昨年12月に書いたブログ「介護報酬はどうなるか。」の中で、
『厚生労働省内部でも社会・援護局は「次期改正では介護報酬引上げの方向で」と声を挙げているが、老健局は「改正の主軸は報酬減で推移するものと考えている」と正反対の意見を述べている。』と書かせてもらった。
これに関連して「シルバー産業新聞(昨年12/10付け分)」のインタビュー記事の中で、社会援護局長が語っている内容が面白いので一部抜粋して、その意味と問題点を考察してみようと思う。
(以下抜粋部分。〜の部分は一部省略部分です)
(局長)「景気が回復し他の産業と人材の奪い合いになりますが、福祉の分野は劣勢です〜診療報酬や介護報酬で運営している公的セクターは景気が良くなったからといって急に支払いを増やせない為です〜診療報酬、介護報酬は長い間マイナス改定が続き医療法人や社会福祉法人の経営が相当厳しくなっている。〜人を採用するには賃金を良くしなければなりません。基本的なサイクルとしては介護報酬や診療報酬を上げなければならないということです。」
(インタビュアー)『ただ次回の改定でもアップすることはみこめないでしょう。』
(局長)「介護・障害・医療は保険、税金で運営しており、それらを上げたくないという声は強い。賃金が上がっているんだから介護報酬や診療報酬を上げなければならない。けれども国民負担は上げたくないという板ばさみ状態です。しかも国も地方も歳入に対して歳出が大きくプライマリーバランスが崩れている。だからますます増税が嫌なら歳出をカットしろという声が強くなるんです。骨太方針では5年間に社会保障費は国と地方で合わせて1兆6000億円減らせといわれています。来年度予算も予想される伸びから2200億円削れといわれています。介護報酬や診療報酬、障害に要する費用は上げられず人は確保できない。〜とはいえ現実的に人件費が上がるので、カットカットだけでは済まなくなります。それに見合った人件費の確保が介護報酬や診療報酬の中に求められると思います。だけど、全部の事業所、全部の施設を一律に挙げることは相当難しい。優れた人材を配置しているとか、優れたサービスをしているところに対し重点的に引き上げるという重点化を図らねばなりません。究極的にはサービスの質の評価というものさしが必要になります。それが出来上がるまでは、資格を持った人間の比率など外形標準的なものを指標に介護報酬なり障害報酬を評価するしかないでしょう〜」
(抜粋ここまで)
つまり社会援護局が考える次期報酬は、本体報酬は上げないけれど、介護福祉士などの有資格者の一定数以上の配置に対しては加算報酬でみてはどうか、ということだろうと思う。
何か気付かないだろうか?この構図は、一昨日問題提起した診療報酬の7:1の看護師配置への加算と非常に似通った考えだ。すると現在問題となっている看護師の都市部への集中と地方医療の荒廃という状況が介護の領域でもより深刻に広がってくる恐れがある、ということである。
良い介護には、それだけ人の配置が必要で、それは質と量の両方が必要であり、どちらかが欠けて、どちらかで補えるものではない。加算報酬を得ることで人的配置が容易になり経営的に安定するのであれば有資格者の配置はすすむであろう。しかしそのとき過疎化がすすむ地域だけではなく若年人口の少ない地方の市町村には有資格者自体の数が足りていないし、わざわざ別地域からそうした地域に若者が就業目的で集まってくる状況ではなくなる傾向が強まっている。20年前、10年前の状況とは明らかに違ってきているのである。
そうなると地方の施設は加算をとる人的配置ができず、人件費も抑制せざるを得ず、ますます人の配置が厳しくなる。悪循環を断つ具体的な方法論はない。それで我慢できればよいが、その先にはもっと恐ろしい現象が生まれてくる。
つまり、これまで福祉施設や介護施設は、都市部のみならず、全国津々浦々、かなり小さな単位の町村にも設置されてきた。それは措置制度で整備がすすんだ側面もあるが、利用者確保という面からは地方の小さな町村でもさほど困難ではなく、逆に土地の確保など建設コストや運営コストが安い地域で事業運営したほうが安定経営が見込めた、という側面があり、地方の小さな町や村に、大きな社会福祉法人が複合施設を建設して、地元の雇用創出や地域活性化の要素になってきたという面もある。
つまり社会福祉法人が地方の経済や地域社会に果たしてきた別な役割も大きかったという意味である。
しかし今後、そうした小さな町村での事業経営は「利用者あっても従業者なし」という問題が起こってくるだろう。 少子高齢化の影響をもろに受けてくるのだ。そうした中、町村部での事業経営から撤退して、本拠や軸足を都市部に移そうとする法人が増えていくのではないだろうか。
介護施設がなくなる、あるいは縮小するという町村が出てくるという現象が生まれる可能性がある。
その向こうには必要な生活支援が受けられず劣悪な環境で暮らすか、住み慣れた土地を離れて暮らしの場所を探すか、そうした新たな空洞化現象が生まれるという意味である。
そしてそれは地方の崩壊、地域社会の崩壊に直結する恐れさえあるのだ。
こうした心配が杞憂に終わることを願うのみである。
介護・福祉情報掲示板(表板)
『厚生労働省内部でも社会・援護局は「次期改正では介護報酬引上げの方向で」と声を挙げているが、老健局は「改正の主軸は報酬減で推移するものと考えている」と正反対の意見を述べている。』と書かせてもらった。
これに関連して「シルバー産業新聞(昨年12/10付け分)」のインタビュー記事の中で、社会援護局長が語っている内容が面白いので一部抜粋して、その意味と問題点を考察してみようと思う。
(以下抜粋部分。〜の部分は一部省略部分です)
(局長)「景気が回復し他の産業と人材の奪い合いになりますが、福祉の分野は劣勢です〜診療報酬や介護報酬で運営している公的セクターは景気が良くなったからといって急に支払いを増やせない為です〜診療報酬、介護報酬は長い間マイナス改定が続き医療法人や社会福祉法人の経営が相当厳しくなっている。〜人を採用するには賃金を良くしなければなりません。基本的なサイクルとしては介護報酬や診療報酬を上げなければならないということです。」
(インタビュアー)『ただ次回の改定でもアップすることはみこめないでしょう。』
(局長)「介護・障害・医療は保険、税金で運営しており、それらを上げたくないという声は強い。賃金が上がっているんだから介護報酬や診療報酬を上げなければならない。けれども国民負担は上げたくないという板ばさみ状態です。しかも国も地方も歳入に対して歳出が大きくプライマリーバランスが崩れている。だからますます増税が嫌なら歳出をカットしろという声が強くなるんです。骨太方針では5年間に社会保障費は国と地方で合わせて1兆6000億円減らせといわれています。来年度予算も予想される伸びから2200億円削れといわれています。介護報酬や診療報酬、障害に要する費用は上げられず人は確保できない。〜とはいえ現実的に人件費が上がるので、カットカットだけでは済まなくなります。それに見合った人件費の確保が介護報酬や診療報酬の中に求められると思います。だけど、全部の事業所、全部の施設を一律に挙げることは相当難しい。優れた人材を配置しているとか、優れたサービスをしているところに対し重点的に引き上げるという重点化を図らねばなりません。究極的にはサービスの質の評価というものさしが必要になります。それが出来上がるまでは、資格を持った人間の比率など外形標準的なものを指標に介護報酬なり障害報酬を評価するしかないでしょう〜」
(抜粋ここまで)
つまり社会援護局が考える次期報酬は、本体報酬は上げないけれど、介護福祉士などの有資格者の一定数以上の配置に対しては加算報酬でみてはどうか、ということだろうと思う。
何か気付かないだろうか?この構図は、一昨日問題提起した診療報酬の7:1の看護師配置への加算と非常に似通った考えだ。すると現在問題となっている看護師の都市部への集中と地方医療の荒廃という状況が介護の領域でもより深刻に広がってくる恐れがある、ということである。
良い介護には、それだけ人の配置が必要で、それは質と量の両方が必要であり、どちらかが欠けて、どちらかで補えるものではない。加算報酬を得ることで人的配置が容易になり経営的に安定するのであれば有資格者の配置はすすむであろう。しかしそのとき過疎化がすすむ地域だけではなく若年人口の少ない地方の市町村には有資格者自体の数が足りていないし、わざわざ別地域からそうした地域に若者が就業目的で集まってくる状況ではなくなる傾向が強まっている。20年前、10年前の状況とは明らかに違ってきているのである。
そうなると地方の施設は加算をとる人的配置ができず、人件費も抑制せざるを得ず、ますます人の配置が厳しくなる。悪循環を断つ具体的な方法論はない。それで我慢できればよいが、その先にはもっと恐ろしい現象が生まれてくる。
つまり、これまで福祉施設や介護施設は、都市部のみならず、全国津々浦々、かなり小さな単位の町村にも設置されてきた。それは措置制度で整備がすすんだ側面もあるが、利用者確保という面からは地方の小さな町村でもさほど困難ではなく、逆に土地の確保など建設コストや運営コストが安い地域で事業運営したほうが安定経営が見込めた、という側面があり、地方の小さな町や村に、大きな社会福祉法人が複合施設を建設して、地元の雇用創出や地域活性化の要素になってきたという面もある。
つまり社会福祉法人が地方の経済や地域社会に果たしてきた別な役割も大きかったという意味である。
しかし今後、そうした小さな町村での事業経営は「利用者あっても従業者なし」という問題が起こってくるだろう。 少子高齢化の影響をもろに受けてくるのだ。そうした中、町村部での事業経営から撤退して、本拠や軸足を都市部に移そうとする法人が増えていくのではないだろうか。
介護施設がなくなる、あるいは縮小するという町村が出てくるという現象が生まれる可能性がある。
その向こうには必要な生活支援が受けられず劣悪な環境で暮らすか、住み慣れた土地を離れて暮らしの場所を探すか、そうした新たな空洞化現象が生まれるという意味である。
そしてそれは地方の崩壊、地域社会の崩壊に直結する恐れさえあるのだ。
こうした心配が杞憂に終わることを願うのみである。
介護・福祉情報掲示板(表板)


感動の完結編。

先日の話題も含め、人材確保がホント厳しくなっているようです。
企業面談会・就職フェアといわれる催しへの参加者が激減している現実もありますし。
人財育成という目的の前に、人材確保という大きな壁が出来ると、組織としてはかなりの痛手です。