通所サービスの報酬については制度改正で利用者実人員に応じた規模別報酬が導入された。このルールでは「毎年度3月31日時点において、事業を実施している事業者であって、4月以降も引き続き事業を実施するものの当該年度の通所介護費の算定に当たっては、前年度の平均利用延人員数は、前年度において通所介護費を算定している月(3月を除く)の1月当たりの平均利用延人員数とする。」とされている。

3月を計算式から除外しているのは、3月末までの実績から計算したのでは、4月の介護計画を立てる段階で、通所サービスの規模別報酬がどれに属するか不明で、3月中に新年度・4月の計画が立てられないからであろう。

つまり3月に入った時点で、通所サービス事業所は前年4月から、当年2月までの1月当たりの平均利用延人員数を計算しなければならない。

計算式においては「指定通所介護事業者が指定介護予防通所介護事業者の指定を併せて受け一体的に事業を実施している場合は、当該指定介護予防通所介護事業所における前年度の1月当たりの平均利用延人員数を含む。」とされ、当事業所はまさに、ここに該当するので予防サービスの人数を含んで計算することとなる。

このとき注意すべきは「平均利用延人員数に含むこととされた介護予防通所介護事業所の利用者の計算については単純に延人員を加えるのではなく、同時にサービスの提供を受けた者の最大数を営業日毎に加えていくこととする。」というルールである。

つまりは、予防サービスは介護サービスと異なり、サービス提供時間が報酬別に決まっているわけではなく、各個人の状態に併せて事業所の2次アセスメントで決めることが出来、介護通所と予防通所を一体的に行なっている事業所においては、予防の対象者は時間によってサービス利用している人数が異なる場合がある。また予防サービス対象者のみ午前と午後の2単位に分けて介護サービスと一体的に実施している事業所では午前5人、午後6人などと利用人数が異なる場合がある。

このとき延べ人数合計で利用人員を算出するのではなく「同時にサービスの提供を受けた者の最大数を営業日毎に加え」というルールであり、例えば定員20人の介護と予防通所を一体的に行っている事業所で、ある日、介護サービス10名、予防サービス午前4名、午後6名という場合
予防サービスの利用者が午前と午後で入れ替わり別の利用者が利用していても利用人数の計算は10+4+6=20ではなく、10+6=16となる、という意味である。

また当事業所のように4〜6のサービス提供時間の場合は「4時間以上6時間未満の報酬を算定している利用者については利用者数に4分の3を乗じて得た数とする。」という計算式だから上に例示したケースでは10×3/4+6=13.5 という計算式になる。

この場合、気をつけなくてはならないのは、予防通所はサービス提供時間が介護サービスより短い時間だとしても1と計算することになる。

ところでこのルールにある矛盾があるのを皆さんはお気づきだろうか。

つまり規模別報酬というのは「事務経費等の固定経費についてスケールメリットが働くことから、それに相当する程度」の減額や加算を行っているという意味である。

ところが定額報酬の予防サービスの利用回数は事業所の2次アセスメントで決まっており、要支援1の人が必ず週1回しか利用できない、ということではない。現実に当事業所では要支援1の人でも週3回利用している人が居られる。そうなると収入増加にならない利用者の数も実はこの規模別報酬の計算上の利用人数に含まれてしまうということになり、利用者の状態増に関係なく、2次アセスメントも不十分で、一律予防の対象者を要支援1は週1回、要支援2は週2回の利用などと限定している事業所の方が、より高い報酬を算定でいるという矛盾が生じてくる。

つまり規模別報酬とは事業所の質の評価にはなり得ないし、スケールメリット論も予防サービス対象者を計算式に加えることで綻びが生じたルールになっているという実態が見て取れるのである。

何はともあれ通所サービス事業所は、この計算を早急に行い、4月以降の報酬が小規模型か通常型か減算型か利用者や担当ケアマネにアナウンスする必要があることを忘れてはならない。

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