先週金曜の北海道は氷点下の気温になった地域もある。それでも平年より2〜3日遅いそうである。

登別も日中でも暖房の必要を感じる寒さであった。冬は近い。
ふと気になって僕が来月、講演で訪ねる予定の長崎県方面の日中の最高気温を調べてみると、まだ25度を超えている。日本が南北に長いことをあらためて実感する。

先週末の3連休は土曜が日直で僕自身は2連休であったが、この間、講演の資料作りを行っていた。そのとき、ふと考えたことを今日は書いてみたい。

先日、介護機器の某大手メーカーの記念講演会のご案内をいただき参加してきた。機器展示会と90分の講演がセットになっている。内容は介護施設のリスク管理についてである。

講師の方は、その方面では有名な方らしいが、失礼ながら僕は存じあげていない。ふと興味があって、講演料はいくらくらいなのか「そっと」担当者に尋ねてみた。

驚くことに、1回90分で20万は下らないらしい。そのほか宿泊や移動費を考えるとメーカーの持ち出しは、すごい額だろう。T先生など有名教授などに依頼すれば一体いくらになるんだろうか。

で、内容はどうよ?ということであるが、僕にとってはあまり興味深い講演内容ではなかった。テーマ自体は必要な内容で、それなりの視点や考え方は示されているんだが、どうもピンとこない。その理由をいろいろ考えて見たが、ふと思い当たった。

その講演内容には、現場の現実と微妙なタイムラグがあるのだ。

例えば、入浴のリスク管理についてでは、入浴時間に浴室前に、車椅子の利用者が行列を作って待っているような風景を語っておられたが、特養に限れば、その風景は数年前の大部分の施設ではあったかもしれないが、今、個別ケアやグループケアに取り組んでいる施設で、そんな場面にはお目にかからないだろう。

そのほかにも「それいつの時代の話?」という内容が多すぎるのだ。ネットで情報が飛び交う社会で数ケ月前の内容を話しても、過去の数年前の感覚と同じだということに気づかないのだろうか。

そこで、研修資料を改めて見ると「なるほど」と思った。

冊子になっている重厚な資料で、内容も豊富だが、日時や場所が書かれていない。

つまり「使いまわし」の資料で、講演内容も各地で「使いまわして」いるんだろう 。

同じようなことが国の関係者の資料でも見受けられる。制度改正の前後の各地の講演資料をみると、講師が別人物なのに、同じ資料で説明会が行われている。

まあ、これは前者の講演とは異なり、個人の講演という色彩より、制度改正についての周知として、省でつくった資料を基に各地で情報提供するという意味であるから許されることだろうと思うし、情報の錯綜を防ぐためにはむしろ必要なのだろうと思う。

逆に、元・老健局長が札幌の某短大で毎年、講演を行っているが、毎年のように個人的見解で混乱を引き起こしている。昨年の講演では「予防プランは居宅介護支援事業所への委託作成はできない」と言って帰って、道内の関係者を慌てさせた。(僕にも問い合わせが来たが「嘘でしょう」と流した)

それを考えると伝達講習的なものは、統一した資料で説明することも必要だとは思う。でもそれって結構、楽だろう。少なくとも自分で資料を作る手間はない。誰が講演したって内容もたいした変わりはないのだから、講演料が高い、偉い人をわざわざ呼ばなくても良いのではないかと感じることもある。

どちらにしても、伝達講習ではなく、自分の考えを多くの皆さんに聞いていただく大切な機会としての講習の資料は、今、このネット社会で、情報量が莫大な状況で、かつ制度改正などのルールの周知や、ルールに合わせた現場での試行的な実践が行われている時期の、その内容に関しての資料は、せいぜい2月が寿命であり、つねに修正が必要になってくる。

幸い、今は、昔のレジメだけの資料ではなく、パワーポイントを使った、視覚的資料があって、プレゼンテーション的な資料が簡単に作れて、修正も容易だ。

ただオリジナル資料を作るのには、それだけの知識やセンスは必要であるし、決して楽な作業ではない。2時間の講演の影で、休みの日を費やして何日も資料作りに頭を絞っていることはご理解いただきたい。(続く)

介護・福祉情報掲示板(表板)