794681ff.jif北海道でも雪の少ない地域であるはずの当市も、今年は例年以上の積雪である。

施設周辺もご覧のとおりで、毎日の雪かきが欠かせない。デイサービス送迎担当者は毎朝早くから、駐車場の雪をかいてバスを出している。居宅で待つ高齢者の方も、様々な手段で道路までの路を確保せねばならないのが雪国の厳しいところだ。

しかしそういう厳しい自然環境であっても、故郷ほど住みよい場所はない。
そして、どんなに身体状況が変化し生活が不便になっても「家」で生活したいという思いは、ごく当然なことなのだ。

だから我々は、様々な事情で家で生活できない方々に対し、それに近い環境や「安らぎ」を与える義務があるのだ。

さて、そのことも踏まえた上で、昨日までの続きであるが、そういう「生活への思い」をも具現できる、機能訓練活動の意味について考えてみたい。

当施設では、平行棒での歩行訓練や視知技能と手指の訓練を週1回のペースで行っている。

しかし週1回の歩行訓練やOTなど本来さほど意味があるものではないし、訓練室でしか歩行できず、生活行為と結びついていない能力も意味を持たない。

つまりこれはあくまで利用者の動機付けや、やっているという自信に繋がるものであったり、自分の能力の確認という意味があったり、それぞれの利用者の状態や希望に応じた補完的メニューとして行われるもので、参加も強要されるものではなく、自由意志に基づいて楽しめる方が参加するという、機能を楽しく使いながら健康を維持しようという取り組みの一つに過ぎないのである。

そして、それに加える形で毎日の生活の中に立位や歩行訓練等を日課として組み入れている方も多いが、それもあくまで利用者の生活に密着した形で、その希望に沿った内容であることに主眼を置いているものである。

つまり最も重要なことは、個々の持っている能力を、いかに苦痛でなく自然に使うことができる生活様式が確立できるかという点に注目して必要な機能活用の視点を個々のケアプランに落としてケアを提供することであり、例えば身体能力の衰えに最も影響がある下肢筋力は、毎日の暮らしの中で、立ったり、歩いたりする行為を、できるだけ失わないようにケアサービスが提供されることが重要である。

車椅子を移動の手段としている利用者にしても、本当に車椅子でしか移動ができないのか、場面に応じて介助歩行が可能にならないかという視点は常に必要で、介護者の側の都合で移動のツールが車椅子に限定してしまい歩行機会を失わないようにする視点、できる機能を有効に使える介護の方法が必要とされているのである。

今、施設サービスの中で取り組みがすすんでいるユニットケアやグループケアは、こうした個人への目配りがしやすく、そうしたニーズに容易に対応するための方法論の一つなのである。

加齢に伴う病気の発症や病態の変化、重度化自体を止めることはできないが、個人に着目したきめ細かなケアを展開することは当然のことながら個人の状態変化にも即応できる視点が育つし、身辺の保清にも気配りがされやすく、病気の早期発見や感染症予防に繋がる可能性を持ったものである。

例えば昨今、介護予防に重要といわれるフットケアにしても、その内容は「消毒、ゾンデによる角質除去、ニッパーによる爪切り、ファイル(やすりがけ)、マッサージという一連の技術』ということから医療的な行為に思われがちであるが、しかしその必要性は「高齢者はつめの伸び過ぎや深爪により、炎症や足の変形がある人が多い。歩行の不安定や転倒の危険につながっている」ということで、それに対する本来の意味のフットケアの基本的な考え方は、そういう状態になる前に気付いてケアする「快適支援」であろうと思える。 

こう考えたとき入所施設に限らず高齢者の健康維持や状態像の悪化を防ぐ支援とは、常に利用者の体の状態に目配りして快適で正常な状態に保たれるよう対応できているかが重要な要素であり、利用者の重度化予防の手段は目配り気配りが行き届いた高品質なケアサービスそのものに求められるべきものであるといえるのではないだろうか。

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