施設のケアマネジメントのあり方については昨年12月のブログの中で、施設と居宅のケアマネジメントの違い  として3回に分けて書いている(参照05年12月Archives

このことに関連して、メディカルレビュー社の「介護支援専門員」という冊子で「施設のケアのあり方を考える〜施設におけるケアとケアマネジャーの役割を再認識してみよう」という特集があって、その中の特養のケアマネジメントのあり方について執筆した冊子が出来上がってきた。

僕は特養のケアマネジメントの具体的方法を書くとともに、施設のケアマネジメントのあり方自体を、特養に限らず考えたつもりである。

そこで、この特集を読むと、様々な立場の方々が、それぞれの施設の状況を考察して問題点を投げかけているが、共通しているのは「施設のケアマネジャーの役割や位置づけが、居宅のケアマネほど明瞭でない」という点だ。

しかしその解決策は、様々な考えがあり、それぞれに違っている。ただ単に問題点を投げかけて終わっているだけのものもある。僕自身も枚数の関係があり、ブログで指摘したほどには具体的な役割や位置づけに対する提言が欠けていたのではないかという反省もある。

しかし、ひとつ言えることは、この特集の中で「施設ケアマネジャーの専任化」が問題解決の最重要課題としているものもあるが、僕はそのことだけには反対意見を持っている。

施設のケアマネの役割や位置づけを不明瞭なまま、専任化だけ進めても意味はないし、混乱や施設間格差はなくならないだろうと思っている。

むしろ施設のトップが施設のケアマネに求める役割を明瞭にして、位置づけやその機能が生かせる施設内システムを作ることが大事だろう。そこが不明瞭なまま専任化を進めても意味がない。

兼務か専従かはあまり問題ではないと考えているし、むしろソーシャルワーカーとして、利用者の相談援助業務全般に関わる業務の中で、施設サービスにおいて、ケアマネジメントという社会福祉援助技術をつかいこなせる専門家という意味では、相談員がケアマネを兼務することには意味があると思っている。

ただできれば、業務量を考えれば、ソーシャルワーカーとは、別にケアプランの作成責任を司るケアマネ兼務者が別に配置されていることが必要だというだけである。

そもそもケアマネジャーという職種の概念が、施設サービスに合致しているだろうか?

居宅サービスは事業提供主体やサービス内容がちがう多種類のサービスを結びつけ、チームとして支援をする際に、基本的なサービススケジュールを管理する為に、その窓口を一元化するという意味で、ケアマネジメントに主軸を置いた援助者が必要であろう。

しかし施設サービスという単品サービスの中で「施設サービス計画」は生活援助に必要なツールのひとつに過ぎず、それに主軸を置きすぎると、生活者としての高齢者への援助という意味を取り違えてしまう恐れがある。

プランが立派でも、サービス内容の質が悪ければ意味がないし、365日24時間生活する「器」の中で生じる様々な生活課題やストレスに的確に反応できる人材がいないと、その目的は達しない。

優れたケアマネより、ケアマネジメント技術をもしっかり持っている優れたソーシャルワーカーが求められているのである。

ケアマネジメントもまた、社会福祉援助技術の一つに過ぎない、という考えも必要なのではないか。

なにか介護保険制度はケアマネジメントを社会福祉援助技術の中心に置きすぎて考えられていることで様々な矛盾が出てきているように思えてならない。施設サービスも基本的に居宅サービスと考え方の根幹は変わらないといっても、そこで展開される援助方法は、当然、違いがあっても良い。

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