ノロウイルスが猛威を振るっているというニュースが流れている。

新聞報道では史上最悪の流行と言っているが、このウイルスはつい最近まで小型球形ウイルスといわれていた名のごとく、非常に小さい為、そのウイルス自体の発見が遅れていたもので、おそらく過去に、単なる風邪の下痢症状や腸炎と診断され、集団発生があったものも、このウイルスによる腸炎であるものが数多く含まれていたもので、近年、急激にこの流行が問題となっているのは、発生が近年増えたのではなく、原因がこのウイルスであるということがわかってきた、という方が正しい理解であろう。

ある特養では死亡者も出ているとのことで、いつ我々の地域や施設にも感染者がでるのか戦々恐々としながらでき得る対策をとっているというのが現況である。

しかし、でき得る対策とは言っても具体的には「調理場の衛生確保と十分な加熱調理」「手洗いとうがいの励行」「清掃をはじめとした環境衛生活動」くらいであろうか。

このウイルスの怖いところは100個以下の少ない量のウイルスでも感染してしまうことで、2枚貝などが汚染リスクが高いといわれるが、それを食べなければよいという問題でもなく、ウイルスに汚染された嘔吐物や糞便なら少量でもそれに触れて感染する可能性があるだけでなく、厄介なことに嘔吐物が微細粒子化して空気感染する恐れもあり、嘔吐物や糞便の処理をする場合、完全処理と共に空気中に飛まつしないように、迅速に(乾く前に)かつ、ていねいに処理しないとならない、という点への注意が必要となる。

はっきりいって、感染源はいつ何時、どこから持ち込まれるか予想もつかず、完全に感染を防止することは不可能に近い。施設としてできるだけ感染リスクを減らす対応に努めると共に、感染者が出た際は、日頃から知識を得ておいて、適切に対応して、出来る限り感染を広げない取組が必要とされる。

そういう意味で感染防止・対応マニュアルは「わかりやすい」形で整備されておらねばならない。わかりにくい、読んでも理解できないマニュアルはないのと同じくらい効果が薄い。ウイルスの特徴や、感染経路、予防対策がしっかり理解でき、実行できないと意味がないのである。

ただいくらマニュアルが整備されていても、現場の職員の意識が伴わないと絵に描いた餅である。

例えば、手洗いひとつにしても意識の差が出る。きちんと流水で時間をかけて洗い流している職員と、そうでない職員がいる。これではだめで、感染対策の知識として手洗いの方法をしっかり把握してもらわねばならないので、口を酸っぱくしての指導が必要だ。

特に知識のない人は、手洗いより手指の消毒が有効と間違って考えている人が多い。

ノロウイルスはアルコール消毒も有効ではないウイルスであり、基本的に不活性化するには次亜塩素酸ナトリウムによる消毒か85度以上で1分以上の加熱処理が必要である。つまり塩素酸ナトリウムという消毒に有効な薬剤は、普通手指の消毒には使えない強い「漂白剤」であり、 手指の消毒に有効な手段はなく、感染源が付着している汚れを「洗い流す」以外なく、感染予防には、流水20秒以上の手洗いがもっとも有効だといういみである。

きちんと対応してもらいたいが、20秒という時間は結構長くて、現場の忙しい職員にはこの時間が余計長く感じられるのだろうが、ひとたび感染が広がれば、もっと大変な対応が求められるし、何より利用者や職員も大変な「症状」に悩まされるのだから徹底して行ってもらいたい。

しかし感染予防対策としての手洗いや手指消毒の各施設での現状を見たとき、僕にはある疑問と、危険性を感じざるを得ない。

例えば、MRSA等、アルコール消毒が有効な感染症の場合、おむつ交換時、次の利用者に移動する際に、手を洗わないで消毒だけする職員がいる施設がある。これは危険だ。一時的にアルコールで不活性化する菌であっても、この方法を続けることにより耐性菌が生じてしまう。まず手についた感染源の付着した汚れを洗い流し、菌やウイルスが出来るだけ少ない状態にしたうえで、消毒液で完全に不活性化させるという意識が必要ではないだろうか。

おむつ交換時に必要な商品として、手を洗わないで消毒液を吹きかけるものが販売されている現状も疑問を感じている。感染予防は同時に耐性菌をできるだけ作らない意識と同一視点上に考えられなければならないと思う。

医療機関の病室の出入り口に、噴霧識の消毒液のボトルが設置され、家族等の面会者にも噴霧消毒を強制している対応にも大いに疑問がある。その前に手洗いの励行の呼びかけを行うべきではないか?

「超多剤耐性」の結核菌が、国内でも入院患者の0・5%から検出されたニュースが報道されているが、このことも医療関係者が考えるべき問題と第3者的な立場から見ていないで、感染予防と耐性菌を作らない清潔環境づくりを介護の現場でも学んでいくという意識を持って考えていく必要があると思う。

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