数多くあるインシデント(ひやりはっと)の中には、あきらかに介護ミスや不注意によるものが数多くある。これらが事故に繋がらないよう、同じミスを繰り返さないことが必要なのだが、しかし繰り返してしまうことも多い。薬の誤配や、見守りが必要な方の「今は大丈夫」という思い込みや油断からの転倒などもある。これは大きな課題であり反省点である。

さて昨日のブログで少し触れたが、ショート利用中の方が転倒して骨折するという、いわゆる介護事故が当施設で発生した。

月曜午前2時頃に起こった転倒で、朝まで様子を見たが痛みがあり、腫れも見られたため、受診し腕の骨折が判明したものであった。

家族には朝一番で連絡し、事情を説明し、原因と今後の対応の協議のための対策会議を緊急で開いた。その結果は施設内に周知し、支庁に電話連絡をいれ、翌日、事故報告書を提出した。

事故の状況は、杖歩行で、自力でトイレに起きられる方で、事前にアセスメントも出来ていたので、トイレ付の個室で対応し、場所もわかるようにトイレ内の灯りは点けておいた。しかし当日未明、杖を使用せずトイレに入ろうとし、便器手前でよろけて転倒したものである。その際、トイレ内の電燈が消されており、おそらくその前のトイレ使用時に本人が消したものである。

幸い、家族の方も状況を納得していただき施設側には過失がないと認めてくださり、むしろ転倒されて通院の手間をかけたことを恐縮されるふうで、逆に謝ってくださる状況で、「いや、ショートでお預かりしている以上、こちら側にもまったく責任がないとはいえないので」と両者が頭を下げるような状況で、大きな問題にはならず、ひとまずほっとする。

過失がなくとも施設はサービス提供中に生じた怪我、としての責任を感じて真摯に利用者や家族には対応しなければならず、そういう心のこもった対応が、理解につながりトラブルを防ぐ基本だろうと思う。

しかし防ぎようのない、過失のない事故とは何なのか、という判断は難しいし、あまり広く考え過ぎると、施設の責任をすべて利用者の自己責任に転嫁してしまい、不適切な対応になってしまうし、逆に、あまりに狭く考え過ぎると、何でもかんでも施設責任ということになり、リスクのある人に対して過度の反応を示して、場合によっては不適切な「サービス提供拒否」に繋がりかねない。難しいところだ。

特に自力で歩かれる方の転倒は、防ぐことができないものもある。施設で生活している間に起こる、それらの事故をすべて施設の介護の問題とされるのは問題だ。ここは監督官庁も分けて考えていただきたい。

今回の当施設での事故も、あらを探せば、施設の過失を言い立てることが出来る可能性がないとは言えない。

当該利用者は、要介護1(旧認定;次回はおそらく要支援2か?)で軽度の下肢筋力低下があり普段から杖を使っての歩行である。繰り返しショートを使っている方なので状況はよく把握できているが、歩行時のふらつきがある場合があり、歩行見守り、としている。しかし本人は普段から自力歩行している方で、そんな必要はないと思っている。実際、見守りが必要ではない状況のほうが多いが、介護職員全体の注意を促す意味でケアプランにはあえて「見守り」を入れている。

しかしこういうプランを立てている方だからといって「見守りが出来ないときは歩かないでください」なんていうことにはならないのは常識だろう。本ケースの利用者の場合も、見守りのほか、ふらつきが見られる際は臥床時「離床センサー」を使用し反応に駆けつけて歩行見守り、という計画も立てられていた。

しかし実際には、歩行状態に現在問題なく、杖を使って、自由に昼夜に係らず歩いていた方である。だが実際に転倒骨折という状況が起こってみると、「見守りの必要性がわかっているのに夜間一人でトイレに歩かせていたのは問題だ」ということになりかねない。

それは違うと思う。見守りが必要なときもあるので注意しましょうというプランと、常時見守る必要があるというプランは違うのだ。離床センサーも必要があれば使うが、できるだけ家庭での生活スタイルを継続できる滞在サービスのあり方の延長線上に、不必要な過剰ケアは行わないようにしよう、ということがあるのだ。

しかし人間の生活だから、双方が気をつけていても起こりうるインシデントやアクシデントはあるという理解も必要だし、十分注意した上でおこるアクシデントは一方的に責められるものではないという意識が必要と思う。

今回の事故に対する今後の対応は

1.排泄時等、ナースコールを押し、職員に知らせるよう都度説明する。
2.ナースコールを押す姿が見られない際には、速やかに離床センサーを使用し、反応都度に対応する。
3.夜間排泄時間などの把握を行い、夜間のトイレ誘導を試みる。
4.居室トイレの電気はつけておく。本人が消した場合も再点灯をこころがける。

これらも実際の実施の際、利用者本人への心理的負担感に繋がりかねない問題も含まれており、随時精査が必要だろう。完璧なプランはあり得ないのだから。

介護・福祉情報掲示板(表板)