以上の点を念頭において書くことで、何を書くべきかという具体的なものが見えてくるのではないだろうか。

介護・福祉情報掲示板(表板)