新予防給付という新たなサービスが導入されたことにより新しい問題が出現している。

通所サービスや訪問介護等の場合、定額報酬(新予防給付)と出来高払い(介護給付)というまったくルールの違うサービスを両者の指定を受けたひとつの事業所でサービス提供しているわけだから、どちらの対象であるかということが非常に重要な問題になる。

ところが認定結果が遅れて、どちらの対象かわからないと困ったことになる。

暫定プランといっても両者のサービス提供方法は異なるし、通所サービスの場合は、両者の空間区分を明確にしたり、予防であれば予防の選択サービスの実施など、介護とは別メニューでサービス提供しなければならない問題もあり、認定結果が予測に反して出された場合、遡って該当サービスを行った、ということにはできないし、無理に行おうとすれば不正請求が問われる恐れがある。

だから要介護1相当で予防か介護か判断がつきにくいケースについては、特に認定遅れによる暫定プランでのサービス利用という状況は避けてもらいたい。いや、避けてもらわねば困る。

ところが当地域でも新予防給付が6月から始まっているというのに、5月認定切れの方のうち未だ認定結果が出ていないケースがある。どのくらいの数と率かは定かではないが、僕の管理する通所サービスでさえ、すでに2件あるのだから、そう少ない数ではないと想像できる。

しかし、これは保険者の怠慢でもなければ、審査会の審査遅れでもない。

多くは認定に必要な資料がそろわない、それも医師意見書の未提出で審査判定ができないことによるものがほとんどである。

なぜそういえるかといえば、事業所も困るので「いつ認定結果が出るか」担当ケアマネを通じて問い合わせてみると意見書が出され次第、認定審査にかけるので、という答しか返ってこないからだ。

これは本当に困ったことだ。

我々も認定調査に関わっているが、調査票の提出期限を守らないなんていうことはほとんどありえない。

しかし当地域だけでなく、全国あらゆる地域で、医師意見書の提出期限が守られず認定遅れに繋がるケースが多いことはよく聞かれる。

しかしそれに対する具体的対応となると、ほとんど何も行われていないのが現状ではないだろうか。

これでは医師意見書が認定の為の必要不可欠な資料というより、認定遅れにつながるファクターとして有効性が問われる問題にもなりかねない。

認定調査は1次判定に必要な調査であり、それにより導き出された1次判定結果を、審査会において、医師意見書と調査員の特記事項の内容を合わせて審議して、最終的な認定結果が導き出されるわけである。

高齢者の状態像は医学的見地からの判断も必要不可欠であろうことは納得できるし、ここの部分の判断材料として医師意見書は確かに必要とは思う。ケースによって意見書は参考にしなくても良い場合もあろうが、だからといって一律必要がないということにはならず、「いらない」という議論は乱暴すぎる。

しかし医師自らが、その有効性を否定するような資料提出の遅れを放置している問題。加えて、ほとんど判断材料として価値のない「何も書いていない」意見書が提出されている場合もあり、これは問題だろうし、改善に向けた議論が必要である。

提出期限の厳守とあわせて、意見書に対する指導という面の方策作りに、国も重い腰を上げる必要があると思う。保険者任せで解決できる問題ではないだろう。

この問題はサービス利用者の著しい不利益を放置する、ということを意味していることをしっかり受け止めて議論されるべきだ。

介護給付費分科会でこうした問題が取り上げられないのはなぜなんだろうか。

介護・福祉情報掲示板(表板)