年末になると流行語大賞というのが発表されるが、北海道の今年の流行語大賞を選ぶとしたら、間違いなく「シンジラレナ〜イ!!」だろう。

もちろんファイターズのヒルマン監督が勝利監督インタビューで発する常套句であり、札幌ドームでは、いつからか4万人の観客と一斉に「シンジラレナ〜イ!」を大合唱するのが勝利の後の「いつもの風景」になっている。

その声を、そしてスタンドの9割を埋めるファイターズファンの熱狂的な応援を、昨日はテレビ観戦した皆さんが多いのではないだろうか。

まことに申し分けないのであるが、僕は平日の通常勤務であるにも関わらず、午後から有給休暇を頂いて4万超の観客の一人として札幌ドームで声をからしていた。職場の皆さんご協力有難う。

しかもさらに不届きといわれるかもしれないが、プレーオフも日本シリーズも、チケットを取ることさえ難しい状況でドームの中で北海道の歴史上初めての「胴上げ」を見ることができるチャンスにめぐり合える人は本当に「幸運」であったのだが、僕は2度とも「そこにいた」のである。

両方の胴上げの歓喜の場に居合わせることができた人は道民でも何人いることか!!

新庄選手の涙にも感激させられた。ナインが彼に感謝しながら駆け寄る姿、胴上げがマウンド付近でなく外野近くで行われるのも異例だろう。いいものをみた。

彼のことは実は4月に書いている「テーマのない日〜シンジョーのこと。」

彼が多くのファンの心をつかむのはパフォーマンスが派手だからではなく、そこにファンを思う気遣いとか真摯な気持ちがあるからで、それが伝わるからである。目立ちたがりやの派手な人ではなく「気遣いの人」というのが彼の真実の姿だ。

その証拠が北海道の至るところに逸話としてある。タクシー内で運転手にサインを求められて「僕は色紙にしかサインしない主義だから」といって断ったかと思ったら、コンビニにタクシーをとめて自ら色紙を買いに行った、という話は有名である。

それから北海道のファンの応援スタイルも独特なものが作られた。一番誇るべきは「応援するとも非難せず」というスタイルで、札幌ドームで相手チームに対する「野次」を聞いたことがない。

他のチームの応援と違うもうひとつの特徴はトランペットなどの鳴り物を使わないということだ。太鼓は控えめに使っているが、ほとんどがファンの声とメガホンを打ち鳴らす音で、それが球場全体の一体感となっている。

ドラマ「北の国から」の「う〜う〜ううううう〜」という、さだ まさし作曲のテーマソングも応援ソングのひとつであり、この大合唱もすごい。

どこかの金持ち球団の「うるさい」応援スタイルとは一線を画している。これも道民の誇るべきスタイルだろう。

ともかくあの場所にいた人にしかわからない感激がまた球場に足を運ばせるのであり、この地域密着型球団は北海道にしっかり根ざしているといってよい。その証拠が球場に年齢を超えて「主婦」の姿が多いことが証明している。ファイターズで野球に興味を持ってファンになった人々であり、その子供や孫たちも当然のようにファイターズを応援して育つのだ。

昨日はプラチナチケットであったことで、こんな場面もあった。

ドームの駐車場でラジオで応援する「お父さん」がいて話を聞くと、函館から家族で来たというその人は奥さんと息子はドームで観戦しているが、チケットがないから彼は球場に入れないというのだ。お父さんはどこの家庭も「弱い立場」である。

ただひとつ、ざんげしなければならないことがあり、告白しておく。

○○高校の先生、息子を病院に連れて行くと偽って早退させて申し訳ありませんでした。本当はドームに連れて行ってしまいました。

勉強より大切なものを感じ取れる日になるかもしれないし、そういう機会は、人生の中でそう何度もないと思ったからです。

感激する心を持つことが人を思いやる心にも繋がるのだから・・・。

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