施設のケアマネジメントと居宅のその違いは何だろう。

両者とも、利用者に対し適切なサービスを結びつけ、「生活の質」を向上させる、という目的は変わらない。

しかし居宅におけるケアマネジメントにおいて、その方法は、多種類の違ったサービスを、いかに連携しながら利用者に適切に結びつけるかという視点が重要で、サービス種類と、その提供事業所の選択、利用の日や時間の決定というサービススケジュールの構築が基礎となる。

つまり、まず誰が、いつ、どのような種類のサービスを提供するかという視点が先んじられなければならず、どういう方法でサービス提供するか、という部分は(ケアマネのプランを土台としても)サービス提供事業所自体が主体的に決定する(各事業所のケアプランに基づきサービス提供内容が決まる)という結果とならざるを得ない。

これに対し、施設のケアケアマネジメントにおいては、誰がこのサービスを提供するか、ということは大きな課題にはなりにくい。

なぜなら利用者に提供されるサービスは「施設サービス」という単品サービスであり、他に代替性がなく、そこでの暮らしをどう援助するのか、という計画で、「誰が」という部分は、ケアプランによるものではなく、施設内の業務分掌やルーティンワークにより、ほぼ決まりごとであることが多いからである。

そして施設のケアプランの内容は、生活場所である「施設」において、利用者が質の高い生活を送るためには、どういうサービスを提供するか、という視点とともに、同じサービス提供でも、例えば排泄介助の方法はトイレなのか、ポータブルなのか、オムツであるのか、あるいは同じトイレ介助でも移乗の方法はこれでよいのかなど、サービス提供の内容そのものにスポットが当てて考えられる。

そうすると必然的に、今あるサービス提供技術や方法の見直しにまで、その視点は及ばざるを得ない。

この点は、居宅のケアマネジメントでも「同じ」だと指摘する向きはあるが、それは影響力や権限、それ以前の「サービス内容の把握」という点を考えても、他事業所のサービス内容に言及する居宅のマネジメントと、まさに「私自身」や「我々自体」が行なうケアサービスを考える視点は、決して同じくはならない。

つまり所属も内容も違う多種類のサービスを有機的に結びつける視点が重視される居宅のケアマネジメントの手法は、必ずしも施設のケアマネジメントの手法とは合致しないのであり、この国の介護保険制度におけるケアマネジメントのスタンダードを、現行の居宅の方法論に求める視点が強すぎると、間違ったケアマネジメントの方法論が出来上がってしまう危険性がある。

では施設のケアマネジメントで考えられる視点や方法を、もう少し具体的に考えてみたい。

このことは明日の(3)で示したいと思う。

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