今回の制度改正で介護保険3施設の報酬の中で「身体拘束廃止未実施減算」という減算コードが設けられたことは多くの方がご存知だろう。

しかし意外と知られていないことだが、未実施減算については「身体拘束廃止」だけでなく「褥瘡予防対策未実施減算」という減算コードも議論され、ほとんど決定する寸前まで最終案一歩手前には残されていたのだ。

しかし最終的に老施協の強い反対意見が通った形で「褥瘡予防対策未実施減算」は設けられないこととなった。

しかし減算対象ではないが、運営指導で厳しくこのことをみることとして、老企43号(特養の運営基準)44号(老健)45号(療養型)が改正され、褥瘡予防の具体的対策を行うことが明確に義務付けられた。

その内容は

1.褥瘡ハイリスク者(日常生活自立度が低い入所者等)に対し褥瘡予防の為の計画の作成、実践、評価が行われていること。
2.専任の施設内褥瘡対策を担当するもの(看護師が望ましい)を決めておくこと
3.医師、看護職員、介護職員、栄養士等からなる褥瘡対策チームを設置すること
4.当該施設における褥瘡対策指針を整備すること
5.介護職員に対し褥瘡対策に関する施設内職員継続教育を実施すること

である。そこで僕も早速、褥瘡対策指針と予防対策マニュアルを作成してみた。

指針のほうは老健協が雛形をネット上で公開しており、これがなかなか良いものだったので8割方パクらせてもらって、僕の施設の実態にあわせて作った。

問題は予防対策マニュアルである。どうもネットで公開されていたり、本に紹介されているものは医療機関での対応マニュアルという性格が強く、介護施設にはマッチしない。

そこで過去に勉強した介護技術のテキストや本を引っ張り出して、参考にしながら独自のものを作ってみた。あまり良い出来ではないが、何とか体裁は整ったというところだろうか。

あとは、これを下敷きにして、褥瘡予防対策担当者にも研究してもらって現場の意見も聞きながら、時間をかけてもっと良いものに修正していけばよいだけだ。最初から完璧なものにする必要はないのである。

ところで僕らの施設で介護の問題で褥瘡が発生する、ということはまずない。マニュアルで示した基本的な対応は必ず行われているのだ。

しかし医療機関に入院中に作られた褥瘡がなかなか治らず、逆に様々な要因で悪化するケースがある。特に低栄養の状態の方は、一度褥瘡ができるとなかなか改善しない、低栄養対策がそういう意味でも重要であると同時に、褥瘡は「治す」より「作らない」ことがより重要だ。今回の基準改正はこれを促すひとつのきっかけにはなるかもしれない。

ただ現場で実際に褥瘡ができる高齢者がいるという問題は、必ずしも介護のレベルに起因するものだけでなく、例えば血流障害で血液の流れが悪くなってきてその周辺の皮膚が壊死するような状態が原因になっていることもあり、簡単な問題ではないのも事実だ。

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