最近、施設にも他職種との兼任ではない専任のケアマネジャーが増えている。

そうなると、当然、施設のケアマネジメントのあり方がさらに研究されていくだろう。
しかし、この際、現在の居宅のケアマネジメントをベースに考えることが正しいのかどうか疑問を持っている。

確かに1980年代、精神障害者支援領域の社会福祉援助技術の一つとして米国で生まれたケースマネジメントは、地域で暮らす精神障害者と各種サービスを結びつける視点で展開されたことを踏まえると、現行の居宅介護支援の方法はエビデンスのある方法を踏襲しているといえるのかもしれない。

しかし問題は、わが国の居宅介護支援が、介護保険制度という新たな制度にケアマネジメントを位置づける際に、多種類のサービスを有効に結びつける方法論としてのケアマネジメントに主眼を置くべきであったところが、給付管理という金の計算を、サービス提供の主要な課題としてしまったために(※していないといっても、現実はなってしまった。それは支給限度額の問題もあるし、計画単位が事業所の報酬に直接結びついてしまうためだ)肝心のケアマネジメントがうまいケアマネより、金の計算と配分がうまいケアマネが現場で重宝されるという、おかしな現況を生み出してしまった事実がある。

医者でいえば(例えですので、医師の皆さんごめんなさい)、まだまだ診療の技術が足りないが、薬を出して診療報酬を請求するのはうまい、という危ない状態を奨励しているようなものだ。

その中でも、もちろんケアマネジメントに長けた専門職が活躍しているが、一方で利用者の生活の支援より、事業所の支援優先とか、有効なサービスの検証より金の計算が優先する、という私から言わせればケアマネジャーではなくケアプランナーが多いのも事実だ。

少しタイトルから論旨がはずれてしまった。

居宅のケアマネジメントの質が低すぎると言っているのではない。具体的方法論が早くから確立されている居宅のケアマネジメントにも本当に意味で、わが国の福祉サービスの質を担保するエビデンスが確立していない、ということを言いたいのである。

さて、その中で、有効なケアマネジメントを行なっている居宅の専門家の方法を施設に置き換えて考える場合、これは有効になるんだろうか?

私は、このことにも少し疑問を持っている。この問題を今日だけでは語りきることはできない。今日を前段として、明日移行、施設のケアマネジメントと居宅のケアマネジメントの相違点をピックアップしながら、施設のマネジメントはどのような方向で確立されていくべきなのかを考えてみたい。

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