介護福祉士資格取得方法の見直し案が、厚生労働省の検討会に報告書の骨子として示された。

本年度に導入される介護職員基礎研修修了者については受験に必要な実務経験を3年から2年に短縮されている。

そのほか養成校での教育時間が拡充さるるべきとしているほか、その内容も「基本科目」「心と体の仕組み」「介護」の3領域に再編するとしているほか、実習施設の範囲もグループホーム等を対象にし拡充するとしている。

実習施設の拡充は大いに賛成だ。大規模施設しか介護福祉士の実習に適しているなんていうことはない。

むしろ実習で小規模施設でのサービスの基本を学んだ若い世代が、その方法論を積極的に規模の大きな施設のサービスに取り入れる提言を行えるように育ってもらいたい。

大規模な施設にとっても、そうした新しい感性を持った職員が増えることはサービスの質を向上させる要因になるのではないだろうか。

さて、この方法見直しで一番大きな改正点は、すべての資格取得希望者は国家試験に合格しなければならなくなったことだ。

これは大きな改革だ。

今までのように、養成校に入学しさえすれば、そこを卒業できれば自動的に国家資格としての介護福祉士資格が与えられるということではなくなった。国家試験というハードルが全過程の対象者に義務付けられたのだ。

これは極めて常識的な判断だろう。実務経験者で資格取得するコースだけ試験が課せられている現在のルールのほうがおかしい。

特に、今後は介護福祉士がすべての介護サービスの基礎資格になっていくのだから、ある程度、ハードルを高くしておかないと、質の確保は図れないと考える。

こうした改革案を見て思うことは、介護福祉士試験だけでなく、介護支援専門員の受験資格も是非、見直してほしい、ということだ。試験のハードルは高くしても良いが、実務経験5年という期間を短縮してもらわないと若い有能な人材が、ケアマネジメントの実務を行うのに、「待機」しなければならない期間が長すぎる。

実質、社会福祉士としてケアマネジメントを含めたソーシャルケースワーカーとして福祉、介護の現場で能力を発揮している人材は多い。5年の実務で得られるものの重要性はわかるが、試験というハードルがあるのだから、せめて社会福祉士という福祉の専門有資格者などは2年なり、1年なりに実務経験を見直してもらいたい。