昨週末の老施協研修会における中村会長の基調報告の内容を皆さんにも情報提供しながら、3年後の報酬改訂に向けた改革の方向性を探ってみる。

今回の制度改正で積み残された課題として、被保険者の範囲の拡大ということがまず解決?に向け考えられる。つまり介護保険と障害者の制度の統一、被保険者を20歳から、という方向である。

そうなると障害者自立支援方を見たとき、介護認定の方法は、介護保険とほぼ同様で、介護保険の79項目の調査に障害者専用の27項目が加えられているだけなので、両者の認定基準の統一が図られていくことになるが、ここで問題は、障害者自立支援方で、施設入所は、50歳以上の方は要介護3以上、50歳未満の方は要介護4以上に限定されている点である。

つまり障害者の制度と介護保険の制度を統合する際、施設入所基準は、より厳しいほうへシフトするのではないか。というより、もともと国は施設入所を重度者に限定したいという考え方で、要介護3以上の対象者に限定したいというもの。次期改正では、こうした方向でルール改正が図られる可能性が高い。

しかし実際に現在、サービスを受けているルールをそのまま変更すれば、要介護1以上で施設入所が可能な既得権の侵害という問題が出てくる可能性があり、この対策としては、要介護認定自体を大幅にルール改正して、ドイツのような3段階の認定方式に変える、という可能性もある。

そのとき、現在の新予防給付との関連であるが、施設入所対象者は現行の要介護3以上の対象者とし、要介護2以下の対象者は、新介護認定では現在の予防給付の考え方に極めて近くする可能性がある。

障害者制度との統一、被保険者範囲の拡大については以上のような内容の話であったと思う。

次期改正の方向性として、僕はかねてより、定額報酬サービスの拡大と予防対象を認知症がない要介護2まで拡大の方向が予測されるとこのブログや介護新聞の連載でも書いていたが、その考えに極めて近い状況があるようだ。

また医療と介護の関係であるが、基本的に精神病院から平成24年までに7万人を退院させる方針や介護療養病床の廃止で、特養の役割はますます重要となってくるのであるが、それも施設入所者を重度者にシフトする方向性の一連の流れの中にある。

厚生労働省の主流の考えは、辻審議官を中心とした、医療費の不必要な算定を抑制する、特に終末期医療に費用がかかりすぎており、在宅で看取ることができる体制の構築、病院から患者を居宅に戻す考え、であり、在宅支援診療所の設置や、死亡1月以内の往診に対する診療報酬の加算などにその姿勢が現れており、今後もこの考え方は継続されるであろう。

極端な話、1週間しか生きられない人を1月延命させる為に莫大な医療費をかけている、という実態に疑問が投げかけられているようなもので、特養の看取り介護加算も、医師会の反対意見を無視して認めた背景には、終末期の不必要な医療費の削減という国の考え方が背景にある。

以上のような内容であったと思う。

特養の看取りについては先週書かせていただいた視点とリンクするものがある。特に終末期に莫大な医療費がかかっている問題が看取り介護加算の創設に結びついているというのであれば、我々はより慎重にその実施にあたらねばならない。生への真摯な視点と対応がないと、看取りが身勝手な死生観で存命可能な命を粗末に扱ってしまうという実態となる恐れがあり、施設全体で命の尊さと、生への畏敬の念をしっかり教育していかないとならない。

また介護給付費の問題であるが、これ以上の縮小は死活問題であるが、しかし収益率が5%ないし6%の範囲でないとカットされることは間違いなく、適切な予算の執行がなにより求められるという指摘は、その通りであろうと思われる。

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