特養におけるターミナルケアのあり方に新たなルールが設けられ、このルールを実施することで「看取り介護加算」という報酬上の加算が算定されるようになって今日でちょうど5ケ月が経過している。
当施設では、いちはやく独自の「看取り介護の指針」を作ったり、僕も4月以降のブログで何度か、看取り介護の実践を通しての視点からの話題を取り上げてきた。
そして、この間全国から、たくさんの皆さんから当施設の「看取り介護」の実践についての質問やご意見を頂いたほか、看取り介護の実践方法の勉強の為、当施設に訪ねてくる方もいたし、僕が「ターミナルケア」の問題を取り上げた各種研修会等の講師やパネリストに呼ばれることも多かった。
そこで今日は、5ケ月経た現在の状況をまとめてみようと思う。
4月以降、当施設で「看取り介護」の算定対象としたケースは4ケースである。
延べの看取り介護の実施期間は38日で、最短4日、最長21日であった。(平均9.5日)
統計上の数値としては5ケ月4ケースではまったく意味がないものといって良いだろう。しかし、あえて言えば、看取り介護の期間自体はさほど長くなることはないのではないかと思う。
それは実際に、この加算を算定する際は、「医学上の見地から回復の見込みはない」ものとして家族等に同意を求める必要があり、その計画には「看取り介護である」ということがはっきり示され、曖昧さを残したムンテラにはできない点にある。
かつて施設でターミナルケアを行っていた際は、同意書を頂いていなかったし、終末期をずっと施設でお世話することを家族と合意しても、はっきり「回復不能」とか「死を迎える準備」という表現でコンセンサスを交わさないままお見送りすることもあった。
この曖昧さは、ある意味で、双方の暗黙の了承のなかで静かにそのときを待つという、それぞれの立場をいたわってショックをできるだけ少なくする知恵としての意味があったわけであるが、報酬を算定する以上は、そういう曖昧さは排除され、家族にもはっきりとした形で合意を得なければならない。
しかし実際に「看取り介護」という言葉を目にし、耳にすればショックはあると思う。だからこの時期が問題になるのだが、個々の部分に基準は作れない。あくまで個別のケースごとに状態を、その都度、様々な角度から判断することしかできない。
そうすると実際は、必要な支援行為を行っていても、いざ、その時期を家族に告げ、看取り介護の計画の同意を頂くという時期判断は慎重になるし、死期がかなり遠い先である、という状態ではその時期としては不適切だろうと思う。その思いが、この数字に表れているように感じる。
それと5月間で、看取り介護加算の算定合計金額は「60.800円」である。年間を通じても経営に影響するような大きな利益になる加算ではない。むしろ、看取り介護の実践を行っておれば、看護職員だけでなく、介護職員も時間外勤務が必然だし、それにかかる費用や、医療材料費や介護材料費を考えるとこの部分だけでは「元は取れない」状態である。
つまり我々の施設のように、もともと加算がなくてもターミナルケアを実施していた施設は、この加算で少しは、その取組に費用面での保障ができたということだが、この加算があるから収入を考えて「看取り介護」を新たに実施しよう、ということにはならない、ということだ。
それと表の掲示板でお知らせしたが、看取り介護の実施場所は基本的には「個室」が想定されている。これは看取り介護加算の条件に「個室」は入っていないものの、看取り介護加算の算定の前提条件である重度化対応加算の要件に「看取りのための個室を確保していること」とされ、あくまで看取り介護は個室で行うことが条件である。
ただし例えばご夫婦で入居されていて、一方が看取り介護の対象になった場合に、住み慣れた部屋で、夫婦共に過ごし看取り介護を受けたい、という場合は、きちんと同意を得ておれば算定可能である。(国にも確認済み)
しかし、これを拡大解釈することは避けていただきたい。
4人部屋等で利用者が、最期を住み慣れた部屋で過ごしたいという希望を持っていたとしても、他の利用者に与える影響を考えると、夫婦部屋という場合とは当然、状況が異なり、他の方のしっかりした理解の下の同意ということも困難と考えられ、基本的にはそのような4人部屋での看取り介護は想定されていない。
基本的に夫婦部屋以外の多床室での「看取り介護加算」算定は想定されない。
ということになっている。これは納得できる考えだ。
僕も看取り介護を多床室で行って報酬算定をしないケースの状況について「様々な看取り。」で書かせていただいたが、しかしやはり実際の看取り介護は、多床室で行う場合、本人はともかく、他の方々には非常に気を使うし、あまり良い方法とは思わなかった。
少なくとも多床室で看取り介護を行う際は「同室のほかの人」全員から、しかも家族ではなく本人から同意を得なければ、看取り介護とは認めないというのが国の考え方だ。
これは費用算定ができる、出来ないという問題ではなく、終末ケアが、同室者に与える心理的影響という部分から、是非を考える必要があるし、僕はそのことには納得できるのだ。
介護・福祉情報掲示板(表板)
当施設では、いちはやく独自の「看取り介護の指針」を作ったり、僕も4月以降のブログで何度か、看取り介護の実践を通しての視点からの話題を取り上げてきた。
そして、この間全国から、たくさんの皆さんから当施設の「看取り介護」の実践についての質問やご意見を頂いたほか、看取り介護の実践方法の勉強の為、当施設に訪ねてくる方もいたし、僕が「ターミナルケア」の問題を取り上げた各種研修会等の講師やパネリストに呼ばれることも多かった。
そこで今日は、5ケ月経た現在の状況をまとめてみようと思う。
4月以降、当施設で「看取り介護」の算定対象としたケースは4ケースである。
延べの看取り介護の実施期間は38日で、最短4日、最長21日であった。(平均9.5日)
統計上の数値としては5ケ月4ケースではまったく意味がないものといって良いだろう。しかし、あえて言えば、看取り介護の期間自体はさほど長くなることはないのではないかと思う。
それは実際に、この加算を算定する際は、「医学上の見地から回復の見込みはない」ものとして家族等に同意を求める必要があり、その計画には「看取り介護である」ということがはっきり示され、曖昧さを残したムンテラにはできない点にある。
かつて施設でターミナルケアを行っていた際は、同意書を頂いていなかったし、終末期をずっと施設でお世話することを家族と合意しても、はっきり「回復不能」とか「死を迎える準備」という表現でコンセンサスを交わさないままお見送りすることもあった。
この曖昧さは、ある意味で、双方の暗黙の了承のなかで静かにそのときを待つという、それぞれの立場をいたわってショックをできるだけ少なくする知恵としての意味があったわけであるが、報酬を算定する以上は、そういう曖昧さは排除され、家族にもはっきりとした形で合意を得なければならない。
しかし実際に「看取り介護」という言葉を目にし、耳にすればショックはあると思う。だからこの時期が問題になるのだが、個々の部分に基準は作れない。あくまで個別のケースごとに状態を、その都度、様々な角度から判断することしかできない。
そうすると実際は、必要な支援行為を行っていても、いざ、その時期を家族に告げ、看取り介護の計画の同意を頂くという時期判断は慎重になるし、死期がかなり遠い先である、という状態ではその時期としては不適切だろうと思う。その思いが、この数字に表れているように感じる。
それと5月間で、看取り介護加算の算定合計金額は「60.800円」である。年間を通じても経営に影響するような大きな利益になる加算ではない。むしろ、看取り介護の実践を行っておれば、看護職員だけでなく、介護職員も時間外勤務が必然だし、それにかかる費用や、医療材料費や介護材料費を考えるとこの部分だけでは「元は取れない」状態である。
つまり我々の施設のように、もともと加算がなくてもターミナルケアを実施していた施設は、この加算で少しは、その取組に費用面での保障ができたということだが、この加算があるから収入を考えて「看取り介護」を新たに実施しよう、ということにはならない、ということだ。
それと表の掲示板でお知らせしたが、看取り介護の実施場所は基本的には「個室」が想定されている。これは看取り介護加算の条件に「個室」は入っていないものの、看取り介護加算の算定の前提条件である重度化対応加算の要件に「看取りのための個室を確保していること」とされ、あくまで看取り介護は個室で行うことが条件である。
ただし例えばご夫婦で入居されていて、一方が看取り介護の対象になった場合に、住み慣れた部屋で、夫婦共に過ごし看取り介護を受けたい、という場合は、きちんと同意を得ておれば算定可能である。(国にも確認済み)
しかし、これを拡大解釈することは避けていただきたい。
4人部屋等で利用者が、最期を住み慣れた部屋で過ごしたいという希望を持っていたとしても、他の利用者に与える影響を考えると、夫婦部屋という場合とは当然、状況が異なり、他の方のしっかりした理解の下の同意ということも困難と考えられ、基本的にはそのような4人部屋での看取り介護は想定されていない。
基本的に夫婦部屋以外の多床室での「看取り介護加算」算定は想定されない。
ということになっている。これは納得できる考えだ。
僕も看取り介護を多床室で行って報酬算定をしないケースの状況について「様々な看取り。」で書かせていただいたが、しかしやはり実際の看取り介護は、多床室で行う場合、本人はともかく、他の方々には非常に気を使うし、あまり良い方法とは思わなかった。
少なくとも多床室で看取り介護を行う際は「同室のほかの人」全員から、しかも家族ではなく本人から同意を得なければ、看取り介護とは認めないというのが国の考え方だ。
これは費用算定ができる、出来ないという問題ではなく、終末ケアが、同室者に与える心理的影響という部分から、是非を考える必要があるし、僕はそのことには納得できるのだ。
介護・福祉情報掲示板(表板)