日本介護支援専門員連絡協議会から日本介護支援専門員協会へ変わっていった理由は何だろう。

団体加入ではない個人加入の新たな組織を作ることにおいて、会員個人個人の声を組織全体の運営に反映させたい、という意味らしい。その志は良し、と思う。

しかしその方法であるが、講演の中では、まず日本介護支援専門員協会のWebを紹介された。ここから必要な情報を発信していくというのだ。ワムネットをみなくとも制度関連情報が見れるといっても、ここでしか見れない情報ではないし、特段情報が早いわけでもない。しかも更新状況を見ても、昨週設立された東京都や北海道の協会の情報が「都道府県支部設立状況」に今日の時点で反映されていないなど情報の新鮮さにも欠ける。

会員専用ページでは、個人に対しての情報発信も可能で、またここを利用したアンケートなども都道府県、各地域レベルでできるようにする、ということであるが、Webを利用する会員自体が会員の数割という状況では機能しないだろう。

介護支援専門員の資格更新制度に絡んでは、更新時講習をこのWebの会員専用ページから動画を使った講習映像で受講することでも更新時講習を受講したとみなされるようにしたいということであるが、その実現は可能なのか、これはなんとも言えないし、方法としてスキルアップの面で機能するかは疑問が残る。

少なくとも現時点で入会動機になるような会員に魅力をアピールするWebとはなっていない。

そのほか、将来的には財団法人化して介護支援専門員の全国組織として政治的な発言力も強めて制度改正等に介護支援専門員の声を反映させたいという意思もあるようだ。しかし、今回の介護保険制度改正の方向性について、この会は極めて肯定的に捉え、介護支援専門員にとって適切なケアマネジメントを行えば適切な報酬が算定できると制度改正になっているいう考え方をしている。様々なルールに協会の声が反映されているかのごとき説明だ。

事業所評価加算にしても重介護者の割合に将来的には認知症のある要介護1.2を含めたいという希望を持ってはいるが、このルール自体については適切で現場のケアマネの意思が反映されたものとして説明している。

これはおかしい。どうしてあのような事業規模が大きな事業所でないと加算を取れない仕組みを肯定できるのだろう。独立して小規模で公平中立な活動をしている事業所が置き去りにされているではないか。

大規模事業所だけが評価されるという仕組みについてはまったく説明を避けている。非常に不満足な説明である。

制度改正について国会の参考人として呼ばれた同協会会長の講演であるから、制度改正の裏側もよく知っているし、改正制度内容も熟知している。

ところが同研修に参加していた方は、あらためてこの講演のレジメを見ていただきたいが、居宅介護支援費にとって、非常に影響の大きな問題、特定集中減算については一言も触れられていない。もちろん口頭での説明も、ここには一言も触れていない。

なぜか。こんな大きな問題をまるでタブーのように避けている。

医療系サービスはなぜ除かれ、福祉系3サービスに対象を限定している理由をパブリックコメントでは一切明らかにしていない国の態度を彷彿させる態度だ。

この減算ルールに触れることはタブーなのか?

協会と国の間で、今回の改正で特に居宅介護支援費に関する部分では事前協議が行われたことは間違いないが、この減算ルールは、何かの取り引き、駆け引きに利用されたのではないかという妙な勘繰りをしてしまう。

本当にこれで会員の声が届く、また会員に声が届く組織になっていくのだろうか。おおいに疑問を持った。問題や疑問が山積の組織であるという評価しか現時点ではできない。

しかし外野から批判の為の批判に終始していても意味が無いように思える。

僕自身は個人としてこの組織に加入する方向で考えていきたいと思っている。もちろん「声ある会員」としてである。

介護・福祉情報掲示板(表板)