以前にも書いたが、当施設の利用者の中に、実際の状態と、要介護認定結果がかけ離れていると思える方がいる。実際の状態像より要介護認定結果が明らかに低いのだ。

過去3回の認定調査を受けたが、いずれも要介護2と判定されている。調査のとき提供する情報に変わりはないのでソフトで出される1次判定自体は仕方ないが、認定審査会が、特記事項や医師意見書の内容を精査しているのかと疑うケースである。

おそらく認定審査員が、この1次判定ソフトの仕組みを知らない、無理解であることから正しい判定に結びついていない例だと思う。

この方は、以前、他の施設から転所されてきた方であるが、重度の認知症で、特に清潔援助に対する介護拒否が激しく、入所時は髪の毛から体まで、真っ黒な状態であった。

現在も、何とか(表現は悪いが、だましだまし)週2回はシャワーを浴びていただいている状態で、感情には日内変動があり、不穏状態や居室への引きこもりも見られ、人に対する極度の警戒感から、居室の掃除や、必要な介護に入る際も、時間や手間のかかるケースであり、暴力的行為や不穏、興奮、徘徊が見られる、いわゆる「運動能力の低下していない認知症高齢者」の事例である。

さて、ここで運動能力の低下していない認知症高齢者の判定(2段階アップのチェックがつく仕組み)を復習していただきたい。

一次判定は基本調査とCPS(主治医意見書の理解および記憶の4項目、すなわち短期記憶・日常の意思決定を行うための認知能力・自分の意思の伝達能力・食事)から求められる。

主治医の意見書の一次判定入力項目はこの4項目である。

しかし、実際には、このCPSの内容を入力しなくても、『運動能力の低下していない認知症高齢者の指標のチェック』がついてくる。これは厚生労働省が主治医意見書の記載漏れの場合にもしっかり対応していたためだ。すなわち、医師意見書の短期記憶は調査票の問題行動の短期記憶、日常の意思決定を行うための認知能力は、5-6の日常の意思決定、自分の意思の伝達能力は6-3の意思の伝達、食事は4-3の食事摂取、この4項目をCPSに替えて新一次判定に反映させている。

(CPSの記載がされている場合はこちらが優先される)

具体的には、このチェックがつく条件として

1.認知症高齢者自立度が掘↓検■佑つ障害老人自立度が自立、J、Aであり、1次判定が自立〜2であること。(3以上はこのチェックは絶対つかない)


2.79項目のうち、立ち上がり、洗身、食事摂取、上衣の着脱、日常の意思決定を行うための認知能力・自分の意思の伝達能力・短期記憶のチェック、主治医意見書のCPSの記載内容(上に記したように記載もれの場合は入力しない)によりスコア化させ、該当するスコア以上になるとまずチェックを一つ上げる。
(ここであげた項目にチェックが入らない場合は、チェックが入らない)

3.上記の2点を満たし、さらに問題行動のうち『暴言暴行』『大声を出す』『介護に抵抗』『常時の徘徊』『外出して戻れない』『一人で外に出たがる』『火の始末』『不潔行為』『異食行動』の9つの中で何項目に該当するかで、要介護度が2段階上がる。

すなわち自立の場合は1項目以上、要支援の場合は2項目以上、要介護1の場合は4項目以上、要介護2の場合は6項目以上が該当すれば2ランク上がる。しかしあくまでそれは、1と2の条件をクリアした上でのチェック、ということになる。

つまり一つ目のチェックがつかないケースは二つ目のチェック項目の判定は1次判定ソフトでは行われないのだ。

すると、かなり問題行動がシビアで、介護の手間として厳しい状況があって7郡に数多くのチェックが入って、特記にも詳細が書かれていても、1.2.3.4.6群にチェックが少ない場合、5群にチェック項目がかなりあっても、最初のチェックがつかないので「運動能力の低下していない認知症高齢者」 の認定とならず、要介護1で問題行動が数多くある、という1次判定があり得るのだ。

今回取り上げたケースも、この例で、問題行動を勘案して、1次判定の1から要介護2へ1ランクアップしたものと思えるが、問題行動の内容から判断すると、このケースは4が相当と思う。

つまり、1次判定ソフトの仕組みを知っておれば、この方は要介護1にチェックが二つ入って、要介護3と1次判定が出される状態像に極めて近く、さらに、問題行動の内容の介護拒否や暴力行為、引きこもりなどを勘案すれば充分、要介護4と判断されても、おかしくないケースである。

判定ルールを守るのは良いが、認定審査委員であれば、このような判定ソフトの仕組みは勉強して、『運動能力の低下していない認知症高齢者の指標のチェック』は正しくつかない例があることも認識して認定審査に関わっていただきたい。

※なお判定ソフトの仕組みについては、数年前、サイト相互リンクしている、「介護系検索エンジンYAHOO KAIGO 」の管理人様にメールで教えていただいた情報を元にしています。

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