昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいました、といえば昔話の始まりの定番である。

まさに昔はおじいさんとおばあさんは「あるところ」にしかいなかったのである。

例えば僕が生まれた昭和35年の高齢化率は5.7%、成人式を迎えた昭和55年でも9.1%に過ぎなかった。つまりこの当時は10人のグループを作っても、そこに65歳以上の方がおられない確立の方が高かったわけである。(35年なら20人のグループを作って、やっと65歳以上の方が一人いるか、いないかだ)

しかし今や高齢化率は19.5%を超え、2015年には25%を超えると予測されている。4人ないし5人のグループを作れば必ず一人は65歳以上の方がいるわけである。

だから、これから新たに作る昔話は「昔々あるところに、おじょうちゃんとおぼっちゃんがいました」で始めなければならない。

こうした少子高齢社会が、社会保障費の膨張を生む現況であることは言うまでもなく、特にそれは年金の給付額の増大と、それを支える生産年齢人口の負担増という問題になってくる。

だから日本の将来の社会保障問題の最大の課題は少子化対策であるといっても過言ではないのである。

この高齢化率の数字というのは、まったくうそ偽りの入り込む要素のない、実態を現す数字である。

ところで、制度改革議論の中で、根拠として示される数字の中には、時として首を傾げたくなる数字も多々ある。

その代表が、新予防給付の議論のきっかけになった、日医総研が示した数字、島根県の1地域で、わずか半年しか行わずに「要支援者や要介護1のサービス利用者の要介護度は悪化している」というエビデンスにはまったくなりようもない数字である。

この数字を根拠に声を高くする国の姿勢というのはある意味で滑稽である。

また、過度なサービスの掘り起こしの根拠のひとつに挙げられている軽介護者、特に要介護1の増大の数字にも疑問符がつく。

なぜ要介護1が増大したのか。本当に必要のないサービスを使う利用者を悪徳事業者が掘り起こした結果なのか?もちろんそういう要素がないとは言えないだろう。

しかしよく考えれば、これは認定ソフトの問題ではないのか。

つまり要介護1の増加は14年4月ごろから顕著になっている。14年4月といえば、要介護認定ソフト1999から2002に変わった時期ではないか。

そしてご存知のように今年始めまで使われていた要介護認定ソフト2002は、それまで1999で要介護2と判定していた層も要介護1に取り込む判定ソフトとなっており、結果、要介護2が減って、要介護1が増えるという状況を作り出したのだ。

何のことはない、軽介護者が急に増えたわけではなく、認定ソフトの性能で判定結果が左右されたのだ。

そうすると、今、新しい認定ソフト2006は、要介護1の8割を要支援2に取り込むロジックで作られているといわれる。そして認定審査ルールも、予防給付の対象に関しては極めて硬直的に組み立てられており、審査委員の裁量が及ぶ範囲は狭い・・というより、ない。

結果、予防サービスに移行し、介護給付が受けられない人は、国が考えた数字に近くなるんだろう。

しかし、それは、こんなに予防対象者が実際にはいたんだ、という実態を現すものではなく、操作された数字である、ということを忘れてはいけない。

そうでないと本当の意味の介護予防のエビデンスとなる方法論を見つけられない危険性があるからだ。

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