10月改正における新型特養の報酬減について老施協は「ホテルコストの導入が果たせたので新型特養はお役御免?」と嘆いている。

何を今更言っているのだろう。

新型特養が制度化されたとき、表の掲示板で私が何度も繰返して、新型特養はホテルコストという名目の費用を給付費からはずして、利用者に自己負担化させるための1里塚だ。と警鐘を鳴らしてきたし、新型の厚い報酬体系が「居住費自己負担が規制事実化された後も続くのか」と指摘していたはずだ(掲示板を以前からお読みの皆様はご存知だろう)

老施協はその時、なんの疑問も持たなかったのか?そうであるならいかにも執行部は能天気な集団である。いまさら「あの時、全国老施協が主張した新型特養と従来型特養の選択が認められていたら」(老施協メールニュースより)といっても始まらない!!新型の報酬体系が思った以上に高レベルに設定されたことで腰が引けたんではないか。

だいたいメール通信にしても、JSウイークリーにしても、速やかな情報発信となっておらず、情報分析も甘すぎる。老施協はシンクタンクとして老施協総研をもっているのに、ほとんど機能していないことが、この一時をもって証明できるのではないか。

ところで、今、私が心配しているのは中村会長が「間違いなく揺り戻しが4月1日にある。しかし、手を抜いてはいけない。皆さんが世論を盛り上げてこそ揺り戻しが行なわれるということだ」といっている意味だ。

揺り戻しとは、老施協に対する順風を意味しているんだろうし、それは報酬の額のことを含んでいると思う。

しかし今回の改正で新型特養には別枠の補助金が認められたように、来年4月の報酬改訂で、再び新型特養の介護報酬が人質にとられる恐れはないのだろうか?

つまり国は給付費を抑制したいと思っており、上げるところがあっても全体の報酬は下げの方針が既成事実である。そして施設報酬については「下げる」といっており、その具体策として「個別ケア」の報酬上への反映=個室と多床室の報酬体系の見直しを挙げている。

10月から個室と多床室の介護報酬は、居住費自己負担が高い個室のほうが介護報酬は低くなっている。これを国は「ねじれ現象」と喧伝している。施設に入ってくる収入は、両者変わらないし、今までの報酬体系は居室種別でケアの費用が変わるものでなかったのだから、自己負担が多い方の報酬が少なくなるのは当たり前なのに、「ねじれ現象」などと、おかしな因縁をつけて世論操作しようとしている。

この真意は何か。

国は次回改訂で、部屋の種別により、施設に入る収入自体も差をつけようとしているのだ。具体的には多床室の単価を大幅に引き下げたうえで、そのベースからの新報酬の査定を行うという意味だ。

その時、新型特養は個別ケアに優れたユニット個室であるから、10月以前の報酬レベルまで引き上げましょう、そのかわり、従来型の施設(老健、療養型も含め)の多床室の報酬は大幅にカットして良いですね、という駆け引きに使われるという懸念だ。

もうすぐ、その答えが出るが、もし私の懸念が現実のものとなったら、この組織は我々を守る組織でないことがはっきりする。

そしてその時、特養にみならず介護保険3施設は「従来型個室の報酬の経過措置」をふくめて、大変険しい状況に陥る。