風吹けば桶屋が儲かる、ということわざを思い出したわけではないが、制度改正で間接的に利益を上げているのは事務用品メーカーではないかと考えてしまう。

情報はネットに出されるが、膨大な量の関連情報は紙にプリントアウトすることが不可欠だ。それも半端な量ではない。課長会議1回分の資料だけでも500枚以上ということが、しばしばある。しかも前回に示された考えが、詳細部分で変更されたり、訂正されたり、同じ内容部分も確認を怠れば、解釈を間違えてしまうおそれがある。

この制度改正で使った、紙やプリンターの消耗費用は一体いくらくらいになるんだろう。しかもそれはまだ序章であり、これから解釈通知やQ&Aが続々出されてくる。

今回の改正では読まないと解らない新たなルールが多いのだ。

しかし実際プリントアウトしても、繰り返しの資料も多く、これは損したな、という気持ちにもなるが、気を緩めると実際は、あらたな解釈が書かれていたりする。

僕の場合は、この膨大な資料の読み方は大雑把だ。ほとんど斜め読みで見逃している部分が多い。しかしそういう箇所は、表の掲示板で誰かが情報提供してくれ、その際にじっくり読んで考えてみる。本当に細かいところまで読み込んでいる方々が多くて感心してしまう。そういう方々のおかげで、僕も何とか遅れずについてゆける。感謝である。

ただ、実際、資料を読むだけでは意味がつかめないことも多いという点がやっかいだ。もう少しわかりやすい言葉で書いたって良いだろう。難しく書かなければ資料としてふさわしくないと思っているのか疑問となることがある。

ところが、こういう資料を読み込みすぎると、自分がいざ、何かの資料や文章を書くとき、その影響を受けて、妙な言い回しを使ったり、わざわざ難しい言葉で表現したりしてしまうことが良くある。これは気をつけなければならない。

だからブログを書くということは、平板な言葉に戻す効果もあるということで、できるだけ口語体でわかりやすく書く訓練にもなると思っている。カッコイイ文章より、わかりやすい文章が大切だ。僕らは作家ではないのだから。

ところで今回の制度改正で特養のターミナルケアが始めて報酬上の評価となって「看取り介護加算」が新設された。この算定条件の中には「看取り指針」の策定と計画、同意が条件としてあり、僕は早速独自の「看取り介護指針」をつくり、夜間緊急連絡体制などを含めた各書式と共に3月に入って早々に当サイトに掲載しネット配信している。

今回作った施設の「看取りの指針」もそうだが、何も施設内の指針だからといって、あまり行政用語や専門用語を使いすぎたり、文語的な表現になってはまずい。

なにより指針は職員に対するナビゲーターだから、職員が読んで、きちんと論旨が伝わり理解できなければならない。かつ家族もこれを読んで理解できるものでなければ説明には使えない。

また、量の適正化も重要だ。

指針だからといって、やたらに枚数の多いものを良く見かけるが、実際の介護にそれらは役立っているのか疑問に思うこともある。いつも気がついた時に読んで確認できる量であることも大事なのだ。細かな内容の説明は、指針ではなく、参照資料で作っておけば充分だ。

読まれない指針ほど無駄なものはない。

介護・福祉情報掲示板(表板)